これまでの放送

2018年12月5日(水)

2020・アイヌ文化を知る機会に

高瀬
「2年後に迫った、東京オリンピック・パラリンピック。
その開会式で、世界の目が、あることに注がれるのをご存じでしょうか?」

多様性を認める豊かな社会

2年前のリオデジャネイロ大会。

実況
「森とともに暮らす『インディオ』と呼ばれる先住民族たちです。」

開会式では、様々な人種や民族が融合する国家・ブラジルが表現されました。

これまで多くの大会で、開会式に登場してきたのが先住民族。
文化や宗教など、開催国が多様性を認める豊かな社会であることを示してきたのです。

高瀬
「先住民族は、これまで国家に迫害されてきた歴史があります。
いま、世界では、その権利の回復や文化を保護する動きが広がっています。」

和久田
「東京大会の開会式では、アイヌの人たちが伝統の踊りなどを披露することが検討されています。
しかし、国内ではアイヌ文化への理解が進んでいないのが現状です。」

「アイヌ語ラジオ講座」

報告:曽我太一(国際部)

北海道で、週に1回放送されている「アイヌ語ラジオ講座」。

関根摩耶さん
「イランカラプテ(こんにちは)、関根摩耶です。
レッスン32。
イテセ エアカイ ペ イテセ コ(ゴザ編みが上手な人がゴザを編むと)。」




番組に出演している、アイヌ民族の関根摩耶さん。
言葉を知ることでアイヌの文化に触れて欲しいと、4月から参加しています。

関根摩耶さん
「魅力的な文化・言語を持っている民族なので、それを多くの人に知ってもらうために、私自身も学んでいければなという意気込みで、今回は引き受けさせていただきました。」

「自分の文化・言語をもっと知りたい」

関根さんが生まれ育った、北海道平取町(びらとり)の二風谷(にぶたに)地区。
いまもアイヌの文化が息づく、数少ない地域です。
幼い頃から、家の中ではアイヌの文化に囲まれてきた関根さん。
それでも、アイヌ語を学ぶ環境は、決して十分ではありませんでした。

厳しい自然環境と調和しながら暮らしてきた、アイヌの人たち。
しかし、明治以降、政府による「同化政策」で、伝統や文化が否定され、日本語での教育を強制されました。
厳しい差別から、アイヌであることを隠し、アイヌ語を話す人も減ったのです。
アイヌ語を流ちょうに話せる人は、いま、10人もいないと言われています。
関根さんは、独学で言葉を学んでいます。

関根摩耶さん
「自分の文化・言語を、もっと知りたいという当たり前のことを、私はできていない。
魅力がある文化や言語がなくなってしまうこはすごく悲しい。」

ノルウェーの先住民族「サーミ」

先月(11月)、関根さんに転機となる出来事がありました。
消滅の危機にある言語について考えるシンポジウム。
関根さんは、アイヌの若者を代表して参加しました。
ここで出会ったのが、ゲストとして招かれた、ノルウェーの先住民族「サーミ」の少女です。

サーミ サラさん
「ノルウェーには、先住民族であるサーミ専用の『サーミ学校』があり、誰でもサーミ語を学ぶことができます。」


ノルウェーが国をあげて先住民族を支えていることに、関根さんは驚いたといいます。

関根摩耶さん
「サーミ学校とかやっぱりすごい。
アイヌが、自分の文化であるはずのアイヌ文化を学ぶ機会ってないので、そこはサーミから学ぶところがあると思う。」

サーミ伝統の歌 世界から称賛

先住民族政策の先進国・ノルウェー。
しかし、かつては先住民族を抑圧した苦い歴史があります。
トナカイの遊牧民として知られるサーミ。
人口の1%、およそ4万人が暮らすとされています。
サーミ語が禁止されるなど、1980年代まで、厳しい差別を受けてきました。

サーミを取り巻く環境が大きく変化したのが、1994年のリレハンメルオリンピックです。
披露したのは、かつて禁止されていた、サーミ伝統の歌。
世界からの称賛を受け、サーミに向けられる目が変わりました。

ノルウェーがまず力を入れたのが、サーミ語の教育でした。


文化の基本は、言葉だと考えたのです。 サーミのための学校を設立したほか、誰でもサーミ語を学べる教室を全国に開設。 授業料は、国が負担しています。 さらに、サーミ語で伝えるニュースを全国に放送しています。 こうした政策によって、若い世代を中心にサーミの文化が浸透。 ノルウェーの社会全体に、大きな刺激となっているといいます。

サーミ政策を担当 地方自治 近代化省 オッリ副大臣
「私たちは、サーミに対する負の政策を心から反省しました。
サーミの文化によって、結果として、ノルウェー全体を多様で豊かな社会にできたのです。」

2020年・アイヌ文化を知る機会

先住民族の文化がもつ可能性を感じた関根さん。
アイヌを取り巻く環境も、東京オリンピックをきっかけに変わることを期待しています。

関根摩耶さん
「アイヌの活動家でも代表でもないし、本当にアイヌの血を引いているただの1人ですが、いろいろな人にアイヌ文化を知ってもらえるいい機会であるのも2020年だと思う。
自分はアイヌであることを伝えられるようにしたいと思います。」


和久田
「政府は、東京オリンピックを前に、アイヌの人たちが暮らす地域や産業の振興を盛り込んだ、新たな法案の提出を検討しています。」

高瀬
「北海道アイヌ協会は、『アイヌの踊りなどを披露するだけに終わらず、歴史や文化を正しく理解するきっかけにしてほしい』としています。
世界に向かって『これがアイヌ、これが日本です』と魅力や文化を紹介するためには、私たちがやはりアイヌの文化を、日本の誇れる文化として知っておかなければと感じます。」

和久田
「2020年、まだ間に合いますし、最大のチャンスですからね。
私たちが本当に心から誇らしく見る意識になっていたいなと感じますね。」

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