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2017年6月15日(木)

“顔の悩み”を越えて…

和久田
「今日(15日)は、こちらの9人の方からのメッセージです。
先天的な障害や病気、アザなど顔に悩みを持つ方々です。
それぞれの体験をまとめた本が、今年(2017年)2月に出版されました。」


高瀬
「本には、エピソードに加え、日常生活を撮影した写真が添えられています。
悩みを抱えた人たちが自然体で生きる姿。
今、多くの人の共感を呼んでいます。」

“顔の悩み”を越えて 人生を励ます言葉

リポート:北條泰成(おはよう日本)

本で紹介された1人、富山県に暮らす、河除静香(かわよけ・しずか)さんです。
生まれつき、顔の血管の病気のため、鼻や口が変形しています。

河除静香さん
「なんでこんな見た目なんだろう、この見た目じゃなかったらうまくいったかな。」

幼いころの河除さんです。
嫌なことがあっても学校には通い続けました。
しかし思春期になると、壁にぶつかります。




“高校や短大のときは、顔の症状があることで『異性の恋愛対象にならない』ことに悩んでいました。”

それでも河除さんは短大を卒業後、お見合いを決意。
しかし、結果は出ませんでした。
傷つくことも多かった河除さんですが、あきらめず、ある行動に出ます。

“自分のことをできるだけ知ってもらうために、男の人と一緒に働けるような職場がいいと思って探しました。”

常に前向きな姿勢を貫いた河除さん。
新たに勤めた物流会社で今の夫と出会い、結婚。
2人の子どもに恵まれました。

夫 悟さん
「見た目が気になるということは自分の中では思っていなくて、むしろ強い個性の持ち主。」

河除静香さん
「顔の見た目とか嫌なこともあるけれど、楽しく生きて“楽しかった、いい人生でした!”みたいな感じで終わっていきたい。」

河除さんからのメッセージです。

“外見以外の部分で、自分には多くの魅力があることに気づく”

河除さんのエピソードは、外見を重視する風潮が強い今、多くの女性から反響がありました。

美容サロンを営む高見佳代(たかみ・かよ)さんもその1人です。

高見佳代さん
「見た目がきれいなことも大事なんですけど、かわいくなりたいとか、努力する気持ちの方が大事。」

本の中で最も反響が大きかったのは、この24歳の男性の体験談です。
大学院に通う石田祐貴(いしだ・ゆうき)さんです。

生まれつき、顔や耳の骨がうまく形成されない「トリーチャーコリンズ症候群」を患っています。
幼いころから、心ない言葉を浴びせられてきました。

石田祐貴さん
「“気持ち悪い人と関わりたくないよ”と言われたような気がする。
“関わる人なんかいないよ”とか“関わりたくない”みたいな。」

しかし、両親は石田さんを普通の子と同じように育てます。
プールや遊園地など、積極的に外にも連れ出しました。

石田祐貴さん
「(両親も)心ない言葉を浴びせられたりしたこともあっただろう。
周りの視線も気になっていると思うが、この子は自分たちの子ども、普通に育てると」

石田さんを今でも支えている言葉があります。
自分の顔について、母親にいらだちをぶつけた時に返ってきた、ひと言です。

“わたしはあなたがこの状態で産まれて良かったと思ってる。
それがあなただから。”

石田祐貴さん
「(その言葉を)すんなりと自分の中で受け入れた。」

高校に入った石田さん。
前に踏み出そうと考え、卓球に打ち込みました。
これまで避けていた友だちとのつきあいも積極的にするよう心がけました。

“変えることができない外見について悩むのではなく、行動を変えていこう”。
今、1つ1つの出会いが自分を成長させてくれると感じています。
石田さんのメッセージです。

“変えられないことは割り切って、『自分の変えられること』に目を向ける”

石田さんの言葉に影響を受けた50代の女性がいます。
シングルマザーの杉山恵子さん(仮名)です。
離婚後、身を寄せていた親族から暴力を受け、娘と身を隠しながら暮しています。

杉山恵子さん
「人生終わったなって。
死のうと思った。」

実は、杉山さんの子どもには障害があります。
重度の自閉症です。
娘とうまくコミュニケーションが取れないことも、長年続く悩みです。
この日も出かけてすぐに、突然、家に帰ると歩き出しました。

杉山恵子さん
「どこまで行く?」


「帰る。」

杉山恵子さん
「どこに帰る?」

先が見えない日々に不安を抱える中、ネットで見かけたこの本が気になり、手に取りました。
“変わらないことよりも『自分の変えられること』に目を向ける”という石田さんのメッセージに、心を動かされました。

杉山恵子さん
「悪い方にばかり目を向けて、叱ったり直そうとした部分があった。
障害があったらすべてだめというわけではなく、その子なりに良い所がたくさんあって、それを伸ばしていく。」

この日、杉山さん親子は買い物にでかけました。

杉山恵子さん
「2,000円出して。」

これまで無理だと思っていた、支払いや袋詰めを体験させてみました。
これからは、1つずつ娘ができることを増やしていきたいと考えています。

杉山恵子さん
「障害も含めてこの子なので、ささやかな幸せを見つけて生きる。」

この本を企画したNPOは、外見からうまれる、さまざまな問題を解消しようと啓発活動などを行ってきました。
今回の本には、多くの人から予想を超えた反響が寄せられたといいます。

NPO法人 マイフェイス・マイスタイル代表 外川浩子さん
「彼らの生き方は、見た目に症状がない人たちでも、コンプレックスとか壁にぶつかった時に、それを乗り越えていく、すごく大きなヒントになると思う。
生きづらいと思っている人たちみんなに通ずるものがある。」