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2018年10月18日(木)

人間は神になる!?『ホモ・デウス』とは

高瀬
「世界的なベストセラーについてです。」

世界的なベストセラー『ホモ・デウス』。
先月日本版が発売され、幅広い人気を集めています。

読者
「視野がすごく広い。」

読者
「未来の話を書いている。
今回楽しみに待っていた。」

人類の未来を読み解くこの本は、あのビル・ゲイツやノーベル賞作家のカズオ・イシグロも注目。

著者はイスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏。
世界で800万部が売れた大ベストセラー「サピエンス全史」では、人類250万年の歴史を「小麦に人間が家畜化された」などといった、独自の視点でひもとき、衝撃を与えました。
そのハラリ氏が、私たちに示した未来の人類の姿とは…。

ベストセラー『ホモ・デウス』

高瀬
「著者ハラリさんへの単独インタビューを行った、おはBizの豊永キャスターとお伝えしていきます。
ハラリさんはどんな方なんですか?」

豊永
「深い思考に裏打ちされた荘厳な僧侶という、そんなイメージですね。
ただ、実際お会いして、話しをすると、熱い情熱を持った方でその説得力に圧倒されました。」

和久田
「書店で並んでいるのを見かけますが、上下巻で500ページ以上あるんですよね。
ちょっと読むのが大変かなと思っていました。」

豊永
「大丈夫です。
忙しい方にも、インタビューとイラストを中心に8分間でエッセンスを分かりやすくまとめました。」

「人類は、神へとアップグレードしている」

歴史と宗教が複雑に絡み合う国、イスラエル。
ハラリさんはこの地で、人類の歴史や未来を考え続けています。
タイトル、「ホモ・デウス」に込められたメッセージとは?

ユヴァル・ノア・ハラリ氏
「ホモ・デウスは神の人、神聖な人という意味です。
ラテン語でホモは人類、デウスは神。
今人類は、神へとアップグレードしているのです。」


今、世界では、AIやバイオテクノロジーの技術が急速に進化しています。
牛肉の成分を含むトマトや2倍のスピードで成長するトラフグ。
どちらも、DNAの書き換えによって生まれました。
ハラリさんは、人類が歴史上はじめて、神だけが許された領域に踏み込み、その力を使って、みずからを自分を作り変えようとしているのだと言います。

ユヴァル・ノア・ハラリ氏
「人類は神の力だと信じられてきた能力を手にしようとしています。
これまで私たちは技術によって周りの環境を変えてきましたが、自分自身を変えることはありませんでした。
バイオテクノロジーとAIは、私たち自身を変える可能性があるのです。
身体や脳、考えを変化させ、新たな人類が生まれようとしているのです。」

ホモ・デウス以外は“無用者階級”

一方ハラリさんは、テクノロジーの進化によって、人間は単にAIにデータを提供するだけの存在になるおそれがあると警鐘を鳴らしています。
将来、人間社会にはこれまでにない格差が生まれ、一部のエリート、ホモ・デウス以外は社会的な価値を持たない“無用者階級”と呼ばれる層に落ちぶれてしまうというのです。


ハラリさんは本のなかで次のように語っています。

(『ホモ・デウス』より)
“私たちは新しい巨大な非労働者階級の誕生を目の当たりにするかもしれない。
社会の繁栄と力と華々しさに何の貢献もしない人々だ。
この無用者階級は失業しているだけではない。
雇用不能なのだ。”


ユヴァル・ノア・ハラリ氏
「AIを使えばコンピュータによって多くの作業が行われるため、人間は労働市場から追い出され、多くの人が経済的価値や政治力を失い、“無用者階級”となります。
バイオテクノロジーによって、経済的でなく、はじめて生物学的な不平等が生まれるのです。」

歴史的な転換点にいる

和久田
「『無用者階級』……。
用がないと言われるとちょっと…、かなり厳しい表現ですね。」

豊永
「確かに厳しいですよね。
ただ、ハラリさんが言いたいことというのは、歴史的な転換点に私たちがいるということなんですね。
人類の進歩を列車に例えてみます。
歴史をひもとくと、産業革命などいろいろな変革の『駅』がありました。
乗り遅れても、後から走って列車に飛び乗ることができました。

ところが今の変革期を離れるのは『最終列車』になります。
1度乗り遅れると、もう2度と追いつけない、そういう段階にきてしまっているというわけなんです。

無用者階級に陥らずに私たちが幸せになるには何が大切なのか。
ハラリさんに聞きました。」

「自分が何者であるのか」

ユヴァル・ノア・ハラリ氏
「最も大切なことは、自分自身を知ることです。
自分が何者であるのかを理解することです。」

自分を知る努力を怠ると、日々の選択をAIに支配され、欲望すら操作されるようになってしまう。
それを防ぐには、みずからを知り、判断することだとハラリさんは説いています。

さらに、これからの未来を生きる子どもたちは、より厳しい自己変革が求められると言います。

(『ホモ・デウス』より)
“現在、子どもたちが学校で習うことの大半は、彼らが40歳の誕生日を迎えるころにはおそらく時代遅れになっているだろう。”

“人間が取り残されないためには、一生を通して学び続け、繰り返し自分を作り変えるしかなくなるだろう。”


ユヴァル・ノア・ハラリ氏
「今一番大きな問題だと感じているのは、子どもたちのことです。
彼らは歴史上はじめて、自分が成長したときの世の中を予測できない世代となります。
彼らに伝えたいことは、人生を通じて変化すること。
そのために、柔軟な心を持つことが、とても大切だということです。」

考え抜くこと・学び続けること

高瀬
「普段AIなどよく伝えていますが、行き着く先がどういう世界なのかというのがやはり気になるところです。
これを見ていると、あんまり明るくないなと…。」

和久田
「ちょっと暗い未来を想像しちゃいますね。」

豊永
「厳しい現実を突きつけられたかと思いますが、ハラリさんは未来を悲観しているわけではないんですね。
本の最後は読者への問いかけで終わっています。
こんな歴史上にない変革の時代だからこそ、『ボーッと生きていてはいけないよ』ということなんですね。
自分らしさは何なのか考え抜き、学び続けることの大切さを訴えているとインタビューを通じて感じました。」

和久田
「いろいろ考えが出てきますけども、みなさんもぜひ秋の夜長に、自分の考えに思いを巡らしてはいかがでしょうか。」

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