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2017年12月5日(火)

待機児童ゼロへ 保育士 争奪戦!!

和久田
「けさのクローズアップ。
子育て世代が気になる話題です。」

高瀬
「政府が原案をまとめた『幼児教育や保育の無償化』。
さらに、目標として掲げる『待機児童ゼロ』。」

和久田
「これを実現させるため重要なのが、保育士です。
保育士不足が課題となる中、まさに今、争奪戦が繰り広げられています。」

東京・新宿で開かれた保育所の求人イベントです。
35の団体が参加しました。
来年度に向けて、1人でも多くの保育士を雇おうと、この時期、競争が最も激しくなります。
あの手この手で条件をアピールします。

保育園 求人担当者
「入社祝い金20万円という制度を作って。」





10月時点の東京都の保育士の有効求人倍率は5.99倍。
どの団体も獲得に苦労しているようです。

保育園 求人担当者
「5名募集を1年やっているが、まだ1〜2名というところで。
争奪戦ですね。」




和久田
「廣田アナウンサーです。
イベントでは、さまざまな条件の求人がありましたね。」

廣田アナウンサー
「そうですね。
厚生労働省は、保育所の整備などにともなって、2020年度末までに、新たに約8万人の保育士が必要だと試算しています。
今後、さらなる獲得競争が予想される中、賃金などの条件を改善するだけでなく、『働き方改革』を打ち出す保育所も出てきています。」

保育士の働き方改革 残業を減らせ!

都内にある認可保育園です。
0歳〜5歳の125人を受け入れています。
ここでは、3年前から「働き方改革」に取り組んでいます。
目指すのは、残業のない職場です。
以前、ここの保育士は保育の時間に加え、記録の作成などの事務、翌日の準備など、多い時で「2時間」ほどの残業をしていました。
業務時間の長さや自分の子育てと両立できないなどの理由で、退職する保育士が相次いだ時期がありました。

理事 常松大介さん
「結婚、出産であるとか、人生のライフステージに応じた変化。
(保育士は)ワークライフバランスをどう成立させていくか、非常に悩んでいる。」



まず始めたのは、業務のスクラップです。
例えば、子どもたちのお昼寝の時間。

保育士の資格を持つパートを雇い、子どもに付き添ってもらいます。
こうして残業を削減。
これまで保育士が行っていたトイレ掃除などもパートに任せ、さらに削減します。
こうして、業務時間内に翌日の準備や事務仕事をできるようになりました。

さらに、“IT化”による業務の効率化にも力を入れました。
これまで保育士は、1週間の保育計画など、数多くの文書を手書きで作っていました。
この保育園ではパソコンを導入。
専用のソフトも開発しました。
よく使う言葉などが登録されていて、簡単に選ぶことができるんです。

和久田
「こんなにあるんですね。」

廣田アナウンサー
「数十種類ある中から、組み合わせたりして作ることができるんです。」

和久田
「これなら時間短縮になりそうですね。」

保育士
「やっぱり早くなった。
書く内容に悩んだ時に、文例表示もできるので。」




夕方4時。
定時で仕事を終えた保育士さん。
3人の子育中で、これからお迎えに行くそうです。

「帰って、自分のお子さんを?」

保育士
「はい、子育てをがんばります。」

この保育園では、働き方改革をした結果、出産や子育てを理由に仕事を辞める人はゼロになりました。

専門の労働組合も

職場を改善していこうと、全国的にも珍しい専門の労働組合も誕生しています。

代表の森進生(もり・しんせい)さんです。
働き方改革が進む一方で、今なお、問題を抱えた保育所が数多く残っているといいます。
寄せられた相談は1年で300件ほど。
過度な長時間労働、そしてパワハラ。
さまざまな問題を1人で抱えこみ、悩む保育士の姿が浮かび上がってきました。

介護・保育ユニオン代表 森進生さん
「待機児童を背景に子どもの数が増えたり、事務仕事が増えたり。
それに対する悲鳴として、相談が増えてきたんじゃないか。」

この日は、ある保育園の保育士たちから、残業代の未払いついて相談を受けました。

保育士
「先月、残業(代)がゼロ。」

介護・保育ユニオン代表 森進生さん
「先月(残業代が)ゼロ?
ゼロっておかしいですよね?」

保育士
「残業(代)がゼロ。」

保育士
「自分では(残業代を)計算したことがなかった。
計算すると辞めたくなると思って、あえて計算はしていなかった。」

保育士
「“持ち帰り(残業)はだめだ”と直接言われるが、“じゃあ、いつやる”となると、やっぱり持ち帰るしかない。」

組合では、各地で保育士の意見を集め、保育園の運営者と改善に向けた交渉を重ねています。

介護・保育ユニオン代表 森進生さん
「本当に良い保育を作るためには、現場の人たちが声を上げていかないといけない。
そのための支援を一緒にやっていく。」

模索が始まる

高瀬
「保育士の需要が高まっていますが、実際の職場はまだ改善の余地がありそうですね。」

廣田アナウンサー
「保育士不足の背景には、新たに就職する『なり手』が少ないという面もありますが、すでに働いている人が『定着しにくい』という課題もあるんです。
全ての業種の平均勤続年数は約12年ですが、保育士は約8年と短くなっています。」

和久田
「『待機児童ゼロ』という大きな目標に向かうためには、長く働き続けられる環境を整えていくことが大切なんですね。」

廣田アナウンサー
「国も先月(11月)から、保育士の仕事の負担を減らすことを目的にITの導入について検討会を始めました。
今、各地でさまざまな取り組みが始まっています。
こうした働き方改革の結果なんですが、リポートで紹介した都内の保育園では『保育士が子どもと向き合うことに集中できた』という効果もあったようです。
子どもたちのために、さらなる取り組みに期待したいですね。」