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2018年11月28日(水)

世界初!“巨大マンタ”の引っ越し

和久田
「特集は、この生き物の『引っ越し』です!」

巨大マンタ『オニイトマキエイ』

海の中を悠々と泳ぐ「巨大マンタ」。
日本名は「オニイトマキエイ」と言います。
他の魚や人間が近づいても、ゆう然としたまま。
生態は謎に包まれています。


主に外洋に生息し、目撃例は少なく、飼育された例も全くないんです。


和久田
「『マンタ』と呼ばれるエイの仲間。
前向きにある口と、その脇にあるヒレが大きな特徴です。
9年前(2009年)、世界に2つの種類が存在していることが明らかとなりました。
一部の水族館で見ることが出来る『ナンヨウマンタ』。
そして新たな1種が、この『オニイトマキエイ』です。
英語名は、その名も『ジャイアントマンタ』。
幅7m近い個体も報告されるなどとても大きく、『ナンヨウマンタ』の倍ほどになるといいます。」

高瀬
「今月(11月)この『巨大マンタ』を保護し、生態を調査するため、海から水槽に移す世界でも例を見ないプロジェクトに、沖縄美ら海水族館が挑みました。」

海から水族館へ・引っ越し成功のカギは

報告:小林賢大(映像取材部)

沖縄本島の北部にある本部町。
その沖合1Kmに浮かぶ、丸い生けすの中に見える「黒い影」。
幅4.6mの「巨大マンタ」です。
「マンタ」は、泳ぎ続けていないとすぐに弱ってしまいます。
細心の注意とスピードが「引っ越し成功のかぎ」となります。

  

今回の引っ越しは、サンゴ礁や浅瀬を避けながら行われます。
まず沖合から港まで、生けすを丸ごと移動。
「巨大マンタ」を泳がせたまま、運びます。
港からは水槽に移し、トラックで水族館へ。
その間、マンタを泳がせることができないため、短時間で運びきる必要があります。

港への移動が始まりました。
飼育員らおよそ20人が、船で生けすを引っ張り、動かしていきます。

金谷悠作さん
「これ以上(スピードを)下げるのはキツいですよね、可能な限り落としていただければ。」

引っ越しを取り仕切る、金谷悠作さん。


まわりの網にマンタがぶつからないよう、歩く人よりも遅いゆっくりとしたスピードを維持します。
マンタは皮膚が弱く、すぐに傷ついてしまうのです。

衰弱から回復までの道のり

今年(2018年)5月、偶然漁師の網にかかった巨大マンタ。
皮膚は傷だらけで衰弱していました。
当初、エサを全く食べませんでしたが、金谷さんはあきらめず、毎日一緒に泳ぎ、エサを与え続けました。
半年後のいま、この通り。


大きな口を広げ食べるまでになり、水族館に引っ越すことになったのです。

沖縄美ら海水族館 飼育員 金谷悠作さん
「(引っ越しは)初めて。
だからこそ考えられること、準備できることは徹底的にやって、しっかりやっていけば、きっとうまくいくと考えています。」

最大の難関・陸路での輸送

慎重に行われた港への移動は、1Kmの距離を1時間15分。
ここまでは、ほぼ予定通りです。


最大の難関、陸路での輸送は、交通量の少ない夜に行います。

金谷悠作さん
「ここだけだけ、ここをクリアすれば、まあ、大丈夫でしょう。」

クレーンでつり上げ、トラックの上の水槽へ。
生けすから出たマンタ。
ここからは泳げません。
時間との闘いが始まりましたが…。


マンタが予想以上に暴れはじめます。

飼育員
「雨ガッパ欲しい!」

急きょ集めたのは自分たちのカッパ。
デリケートなマンタの皮膚を少しでも覆って守ります。

さらに水槽から飛び出した金谷さん。
暴れたマンタが酸欠にならないよう、酸素を水の中に送り続けます。
すかさず獣医師が血液中の酸素をチェック。

獣医師
「OKです!」

幸い、異常はありませんでした。

予定より1時間遅れて、トラックは水族館へ。
地域の協力でノンストップで走り続けますが、ブレーキやわずかな段差でも、水槽は大きく揺れます。
急ぎたくても一定の速度で走行しなければなりません。
3.5Kmを、およそ20分かけて、ついに到着。

新たな環境・一晩寄り添って

金谷さんにはまだ仕事が残っていました。
初めての水槽で、壁やガラスにぶつかってしまうのを、前を泳ぎ防ぐのです。
一晩中寄り添うと、マンタは水槽に慣れていきました。

「良かったですね。」

金谷さんは、これから飼育を通して「巨大マンタ」の生態を解明していきたいと考えています。

沖縄美ら海水族館 飼育員 金谷悠作さん
「ひとまずホッとしています。
ここまでようやく来れたというのは、うれしいことですが、まだ(水槽に)入って終わりではないので。
これからだなと思う。」

展示 11月28日から

和久田
「さっそく水槽に慣れてよかったですね。」

高瀬
「大変な引っ越しでしたけど、癒されましたね。
沖縄美ら海水族館では、新しい看板などを整備した展示が今日(28日)から始まります。
金谷さんは『多くの人に見てもらいたい』と話していました。」

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