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2018年2月7日(水)

“子どもを持ち 育てたい” 同性カップルが直面する課題

元気に遊ぶ2歳の男の子。
見守るのは、2人のママ。
同性のカップルで子育てをしています。



「この子自身も私たちのことを“ママ”と“ママ”って呼んでいる。」

「子どもが欲しい」レズビアンやゲイからの声

今、レズビアンやゲイなど、いわゆる性的マイノリティーの人たちの間で、子どもが欲しいと声をあげる人が増えています。
先月(1月)都内で、そうした人たちの交流会が開かれました。

参加者
「家族になりたいというのがあったので、子どもが欲しいという話は自然。」




「子どもを持ちたい」。
性的マイノリティーの人たちに迫ります。

高瀬
「レズビアンやゲイなどのLGBTを始めとした、性的マイノリティーの人たち。
自治体や企業が結婚に相当するカップルと認める取り組みが広がっていますが、『子どもを産んで育てたい』という次のステージを目指す人が出てきています。」

和久田
「一体、どのようにして子どもを持とうとしているのでしょうか。」

両親から受けた愛 わが子にも注ぎたい

リポート:小倉真依(首都圏センター)

2年前に開かれた結婚式。
主役は、長村さと子さんと、パートナーのまみこさん。
共に女性です。

長村さと子さん
「これからは、まみこさんと新しい家族の形をつくりたい。」

さと子さんは、レズビアンであっても子どもを持ちたいと望んできました。
両親から受けた愛を、同じようにわが子にも注ぎたいと考えたからです。

長村さと子さん
「母親にすごく愛してもらった。
父親にもすごい愛してもらった。
お父さんがいて、お母さんがいてという家族ではないかもしれないけど、自分も母親になりたいというところがすごくあった。」

精子提供者を見つけるまでに1年

しかし、子どもを持つことはたやすいことではありません。
大きな課題が、精子を提供してくれる人を見つけることです。
さと子さんは、提供者を見つけるまでに1年かかりました。
海外の精子バンクに問い合わせたりもしましたが、最終的には、理解のある友人の男性から提供してもらえることになりました。

人工授精などの治療「原則 男女のカップルだけ」

ところが、壁に突き当たります。
同性のカップルは、病院で人工授精などの治療を受けるのが難しいのが現状です。
学会のルールでは、原則、男女のカップルだけが対象となっているのです。
さと子さんは、排卵日に合わせて提供者から精子を受け取り、機具を使って自分の体内に入れています。

長村さと子さん
「今はそれ(自分でやる)しかないから、その方法でしかできないけれど、やっぱり病院はちゃんと受けたいなと思う。
本当は、もっと堂々と。」

「誰もが子どもを持てる社会に」

今、子どもを持ちたいと声を上げる性的マイノリティーの人たちは増えています。
さと子さんらは、3年前にそうした人たちが交流する会「こどまっぷ」を都内に立ち上げました。
参加者は会をおうごとに増え、これまでに300人以上にのぼっています。

参加者
「(性的)マイノリティーは(子どもを)持てないものというあきらめを持っていたけど、いろいろな方の話を聞いて、持てるんだという思いを持つようになってきた。
授かるのであれば、欲しい。」


さと子さんは、今後こうした会を他の地域にも広げていきたいと考えています。

長村さと子さん
「私たちはそもそも、自然に(子どもが)できるわけではないからこそ、すごく考えて、悩んで、いろいろ調べて前に進んでいる。
本当に子どもが欲しいと思ったら、誰もが持てる社会になってほしい。」

