これまでの放送

2017年9月2日(土)

若者に広がるカフェイン中毒

小郷
「私たちにとって身近な存在である『カフェイン』の話題です。」



二宮
「コーヒーやお茶には、カフェインが含まれていることでよく知られていますが、最近、コンビニや薬局などでよく見かけるようになった『エナジードリンク』と呼ばれる清涼飲料水にもカフェインが含まれています。
そして、カフェインを含んだ錠剤もあります。
カフェインには、眠気覚ましや覚醒効果があり、日常的に活用している人も少なくないと思います。」

小郷
「二宮さんも、いつもおはよう日本の放送前には、エナジードリンクを飲んでいますよね。」

二宮
「けさも飲みました。」

小郷
「こうした飲み物や錠剤は、適量を守れば問題はありませんが、大量に摂取し、“急性カフェイン中毒”にかかる若者が相次いでいることが分かってきました。」

若者が陥る “急性カフェイン中毒”

真中玲さん、28歳です。
派遣の仕事を、複数掛け持ちしています。
この日は、早朝から600枚のチラシ配り。
4年前、仕事を頑張りたいという思いから、いわゆるエナジードリンクと、カフェイン入りの栄養ドリンクを短時間に4本飲んだところ、悪寒や手のしびれを感じました。
すぐに病院に駆け込み、急性カフェイン中毒と診断されました。

真中玲さん
「すごい忙しくて、もう休む暇がなかった。
でも、次(の仕事)が迫っている感じがあって、やっぱり『難しい、超えられない』って思うときに、エナジードリンクは飲んでしまいます。」

その後は、エナジードリンクを控えるようにしていましたが、踏ん張りたいと考えた時は、どうしても飲んでしまいます。

真中玲さん
「そんな疲れなくなります、これを飲むと。
歩いても、歩いても。
なんか、まだ行けるなって感じがします。」

深夜は、別の仕事に向かう真中さん。
疲れが残ると、翌朝にも飲むといいます。

真中玲さん
「一日働いてしまうと、次の日にやっぱりくるんです、疲れっていうのが。
また『次の日も頑張らなきゃ』って思って飲むと、永遠に続いてしまう。」

仕事をこなしていくために、カフェインに頼る生活が続いています。

若者の間に広がる急性カフェイン中毒。
7月に開かれた日本中毒学会。
平成27年度までの5年間に、急性カフェイン中毒で101人が搬送されたことが初めて報告されました。
搬送された人の9割以上は、ドリンクではなく、錠剤を摂取していました。
このうち3人は、錠剤を過剰に飲んで死亡していました。
なぜ、錠剤を過剰に摂取してしまうのか。

去年(2016年)、急性カフェイン中毒で搬送された片瀬望さん、20歳。
当時浪人生で、眠ってはいけないというプレッシャーがありました。
はじめはエナジードリンクを飲んでいましたが、次第に物足りなくなっていったといいます。

片瀬望さん
「エナジードリンクは、だんだん効かなくなってきている感じがしました。」

そんな時、片瀬さんは勉強を教えてもらっていた先輩から、効率よくカフェインを摂取できる錠剤があることを聞きました。
海外の製品で値段も安く、インターネットで簡単に購入できました。

片瀬望さん
「効果が出るのもエナジードリンクよりも早くて、こっちの方がいいと思いました。」


服用を始めると、錠剤の数が少しずつ増えていきました。
パッケージには1日3錠までと、英語で書かれていましたが、片瀬さんはそれに気づきませんでした。
そしてある日、4時間ほどで6錠を飲み、嘔吐が続いて、手足のしびれを感じ、救急車で運ばれました。
今は服用を控えています。

片瀬望さん
「こんなに身近な物質で、手軽にインターネットで買えるようなもので、あんなことになるっていうのは本当に驚いたし、怖かったですね。」

様々な中毒症状や依存症に詳しい、松本俊彦医師です。
より強い効果を求める性質がカフェインにはあると、改めて周知するべきだと考えています。

国立精神・神経医療研究センター 松本俊彦医師
「効果に、だんだん体が慣れていってしまう。
だから慣れた分を補うためには、摂取量を増やさなきゃいけなくなってくる。
もっと効率よくカフェインを摂取する方法として、錠剤っていう選択肢が出てくる。
より効率的で、より強烈な効果が得られる方法を求めていく。」

小郷
「スタジオには、取材にあたった金澤記者です。
カフェインでこうした中毒症状が出るというのは、怖いなというふうに思ったんですけれども、具体的にどれぐらい摂取すると、こうした中毒症状が起きる恐れがあるのでしょうか?」

金澤隆秀記者(社会部)
「まず、エナジードリンクや錠剤にどれくらいのカフェインが含まれているのかご紹介します。

カフェインを含む飲み物として代表的なのはコーヒーですが、100ミリリットルあたり60ミリグラム含まれています。
それに対し、エナジードリンクでは、主な商品で100ミリリットルあたり20ミリグラムから90ミリグラムほど入っています。
また、錠剤は1錠で100ミリグラム含むものが多く販売されていて、中には200ミリグラム含むものもあります。
日本中毒情報センターによりますと、成人では短時間に1,000ミリグラム以上を摂取すると、中毒症状が起きる可能性があるという研究データがあるということです。
また、医師の中には、200ミリグラムから300ミリグラムの摂取でも、人によっては中毒症状が出ると指摘する人もいました。」

小郷
「個人差もあるということですよね。」

二宮
「過剰摂取を抑えるために、メーカー側はどういった対策をとっているのでしょう?」

金澤記者
「エナジードリンクのメーカーの中には、子どもや妊娠中の女性に注意を呼びかけているところがありますが、多くの商品では、1日に飲む量の目安などは示されていません。

メーカーで作る全国清涼飲料工業会は、『カフェインを多く添加した清涼飲料水の適切な表示について、自主的なガイドラインの作成を検討したい』としています。
また、カフェインを含む錠剤のメーカーは、『業界団体を通して、適正使用の呼びかけを引き続き行っていく』としています。
一方、厚生労働省もカフェインの過剰摂取を控えるよう、ホームページなどで注意喚起を行っています。」

厚生労働省 食品基準審査課 関野秀人課長
「カフェインが日常身近な物質である一方、中枢神経に働いて、過剰な摂取によりリスクを伴う。
過剰な摂取を控えてもらうよう、注意喚起は絶えずしていきたい。」

金澤記者
「学会が公表した、カフェイン中毒で搬送された人の中には、自殺目的で大量にカフェインを含む錠剤を摂取したと見られる人もいたといいます。
カフェインは、適切な量であれば健康に問題はありませんが、過剰に摂取すると非常に危険だということを多くの人に知ってもらうよう、今以上に強く注意喚起していくべきだと思います。」

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