これまでの放送

2018年11月27日(火)

AI・ビッグデータを活用『精密農業』

高瀬
「最新技術が、担い手不足や安い外国産との競争にさらされている日本の農業を変えるかもしれません。」

和久田
「そのキーワードは『精密農業』です。
AIやビッグデータなどを活用して、収穫量を上げるとともに、よりおいしく、より安全な農産物の生産を目指します。
最前線を取材しました。」

データで割り出す「適切な収穫日」

報告:佐野裕美江(NHK青森)

「精密農業」を使った品質アップの取り組みは、すでに全国で始まっています。
このタブレットは、田んぼ1枚ごとのコメの適切な収穫日を色分けして表示してくれます。


「これで行けば、15〜16日あたり。」

収穫のタイミングがズレると品質が落ちてしまうだけに、重要な情報です。

農家
「しっかりデータで出てきているので、刈り取りの優先順位を確実に決められる。」



このデータ、実は人工衛星を使ってはじき出しています。
青森県内の、およそ1,900ヘクタールの田んぼを撮影。


人間の目だと分からない色の違いをコンピューターが数値化して分析します。
これに気温のデータをあわせて「収穫に最も適した日」を割り出すのです。
収穫日が近い田んぼほど赤く表示されます。


このシステムを導入して育てている品種は、最もランクの高い「一等米」の比率が向上。
新たなブランド米として期待が高まっています。

青森県産業技術センター 境谷栄二さん
「青森県がこういうツールを持っていることは強みになると思います。
農家も熱心に管理されていますし、さらにブランドとして伸びていければと期待して思います。」

農薬を減らすための『精密農業』

報告:岡谷宏基(経済部)

精密農業を農薬を減らすために活用する動きも出ています。
その切り札が、小型無人機・ドローンです。
最新型の4Kカメラを搭載しています。
まずは白菜とブロッコリーの畑を上空から調査。
自動プログラムでくまなく撮影してまわります。
画像は高さ5メートルから撮影しても、葉に空いた1ミリの穴も判別できる精度です。
これが害虫の食べた穴かどうか判断するのは人工知能・AI。
害虫による被害のデータを大量に学習させてあります。
そして害虫がいる場所を突き止め、ピンポイントで農薬を撒きます。


人が目で見て確認しようとすると大変な労力がかかるこの作業。
ドローンとAIのシステムを導入することで、作業時間は大幅に短縮しました。
農薬の使用量も3分の1以下に減らすことができたといいます。

有機野菜栽培 農家
「忙しくて見ることができない部分をドローンが見てくれていると安心感につながる。」


システムの開発会社 星野祐輝さん
「農家としては収穫量が同じで、さらに(減農薬という)付加価値がのる。
今後は果樹など、いろいろな農作物に転用できるのではないと思う。」

高品質と安定生産を目指す実験

さらに「精密農業」によって、天候に左右されずに品質の良い農産物をつくる実験も始まっています。
茶畑に埋まっているのは、特殊なセンサーです。
土の中の水分量を常時計測しています。
さらに屋根の上では気温や湿度なども計測。
蒸発する水分なども計算に入れて与えるべき最適な水と養分の量を割り出します。
そして自動で、水と養分を供給。
天候に恵まれた年もそうでない年も、安定して品質の高い茶葉を生産する実験です。

農場経営者 鎌田宏之さん
「高品質のもの(農産物)を作るために精密農業をやっていきたい。
このシステムを使って細かな管理をするのは非常に重要なアプローチ。」


実はこの技術、雨が少なく農地も限られる、イスラエルの企業から提供されました。
開発した企業では、農産物をイスラエル国内で育てた50年分のデータを持っています。
これを学習したAIに、センサーが計測するデータを読み込ませることで、人の経験に頼らない精密農業が可能になるといいます。

技術提供をした イスラエル企業の担当者
「日本の農家も正確で緻密な農業をすべきだ。
(このシステムは)少ない水や肥料で済むので、持続可能で効率的・効果的な農業をやっていける。」


広がり始めている精密農業。
担い手不足など課題が山積する日本の農業を救うひとつの方法となりそうです。

『精密農業』の今後に注目

和久田
「毎日食べるものの農薬が減ったり、さらにおいしくなるというのなら、わたしたち消費者にとってもメリットがありますよね。
ただこれからどう導入していくかというところですよね。」

高瀬
「普及にはコストの問題などさまざまな課題があると思いますが、それを乗り越えられれば一気に普及していく可能性がありますので、注目の分野になっていきそうです。」

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