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2018年4月25日(水)

留学生を確保せよ 地方の高校と自治体の試み

高瀬
「今、日本に住む、『外国人』は過去最多の256万人あまり。
さまざまな分野で、外国人への依存が進んでいます。
今日は、独自に分析したデータから読み解いていきます。」

地方で外国人人口が増えている

和久田
「こちらをご覧いただきましょう。」

和久田
「日本地図が赤くなっているところは、外国人人口が増えているところ。
この5年で全国のおよそ75%にあたる、1,316市区町村で、外国人が増えています。
どの地域で増え方が大きいか見てみますと、北海道をはじめ、地方の自治体で外国人の伸びが顕著であることがわかります。

和久田
「その要因の一つが留学生の存在です。
各地で留学生を呼び込もうという動きが広がっているのです。」

全校生徒の9割を中国人留学生が占める高校

高校 校長
「学生の皆さん、中国人民に深く敬意を表します。」

これは中国の学校…ではなく、宮崎県えびの市にある私立の高校の入学式です。

留学生代表
「留学生167名は、日本の大学への進学を目的とし…。」

日本人の生徒は16人だけ。
全校生徒の9割を、中国人留学生が占めています。

20年間で35%減 宮崎県の高校入学者数

もともとは、日本人だけだったこの高校。

15年ほど前から、生徒集めに苦労するようになりました。
背景にあるのは急激な少子化です。
宮崎県の高校生の入学者数はこの20年で35%減少。
この高校でも経営が立ち行かなくなるおそれが出てきたのです。

日章学園九州国際高等学校 馬籠勝典校長
「どんどん日本人の生徒が減っていきました。
会社じゃありませんが倒産です。」

外国人留学生を1年かけて日本の有名大学に進学させる戦略

そこで目をつけたのが、外国人留学生でした。
中国・長春(ちょうしゅん)に設立した、系列校の生徒をまとめて受け入れ、1年かけて、日本の有名大学に進学させる戦略に、打って出たのです。

尹傳淇(いん・でんき)さんです。
日本の文化に興味があったことに加え、激化する一方の中国国内の受験競争も、日本行きの背中を押したと言います。

尹傳淇さん
「中国の大学受験は、競争が激しい。
どんなに努力しても、上には上がいます。
大学に入るため日本に来たので、静かに勉強できる環境に満足しています。」

大学入試対策を徹底 7年連続で進学率100%

2年間にわたって日本語を学んできた留学生たち。
授業では大学入試の対策を徹底的に行います。

こうした指導が実を結び、7年連続で進学率100%を実現しています。
継続的に、生徒を確保できたことで、学校の経営も安定。
今では、生徒数の減少に悩む各地の学校から、問い合わせが相次いでいるといいます。

日章学園九州国際高等学校 馬籠勝典校長
「日本人の生徒を集めるのが難しい。
中国が一番近い国ではありますし、(中国の)子どもたちが来てくれれば、学校経営は成り立つ。」

『人口減少対策』としての外国人

高瀬
「ここまでしなくては、高校が生き残れない、という背景には、地方で日本人の減少が急速に進んでいるということがあります。

和久田
「こちら、青い部分は、日本人が減少している自治体です。
一方、赤い部分は人口が増えていて、その数335にのぼります。
こうした中には、日本人が減ったものの、外国人が増えたことで人口が増えた、という自治体もあります。
『人口減少対策』としても、外国人の存在が高まってきています。」

高瀬
「北海道東川町は、町が自ら留学生集めに乗りだし、人口を増やすことに成功しています。」

町が 授業料を半分負担・家賃補助・毎月8,000円分の買い物カード

北海道の中央部にある東川町。

3年前、全国で初めて町みずからが日本語学校を開設しました。
タイやベトナムなど、アジア各国から集まる留学生のために、手厚い支援も行っています。
町が授業料の半分を負担。
寮の家賃も補助しています。
さらに。

留学生
「ポイントカードで払えますか?」

店員
「いいですよ。」

毎月8,000円分の買い物ができるカードを、留学生全員に配付しています。

モンゴルの留学生
「東京とか大阪より、低い(安い)のでいい。」

約200人の留学生で地方交付税4,000万円を確保と試算

町がここまで力を入れるのは、財政上のメリットがあるからです。
人口に応じて、国から配分される地方交付税。
東川町では、およそ200人の留学生が住んでいるため4,000万円を確保できると試算しています。
それを財源に高齢者福祉や子育て支援の充実につなげています。

東川町 松岡市郎町長
「外国人であろうと、人が住んでいるということは、町にとって極めて大きなメリットがある。」

課題は 留学生のほとんどが定住しないこと

一方で課題もあります。
留学生のほとんどが、卒業後、町を離れてしまうのです。
いまの日本の制度では、留学生がそのまま日本に残る道は限られていて、これまで町に定住した外国人は2人しかいません。

東川町 松岡市郎町長
「入り口に今まで重点を置いてきた。
海外の人も含めて、町が持続できるよう担ってほしい。」

「受け入れ制度をしっかり作っていかないと」

高瀬
「取材した吉村記者とお伝えします。
短期間しかいられない留学生を呼び込むことで人口を増やし、地方交付税を増やすという取り組みに、問題はないのでしょうか。」

吉村啓記者(NHK旭川)
「総務省に確認したところ、『当然、留学生も住民で、住民が増えれば、その分行政コストもかかるので地方交付税の額が増えるというのは問題ない』ということでした。」

和久田
「一方で、せっかく日本語学校をつくって留学生を招き入れたとしても、彼らが住み続けるのは難しいんですよね。」

吉村記者
「今の在留資格の制度では、日本語学校を卒業しただけでは日本で就職することはできません。
母国で大学を卒業しているか、日本語学校を卒業してから日本の大学や専門学校に進学しなければ、就職して残り続けることはできないのです。
外国人の定住に詳しい、日本国際交流センターの毛受敏浩(めんじゅ・としひろ)さんは『地方では、留学生にとどまらず、外国人の移住・定住を進めていこうという動きまで出ている』と指摘した上で、次のように話しています。」

日本国際交流センター 毛受敏浩さん
「自治体、NPOだけでは限界がある。
外国人に対する、国の受け入れ制度を、しっかり作っていかないと、現場の対応だけでは無理がある。」

吉村記者
「人口減少対策が、待ったなしとなっている中で、地域の担い手として、外国人の存在をどうとらえるのか、日本全体で考えなければいけない時期に来ていると思います。」

<関連リンク>
外国人“依存”ニッポン

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