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2018年4月29日(日)

山口「秋芳洞」で発見 未知の巨大空間

3億年をかけて形成された石灰岩の台地、山口県の秋吉台。





その地下に広がるのが、日本最大の空間を持つ鍾乳洞「秋芳洞」です。
石灰岩が作り出す、神秘的な光景が至る所にみられ、国の特別天然記念物にも指定されています。
去年(2017年)その奥深くに、新たな空間が発見されました。
NHKはその調査に同行。
内部の様子を初めて撮影しました。

「何かあります。」

「そっちの方、続いてますか?」

「これは、でかいですね。」

小郷
「観光地としても有名な秋芳洞ですが、この奥で見つかった知られざる空間を、今日(29日)はテレビ初公開でご覧いただきます。」

新井
「取材にあたった、門田カメラマンです。
新たな空間、どこで見つかったんでしょうか?」

門田真司カメラマン(映像取材部)
「まずは、こちらをご覧ください。

これは、秋芳洞の断面図なんですが、実際に秋芳洞は、この25倍、およそ9,000メートルにわたって洞窟が続いています。」

新井
「この奥にまだ続いているんですね。」

門田カメラマン
「これはごく一部です。
緑色の場所が観光客の方が入れる場所で、その奥に、ちょっと開けた空間があるかと思います。
その天井部分に、新たな空間へと続く入り口があったんです。
今回、その空間の全容を把握しようと、調査チームが結成されました。
私も同行してきたんですけれども、そこには、奥へ奥へと続く、新たな空間が広がっていたんです。」

秋芳洞 未知の巨大空間とは?

今回の調査は、3日間にわたって行われました。

調査チームには、新空間を発見した秋吉台科学博物館の村上崇史さんのほか、洞窟に詳しい大学の研究者や測量の専門家、洞窟専門の写真家が集まりました。

秋吉台科学博物館 村上崇史特別専門員
「落石が起きるので、間をあけないで行きましょう。」

新空間が見つかったのは、秋芳洞の奥深く、観光客が立ち入れない「須弥山(しゅみせん)」と言われる場所です。

門田カメラマン
「新空間の入り口は須弥山のどこ?」

秋吉台科学博物館 村上崇史特別専門員
「須弥山の天井に開いている2つの穴。
左側の穴、あの先が新空間。」

須弥山の天井の一番高い所、高さ30メートル、ビル8階ほどの高さにある、この穴の先に新空間があることが分かったんです。

新井
「でも、こんな高いところにどうやって入るんですか?」

右にもう1つ、別の穴があるんですが、この穴を使うんです。
この穴、もともと地上につながっていることが知られていました。
そこから入って行くこと、80メートル。

別動隊が穴を下りてくると、ここに出てきます。
そして、下にいる隊員にロープを垂らします。
このロープを登って新空間に行くんです。

小郷
「これは技術がないと、なかなか入れないですね。」

門田カメラマン
「ロープを30メートルほど登ってきました。
下を見ると真っ暗で、何も見えません。」



ロープで登ること15分。
やっと入り口にたどり着きました。

小郷
「入り口にたどり着くだけでも大変ですね。」

しかし大変なのは、ここからなんです。

新空間は、入り口から縦穴になっていて、上へ上へと延びていたんです。
20キロの荷物を引きずりながら登ること、およそ1時間。
見えて来たのが…。

秋吉台科学博物館 村上崇史特別専門員
「大回廊ですね。」

高さ15メートル、長さ80メートルの巨大な空間が姿を現しました。

新井
「そんな大きいんですね。
でも、暗いと分かりにくいですね。」

そこで、洞窟写真の専門家の出番です。
洞窟の隅々まで照らし出すため、たくさんのストロボを設置して、無線で同時に発光させます。

洞窟写真家 後藤聡さん
「撮りまーす。」

見てください。

人と比べると、空間の大きさが分かりますか?

小郷
「中央にいる人が、すごく小さく見えますよね。」

鍾乳石の巨大な柱も見つかりました。

こちらは花のように見えますが、「フロストワーク」と言われる、珍しい鉱物の結晶です。

新井
「こんなものも見られるんですね。」

洞窟の形を詳細に把握するために、レーザーを使った3D測量も行いました。

得られたデータをCG化したのが、こちらです。

小郷
「これだと、細かいところまでよく分かりますね。」

これによって、新空間は、アリの巣のように入り組んだ複雑な形をしていることも分かりました。
さらに調査を続けると、こんなものも見つかりました。

福岡大学 理学部 石原与四郎助教
「これ、たぶん堆積物。」

この黒い部分、炭なんですが、これを調査の後で分析したところ、9万年前に噴火した阿蘇山の火砕流が堆積したものと分かったんです。
当時、このあたりに地上に続く穴があって、そこから流れ込んだと考えられます。

新井
「タイムカプセルのように地球の歴史が刻まれているんですね。」

さらに注目したのは、丸で囲んだ天井部分の「ポケット」と呼ばれるくぼみです。
このくぼみから、あることが分かるといいます。

福岡大学 理学部 石原与四郎助教
「ポケットがあるということは、ずいぶん上に地下水面があって、空間全体が水に満たされていた時代のもの。」

ポケットは、石灰岩が地下水で侵食されてできます。

ポケットが天井にあることから、秋芳洞はこれまでよりも高い水位の水で満たされていたことが分かりました。
このことは、地下水で侵食された洞窟が、ほかの場所にまで伸びている可能性を示しています。
調査チームは、さらに先に進みました。
すると、もっと奥まで空間が続いていることが分かったんです。
どこまで続いているのか。

村上さんが線香をたくと、その煙が穴の奥へと流れました。
進む先に、地上まで伸びる空間が続いている可能性も出てきました。
それを裏付けるような発見も。

この金属の輪。
コウモリに取り付けられた生態調査のための標識です。
付近にコウモリが出入りする空間がある可能性を示しています。
さらなる空間の出現に期待も膨らみますが、ここに来るまでに、すでに8時間以上が経過していたため、今回の調査は、ここで終えることにしました。
全容解明は、次回に持ち越しです。

秋吉台科学博物館 村上崇史特別専門員
「きょうの装備では、ここが限界。
まだまだ終わらせてくれない穴という感じがします。」

小郷
「全容解明とはなりませんでしたけれども、空間って、まだまだ奥深くに続いてそうでしたね。」

門田カメラマン
「そうですね、まだまだ続いていると思います。

それで、こちらですが、赤い場所が、今回、形や長さが明らかになった新空間です。
長さを測量したところ、なんと800メートルほどあるということが分かりました。
調査チームは、この夏にも次回の調査を実施して、全容の解明に努めたいと話していました。」

新井
「次の調査も楽しみですね。」

門田カメラマン
「期待したいと思います。」

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