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2018年11月26日(月)

困難・葛藤と共に生きる家族

高瀬
「自分に障害のある子どもが生まれた。
子どもにLGBTだと告白された。
親にとっては、その事実を受け止め、共に生きていくまでにはさまざまな困難や葛藤があるかもしれません。」

和久田
「いま上映されている、アメリカのドキュメンタリー映画では、そんな6組の親子が描かれ、話題となっています。」

ドキュメンタリー映画『いろとりどりの親子』

報告:柳田理央子(おはよう日本)

現在公開中のドキュメンタリー映画『いろとりどりの親子』。
登場するのは、自閉症や低身長、ゲイなど、時に差別されたり同情されたりすることもあるという人たちと、その家族です。
困難に直面する日常。
そして、その中で感じた喜び、感動が描かれています。

今月(11月)来日したレイチェル・ドレッツィン監督です。
社会問題を真っ向からとらえたドキュメンタリーを数多く手がけてきました。
映画の原作は、作家で自らがゲイであることを公にしているアンドリュー・ソロモン氏の著書です。
映画では、アンドリューのストーリーも描かれています。
信頼していた両親から拒絶されるなど、多くの困難と戦いながら生きてきたアンドリュー。
同じように、家族や社会から偏見のまなざしを向けられた人たちを取材。
そのありのままの姿を描いたのです。

レイチェル・ドレッツィン監督
「原作に登場する人たちは困難な生活を送っていて、ごく“普通の人”になりたいのだと思っていた。
でも、本を読んで驚いたのは、実際にはそうではなかったことだ。」

「つらい経験をも意味のあるものに」

この映画を、授業で取り上げた高校があります。
2年生のクラスです。
帰国子女や外国にルーツがある生徒が多く通っています。
ふだん関わりの少ない人たちの事を知り、世界を広げてほしいという狙いです。
描かれている、絶望や困難。

(映画『いろとりどりの親子』より)
母親
「自閉症よ。」

自閉症のジャックは言葉がなく、周りと意思疎通ができず、家族の苦しみが長く続きました。
しかし、8歳のころ。
初めて、文字盤を指して思いを言葉にしたのです。
その言葉、『僕は頑張っている、僕は頭がいい』。

(映画『いろとりどりの親子』より)
父親
「息子の存在をありありと感じた。」

(映画『いろとりどりの親子』より)
母親
「初めて出会った気分だった。
つまり…あなたは『そこにいるのね』って。」

教室では、上映のあと、来日していたレイチェル監督を招き入れました。
生徒たちは、映画を見て感じたことを、監督にぶつけました。

生徒
「問題を乗り越えられた家族ばかりを描いているが、乗り越えられなかった家族を取り上げなかったのはなぜ?」

監督は「映画の中の家族たちも問題を乗り越えた訳ではない」と語り、次のように続けます。

レイチェル・ドレッツィン監督
「自閉症のジャックとその家族に最近会ったが、今もつらい毎日を過ごしていて困難は続いていると話していた。
でも、映画の中の家族たちは、困難から決して逃げていない。
彼らはつらい経験をも意味のあるものに変えていこうとしている。」

困難は不幸とは限らない

困難の多い暮らし。
しかし、それが不幸とは限らない。
監督はそう考えていると言います。
映画では、低身長のジョセフが、自分に向けられるまなざしについて、こう語っています。

(映画『いろとりどりの親子』より)
ジョセフ
「『俺があんたなら自殺する』と言い放った人がいる。
僕の体だけを見て、悲惨な人生だと決めつけた。」

しかし実際には、ジョセフはやりがいのある仕事につき、同じ低身長のリアと結ばれます。
そして、子どもも授かりました。
家族とともに、喜びあふれる日々を送っています。

つらい経験を意義深いものに変える“選択肢”

映画を見た生徒たち。
その多くが語ったのは、新たな気付きについてでした。

生徒
「私たちが思う幸せってを押しつけてはいけないと思った。
(映画の登場人物は)自分が思っているよりもいきいきしいた、自分の人生よりも。」

生徒
「その人たちなりの個性があって、その中で幸せを作っていけるというのが、すごく感動した。」

レイチェル・ドレッツィン監督
「誰もが、つらい状況に直面してもその経験を意義深いものに変えられる。
それは勇気ある生き方であり、それこそが彼らから学べることだ。
私たちには常にそうした“選択肢”があることを知ってほしい。」

『幸せの形は無限にある』

高瀬
「この映画は、『幸せの形は無限にある』という言葉で締めくくられています。」

和久田
「『幸せ』は人と比べて感じるものではないのだと改めておもいましたよね。
映画を見た人たちの多くは、幸せの形を狭い価値観で決めつけていたことに気付くと同時に、『自分とは違う生き方を知ることは楽しい』など、世界観が広がったことへの感動を口にしていました。」

高瀬
「そうした気づきや感動がどんどん広がっていくことで、世界がもっと寛容に、あるいはやさしくなれるということを伝えているのかもしれません。」

和久田
「映画『いろとりどりの親子』は現在、東京、埼玉、千葉の3つの映画館で上映中で、今後、順次、全国で公開していく予定だということです。」

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