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2017年6月30日(金)

山岳捜索 ドローンが役立つ理由

高瀬
「間もなく、夏山シーズンの到来です。
登山ブームが続く中、遭難者が増えています。
去年(2016年)は年間で3,000人。
この20年で2,000人増えました。」

和久田
「急増する遭難に対応しようと、今、あのドローンが注目を集めています。」

やぶを進む人たち。
これは、山岳救助隊のヘルメットに取りつけられたカメラの映像です。

時には崖をよじ登り、道なき道を進みます。
登山道を外れた遭難者の捜索には、大きな危険が伴います。
そこで今、期待されているのがドローン。
高性能のカメラを搭載。
夜間の捜索も、熱を感知する赤外線カメラで対応できます。
2次災害の危険も少なく、今、各地で導入に向けた訓練が重ねられています。」

高瀬
「ドローンを使った捜索、実はすでに始まっています。」

和久田
「今月(6月)、新潟県の山中で、去年の春に遭難した男性の捜索が行われました。
その現場に密着しました。」

ドローンで山岳捜索 空の目をどう生かす

リポート:山田剛史ディレクター(おはよう日本)

今月17日。
捜索に向かったのは、東京などの登山愛好家でつくる8人の捜索チームです。
男性の家族から依頼され、4日間の日程で捜索に臨みます。
遭難から1年以上がたつ中で、警察と情報を共有し、家族のもとに少しでも早く返そうとしているのです。

今回の捜索エリアです。
手がかりは、5日前に山中を流れる川で発見された男性の遺留品です。
警察が周辺を調べましたが、発見には至りませんでした。
捜索チームは、ここに流れ込む「沢」に注目し、重点的に調べることにしました。
今回の捜索には、東京でドローンを扱っているベンチャー企業が初めて参加しました。
立ち入りが難しい場所が多いため、空からの「目」に期待したのです。
持ち込まれたドローンには、鮮明な映像を撮影出来る高性能カメラが搭載されています。

捜索チーム 北島英明隊長
「ブーツやザックが必ずあるはずなので、形で見つけてもらえれば、その延長上に必ずいる。
それを期待。」

午後1時。
捜索が始まりました。
ドローンはリモコンで操作、映像はその場で確認することができます。
カメラを見たいところに向け、時にはズームインします。

「魚も見えた。」

川を泳ぐ魚の影までとらえています。
初日の捜索は3時間。
沢のおよそ半分をくまなく撮影して回りました。

夜、宿舎で撮影した映像を細かく分析し、遺留品などを捜します。

「これ、四角いけど。」

「ちょっと待って、それは石かな。」

「あれだけドローンで見えて、(遺留品が)何にも見えないっておかしい。」

初日にドローンが撮影した沢には、手がかりがありませんでした。
残る4つの沢の捜索にかけることにしました。

「この沢、きょう飛んでない。」

「これはまず、つぶすべき。」

ドローン会社 小関賢次さん
「私たちの映像で“間違いなく無い”と判断できるのが参考情報になった。
(捜索)ルートを絞り込んでもらえたので。」

2日目。
調べる沢を絞り込むことができたため、朝から捜索チームが山に入りました。
まず、ドローンが先行します。
ドローンからの映像です。

この沢は木々に覆われ、地表が見えにくく、電波状況も心配です。
そこで次に選んだのは、多少電波の悪いところでも飛ばすことができる小型のドローンです。
現場に到着したドローンは、思いきった低空飛行を試みます。
電波の弱い木々の間で、なんとか飛ぶことができました。
沢の様子が鮮明に映し出されました。

ドローンの情報は無線で捜索チームに伝えられます。

「撮影班から各局、映像的には物体(遺留品)は発見できません。」

15分ほどで、さらに捜索範囲を絞り込むことができました。
捜索チームはドローンが捜索したのとは別の沢に向かいました。
すると、まもなく…。

「発見です、発見!」

捜索開始から、およそ20時間。
捜索チームは、遭難したとみられる男性の遺体を見つけ、直ちに警察に通報しました。

ドローン会社 小関賢次さん
「今回、やぶも深くて歩くのが大変で時間がかかるようなところを、(ドローンは)空から短時間で広範囲に撮れることで、捜索隊が計画を作りやすくなった。
ドローンと人が協力する、新しいあるべき形が見つかったような気がしている。」

捜索チーム 北島英明隊長
「(捜索は)登って捜し、いないから下りてまた登る、これの繰り返し。
それが少しでも効率化できるのであれば、われわれにとっては非常にありがたい。
(ドローンから)非常に大きな力を与えてもらったと思っている。」

ドローンで山岳捜索 展望と課題は?

高瀬
「取材した山田ディレクターです。
遭難した人を見つけるということももちろんですが、捜索範囲を絞り込んでいくということにも、今回ドローンが役立ったようですね。」

山田剛史ディレクター(おはよう日本)
「山での捜索は広い範囲に及びますので、『ここにはいない』と範囲を絞り込む作業が迅速な活動につながると捜索チームの人は話していました。

今回の捜索は民間が中心でしたが、警察でもヘリコプターでは入りにくい狭い谷底などでドローンを活用できるよう訓練を重ねているんです。」

和久田
「今回は1年以上前の遭難者でしたが、今後は初動の段階で人命救助につなげることも期待されますよね。」

山田ディレクター
「その期待は非常に高まっています。
ただ、山ですので、天候や電波状況が悪く、思うように飛ばすことができないことも多くあります。
今は、ごく一部の操縦技術の高い人がドローンを飛ばすことができていますが、今後は警察や消防と民間が連携し、経験を共有し、技術を高めていく必要があると感じました。」

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