「病院での治療を認めるか 社会全体の議論が必要」

高瀬
「スタジオには、社会部の瀬古記者です。
子どもを持とうと、実際に活動している人も多くいるんですね。」

瀬古久美子記者(社会部)
「そうなんです。
パートナーという横のつながりだけでなく、子どもという縦のつながりも欲しいと思うのは自然なことだと思います。」

和久田
「みなさん、子どもを持つために、どんな方法をとっているのでしょうか?」

瀬古記者
「取材すると、主に、VTRのカップルのように、友人から精子を提供してもらうケースのほか、海外の精子バンクを利用することなどがありました。
さらに、インターネットで知り合った人から精子を提供してもらう方法もありました。
しかし、産婦人科の医師は、精子の検査をせずに自分の体内に入れる場合は、感染症にかかる恐れもあり、安全性に問題があると指摘しています。
VTRで紹介したさと子さんの場合は、精子の検査をしているそうなんですけども、安全性を確保するためにも、病院で治療を受けたいと思う人が多くいるんです。
同性カップルも対象に含めるかどうか、産婦人科の医師は次のように話しています。

日本産科婦人科学会 徳島大学 医学部 教授 苛原稔医師
「生まれてきた子どもが将来どうなっていくのかまで考えて進めていかないといけない。
社会的なコンセンサスも必要。
法整備やさまざまなものが進んでいく中で、(人工授精を認めるか)考えていかないといけない。」

瀬古記者
「病院での治療を認めるかは、社会全体の議論が必要だというわけなんです。
ところが、現実には、すでに子どもを授かったカップルもいるんです。
この子育てでも、さまざまな課題に直面していることが分かってきました。」

戸籍上の親子関係がないと重要な決定ができない

同性カップルのさくらさんと、ひろさん。
2歳になる息子のはるくんを育てています。

さくらさん(仮名)
「いま、彼(息子)がいることで得られている幸せは、本当に幸せ。」




産んだのは、さくらさん。
精子は知人の男性から提供してもらいました。
しかし、ひろさんは、はるくんとは戸籍上親子関係がないため、子どもに関する重要な決定ができないのです。

さくらさん(仮名)
「私が出かけていて、彼(息子)が大きいケガをしたとき、彼女(ひろさん)は他人なので、手術などの決定権を病院で持たせてもらえないと思う。」

養育の取り決め 法的な拘束力が明確ではない

また、今後も2人で育て続けられるかという不安もあります。

精子提供者の男性とは、はるくんの養育を2人がするという取り決めを交わしていますが、法的な拘束力が明確ではないためです。

ひろさん(仮名)
「人の心は変わる。
保証されるものがない。
(提供者の男性を)信じるしかない。」

さくらさん(仮名)
「子どもに関して、法的に守られている男女の夫婦と同じような保障が欲しい。」

「もし息子が認めてくれたらうれしい」

この日、読み聞かせていたのは、2人のママが子どもを育てるという絵本。
さまざまな家族の形があることを伝えたいからです。

“「君たちは家族なの?」「そうよ」と、2人のママ猫と子猫は一緒に答えました。”

はるくんが成長し、2人の関係を聞いてきた時には、包み隠さず説明したいと考えています。

さくらさん(仮名)
「私たちの好きで彼(息子)を授かったので、私たちのことを嫌がったり憎んだりしても、それはしかたがないなと思っている。
もし、認めてくれたらうれしいなとは思う。」

「同性婚を認めて」という声に対して…

高瀬
「子どもを持ってからもいろいろな壁がありますね。」

瀬古記者
「中には、血のつながりがない方のパートナーが、子どもの病院の付き添いを断られたり、子どもが病気になった場合に看護休暇を取得できないケースもありました。」

和久田
「ただ、実際に生まれてきた子どもに不利益があったり、不安定な状況に置かれるのは避けるべきなんじゃないでしょうか?」

瀬古記者
「その通りだと思います。
取材では、結婚できないことでさまざまな弊害が出ているので、同性婚を認めてほしいという声を多く聞きました。
この同性婚、アメリカやオランダなど20か国以上で認められていますが、日本では議論が進んでいません。
同性婚には賛否両論あり、慎重な議論が必要ですが、検討は始めるべきだと思います。」