これまでの放送

2018年2月9日(金)

囲碁・井山裕太 なぜ世界一になれなかったか

高瀬
「囲碁七冠・井山裕太さんの世界挑戦です。」

和久田
「取材した、おはよう日本の吉岡ディレクターとお伝えします。
惜しかったですね!」

吉岡芙由紀ディレクター
(囲碁アマチュア5段・井山さんと同じプロの養成機関に通っていた)

「今週行われた、中国の若手棋士・謝爾豪(しゃ・じごう)さんとの世界一をかけた3番勝負だったのですが、1勝2敗で、念願の世界タイトルまであと1歩でした。」

勝負を分けたのは「持ち時間」

高瀬
「勝負を分けたポイントはどこにあったのでしょうか?」

吉岡ディレクター
「『持ち時間』です。
日本のタイトル戦の持ち時間は5時間や8時間が多いんですが、今回の世界戦は3時間。
この時間の使い方が勝負を分けました。」

【第1局】時間をかける井山裕太 かけない謝爾豪

今週月曜日に行われた第1局。
1手を打つまでの時間が対照的でした。
井山さんは、時間をかけて考えます。
ようやく打つと…。
一方、謝爾豪さんはすぐに打ち返します。

「速いんですよ、どんどん打っちゃうんですよね。」

1手のミスも許されない勝負所。
ここでも、時間をかけず、どんどん打ってきます。
終盤まで、謝爾豪さんは持ち時間を1時間以上も残していました。
これに対し、井山さんは持ち時間すべてを使い切り、1手40秒以内に打たなければなりませんでした。
その後、井山さんにミスが出て、謝爾豪さんが勝ちました。

井山裕太七冠
「時間がなくなってから、読み切れなかった部分が多かった。」

スピードと正確さをたたき込まれた謝爾豪

和久田
「打つスピードがこんなにも違うものなんですね。」

吉岡ディレクター
「先週もお伝えしましたが、中国では子どもの頃から、いかに短い時間で、いかに正確に勝てる一手を打てるか、徹底的な英才教育でたたき込まれています。
「囲碁・井山裕太が戦う中国棋士 強さの秘密」2018.2.2けさのクローズアップ
その中国のトップ棋士である謝爾豪さんの実力が発揮された対局でした。」

高瀬
「これまでは実力がベールに包まれていましたが、まだ19歳の謝爾豪さん、驚くべき強さですね。」

吉岡ディレクター
「しかし、2局目は井山さんが意地を見せました。」

【第2局】持ち時間が無くなっても落ち着き 井山裕太が大逆転

劣勢で終盤を迎え、第1局と同じように時間を使い切ってしまった井山さん。
しかし、この日は違いました。

「すごいですね。」

「マジックです。」

ここからミスなく手を打ち続け、大逆転。
僅差で勝利を収めました。
持ち時間が無くなって、あせりが出た第1局の反省を生かし、最後まで落ち着いて攻め続けたことが勝因でした。

井山裕太七冠
「形勢も時間も苦しい碁になってしまった。
その中でなんとか粘れたのはよかった。」

【第3局】謝爾豪が一転 時間をかけて慎重に打つ

そして、勝負の第3局。
この日の謝爾豪さんは、これまでの対局とは違っていました。

謝爾豪さんのコーチ 兪斌さん
「今日の対局は、時間をかけて慎重に打っているね。」

時間をかけて考え抜く謝爾豪さん。
勝負どころで繰り出した一手に、観戦していたプロ棋士から驚きの声が上がります。

高尾紳路九段
「(井山七冠が)逆転かと思ったんですけど、難しかった。
相手が冷静。」

これが決め手となり、あえなく井山さんは投了。
惜しくも世界一を逃しました。

謝爾豪さん
「井山さんは想像した以上に強かった。」

井山裕太七冠
「少しでも早く正確に、世界と常に戦っていくには、そういうところが求められる。
これが実力。」

厚かった世界の壁

和久田
「世界の壁は厚かったですね。」

吉岡ディレクター
「ただ、優勝こそは逃しましたが、準決勝では世界で最も強いと言われている中国人棋士を破り、日本勢として13年ぶりに決勝まで進出するなど、井山さんにとって収穫の多い大会だったと思います。」

高瀬
「今後の戦いも注目ですね。」

吉岡ディレクター
「今月(2月)の終わりには、中国の上海で、日本・中国・韓国のトップ棋士が参加する大会があり、井山さんは参加する予定です。
今回の敗戦をいかし、ぜひ、世界一になってほしいと思います。」

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