これまでの放送

2018年8月25日(土)

東京パラリンピックまで あと2年 より楽しむためには?

4年に1度のパラスポーツの祭典、パラリンピック。
肉体の限界への挑戦。
プライドをかけ、死力を尽くし、躍動する超人たち。
その興奮と感動の時が迫っています!

パラリンピック 日本での認知度・関心度は?

小郷
「2年後の今日、2020年8月25日に東京パラリンピックが開幕します。
車いすラグビーは今月(8月)、世界選手権で金メダルを取りましたよね。」

新井
「そしてボッチャも先週、世界選手権で銀メダルを取りました。」

小郷
「2年後の日本勢の活躍に、とても期待が高まりますね。」

新井
「しかし、こんなアンケートがあるんです。
パラリンピックの認知度や関心度について、去年(2017年)調査したものなんですが、パラリンピックを会場で観戦したいかどうか聞いたところ、『観戦したい』と答えた人はおよそ17%。
前回開催国のブラジルでは、64%でした。
こうして見ますと、日本での数字はかなり低いことが分かったんです。」

小郷
「では、どうすればパラリンピックに関心をもってもらえるのか。
2人のパラアスリートを取材しました。」

“一度見たら夢中に” 車いすバスケ 清水千浪選手

車いすバスケットボールの清水千浪(しみず・ちなみ)選手です。
東京パラリンピック出場を目指しています。

車いすバスケ 清水千浪選手
「すごく充実していて幸せ。」

清水選手はかつて、現在の「なでしこリーグ」で活躍するサッカー選手でした。
しかし6年前、病気によって血液のめぐりが悪化し、両足に障害を負いました。
パラスポーツが頭に浮かんだこともありましたが、必ずしもいいイメージは持っていなかったといいます。

車いすバスケ 清水千浪選手
「リハビリのようなものかなと思ったり、障害がある不自由な人ががんばっているんだなと。
“かわいそう”じゃないけど、あまり見てはいけないのかなという、ネガティブな気持ちのほうが大きかった。」

しかしある時、そのイメージはがらりと変わりました。
地元にある、車いすバスケットボールの強豪チームの練習を訪ねた時でした。
巧みなフェイントにドリブル。
そして、激しいぶつかり合い。
その全てが清水選手を魅了しました。
今では毎週、男子チームに混じって練習するほど、のめり込んでいます。

車いすバスケ 清水千浪選手
「実際やってみると、全然イメージとは全く違う。
本当に“スポーツ”。
今まで障害者スポーツを見に来たことがなかった方に、車いすバスケに限らず、いろんなスポーツを見てもらって、魅力を感じて楽しんでほしい。」

“観客を魅了するアスリートに” 走り幅跳び 中西麻耶選手

障害者ではなく、1人のアスリートとして見てほしい。
その思いで競技を続けている選手がいます。
走り幅跳びのアジア記録保持者・中西麻耶(なかにし・まや)選手です。

パラリンピックに3大会連続で出場。
日本のパラスポーツをけん引してきた1人です。
パラスポーツが、スポーツとしての地位を確立している海外。
これに対して日本では、まだスポーツとして見られていないという歯がゆさがありました。

走り幅跳びアジア記録保持者 中西麻耶選手
「本当にかっこよくありたい、アスリートでありたいと思ってやっているんですが、『足が痛いやろうから走るのやめればいいのに』という声が多かった。
“障害者”という感覚が先に来ちゃうから、そういう目線になるのだと思う。」

どこまで努力しても“障害者”としか見られない。
無力感にさいなまれ、6年前、中西選手は現役を退きました。
再び陸上の舞台へ戻るきっかけとなったのは、「誰よりも障害にこだわっているのは自分自身ではないか」というコーチの言葉でした。

走り幅跳び 中西麻耶選手
「俺は“陸上すれば”と言っているのに、おまえはなんですぐ“障害者のなんとか”とか、自己紹介するときも“陸上選手”でいいのに、“パラリンピックの陸上選手”と言うだろと。」

北京大会以降、パラリンピックの競技レベルは急速に上がっていました。
当時のオリンピックの金メダリストを上回る、8メートル超えの跳躍を見せる海外の選手。
健常者の記録を超えるパラ選手が現れ、観客を魅了し始めていたのです。
「障害者」や「健常者」といった枠を超え、「1人のアスリート」であることを示したい。
中西選手が目標に据えたのは、健常者のトップ選手でも難しい、6メートルを跳ぶことです。
そのため去年始めたのが、体幹を直接鍛えるピラティス。

義足のため損なわれた体のバランスを改善しようと、陸上選手としては珍しく、導入に踏み切りました。
練習でも、ピラティスの専門コーチが跳躍のたびに、体のバランスを細かくチェックします。

走り幅跳び 中西麻耶選手
「2020年の舞台に立つときに、『6メートル跳ぶから、その瞬間を生で見ておきたい』と思ってもらえるように、これからも努力していきたい。」

なぜ関心が低い?

新井
「取材した中野記者とお伝えします。
お2人とも真剣に競技に打ち込んでいて、まさに『アスリート』ですね。」

小郷
「それにしても、どうして日本は海外に比べるとパラスポーツに関心が低いのでしょうか?」

中野陽介記者(スポーツニュース部)
「まずは最近、競技面で飛躍的にレベルを上げてきた海外と差をつけられてしまったというのが大きいと思います。
海外では、ご紹介したようにスター選手が活躍して人気を引っ張ってきました。
同時に、障害者の社会進出や施設整備が進んだほか、選手のPR戦略を功を奏し、パラスポーツをより身近に感じる環境が生まれているんです。」

小郷
「逆に日本では、そうした環境がまだ十分に整っていないということなんでしょうか。」

為末大さんが語る パラスポーツの見どころ

新井
「では、私たちはどうすれば、よりパラスポーツを楽しむことができるのか。
自らも義足の開発に関わるなど、パラスポーツに詳しい、元陸上選手の為末大さんに伺いました。」

元陸上選手 為末大さん
「今は本当に競技者が増えてきて、勝つことが難しくなっている。
技術力が高まってきている。
単純に競技力が高いというのがパラリンピアンのすごさ。
自分なりの練習が何なのか、どの筋肉が使えて、使えないのか、考えながらやらないといけない。
選手たちの工夫してきた背景を知ることも、おもしろさにつながる。」

パラリンピック より楽しむには?

小郷
「選手個人個人をもっとよく知ることで、より楽しめるということなんでしょうか。」

新井
「まずは競技に触れる機会を作るということが大切ですよね。」

中野記者
「そうですね。
実際、私も競技を見るたびに、素直に『すごい』と思います。
パラスポーツは、障害者にリハビリや楽しみとしても本当に大切な役割を果たしていると思うのですが、健常者のスポーツと同様に、常識を覆すような、『見て楽しめる』という、まさにスポーツの世界があるなと感じています。」

小郷
「先ほどご紹介した清水選手や中西選手も、今年(2018年)10月に開かれるアジアパラ大会の代表にも選ばれたということなんですよね。」

中野記者
「まずは東京大会までに、こうした競技会が何度か開かれますので、ぜひ現地でもテレビでも観戦してほしいなと思います。
為末さんも、『まずは肩ひじをはらずに、パラスポーツを気軽に楽しむことから始めてほしい』と話されていました。」

小郷
「まずは実際に見て触れるということが、第一歩かもしれませんね。」

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