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2017年6月6日(火)

アイドルから“日韓”が見える?

高瀬
「けさのクローズアップ。
今、日本と韓国の若者を熱中させるアイドルグループについてです。」


 

「TWICE!」

「TWICEが大好きです!」



「TWICEはメンバー全員イメージがよくてかわいい。
女神です、女神!」



 

韓国Kポップのアイドルグループ「TWICE(トゥワイス)」。
実はこのグループ、9人のうち3人が日本人の女性。
これまでありそうでなかった、日韓混合のアイドルが大人気となっています。

韓国のアイドルグループ TWICE
「こんにちは、TWICEです!」



 

高瀬
「2002年のサッカーワールドカップの共同開催や、「冬のソナタ」に代表される“韓流ブーム”を経て、一時友好ムードが高まった日韓関係。
しかしその後、島根県竹島をめぐる問題。
さらに、慰安婦問題での少女像の設置などをめぐり、日韓の関係は急速に冷え込み、両国は今も対立する、多くの課題を抱えています。」

和久田
「去年(2016年)、日韓両国の民間団体が行った世論調査では、相手国の印象を「よくない」と答えた人の割合は、日本で4割、韓国で6割を超えています。

こうした中、今、韓国の“K−ポップ”の世界で、日本人が続々とデビューするという、これまでにない現象が起きています。
このブームの背景を取材すると、日韓の若者たちの中に、意識の変化が起きていることが見えてきました。」

なぜ いま人気? 日韓混合アイドル

Kポップアイドル「TWICE」。
彼女たちの歌うこの曲は、去年韓国のガールズグループの中でトップの売上を記録。
今、最も人気のあるグループの1つです。

 

このグループの中で活躍しているのが、モモ、ミナ、サナの3人の日本人です。

グループのセンターに立つこともあるサナさん。
15歳の時に韓国に渡り、練習生として3年間、歌と踊りの下積みをしてきました。
韓国の人に自分の思いが直接伝えられるように、韓国語の勉強も続けてきました。
 

「(韓国に来るまで)韓国語は全然できなかったの?」

サナさん
「はい、全然できませんでした。
事務所で週に1回、授業を受けて勉強して、時間があるときバラエティー番組を見て、分からない単語を調べたりしました。」

その懸命な姿が認められると、去年、サナさんが歌ったフレーズが大人気に。

「シャシャシャ。」

韓国の流行語にまでなりました。

「シャシャシャ。」




 

長年、Kポップの動向を見つめてきた評論家は、韓国で日本人アイドルがこれほど人気を得たことは、これまでなかったと言います。 

Kポップ評論家 チャ・ウジンさん
「これまで日本国籍を持つ芸能人に対しては、好きだという人と、嫌いだという人とに、はっきり分かれていました。
日本人を含むグループが、これほど広く人気を得るのは珍しいと思います。」
 

日本への国民感情が良くない中で、日本人を応援することにためらいはないのか聞いてみると、意外な言葉が返ってきました。

「歴史や領土などの問題はあっても、同じ夢を持った人たちが出会い、成長していくことはいいことだと思います。」

「日本人だから韓国人だからと仲よくなれないのは、今のグローバルな時代にはありえないと思います。」
 

TWICEと出会い、日本人に対する見方が変わったという人もいます。

イ・ダヨンさん。
サナさんの大ファンです。

イ・ダヨンさん
「(日本では)家に帰ってきた人に、“おかえり”と言うと聞いたので。」

これまで、日本に好感を持てなかったダヨンさん。
しかし、サナさんの韓国になじもうとする姿を見て、次第に日本人への意識が変わってきたと言います。

イ・ダヨンさん
「(サナさんは)私にとって、初めて好きになった日本人です。
いつも笑顔できちんとしていて、誰にでも礼儀正しいんです。
私も日本人の友だちがたくさんできたし、日本に親しみを持つようになりました。」

日韓が融合して活動する「TWICE」の人気。
そこには、これまでとは違う視線で日本を見つめる、韓国の若い世代の姿がありました。

少女は韓国を目指す その動機は?

一方の日本。
数年前から、若者たちの間で人気を集めている場所があります。

K−POPアイドルを目指す人のためのダンススクールです。
在籍しているのは、小学生から20代まで40人以上。

生徒
「TWICEみたいになりたい。」

生徒
「国境を越えて違う言語の人を魅了するところに魅力を感じて。」
 

17歳の早瀬華さん(はやせ・はな)。
毎日のように、歌と踊りの練習を重ねています。
華さんがKポップに憧れたのは、小学生の時。
テレビやインターネットを通じて、韓国アイドルのとりこになりました。
Kポップ独特の、歌と踊りの高い完成度。
そして、欧米も視野にいれたグローバルな活動。
日本とは違うアイドルの姿に魅了されたのです。

早瀬華さん
「高いダンススキルと歌がすごい魅力的だなと思っていて、自分もその中に入ってやりたいなと思いました。」

しかし不安は、韓国に根強く残る反日感情です。
母親の美和(みわ)さんは、華さんがKポップを目指すことを、当初心配したと言います。

早瀬美和さん
「韓国で日本人がどんなふうに思われるかとか、グループに入っても、日本人の扱いがどういうふうに見られるんだろう。
“日本じゃあかんの?”って聞いたら、“韓国に行って、また日本でも活動したい”と言ってたので。」
 

華さんは、不安以上に、Kポップが自分を成長させてくれる場所だと考えています。

先月(5月)末。
華さんは、ダンススクールの仲間とソウルにやってきました。

早瀬華さん
「こんにちは。」

韓国の芸能事務所は今、Kポップでの活躍がめざましい日本人に注目するようになっています。

華さんはこの日、オーディションに挑戦することにしたのです。

早瀬華さん
「私は早瀬華です。」

オーディションの課題は、韓国語での歌。
そして、ダンス。
今、韓国で流行しているヒップホップで挑みます。
終了後、華さんの演技には、たくさんの課題が出されました。

「韓国語での表現力を、もっと身につけてください。」

「チャンスなんだから、もっと自分を見せて。」


 

「練習して、改めて挑戦してほしい」と告げられた華さん。
韓国に渡り、自分を磨いていきたいという思いを強くしています。

早瀬華さん
「言ってもらったことをまた吸収して、勉強して、頑張っていこうと思います。
日本と韓国のかけ橋になれるような存在になっていきたいので、そうなれるように頑張っていきます。」

日韓の若い世代 意識の変化が

和久田
「レッスンも積んで、韓国語も勉強して、こんなに一生懸命韓国を目指しているというのは、正直驚きました。」

高瀬
「また、目指す側も受け入れる側も自然体だなという気がしましたね。
今回、日本と韓国で取材をした、福井ディレクターです。
アイドルを通して日韓を見ますと、また異なった側面というか一面が見えてきますね。」

福井早希ディレクター(おはよう日本)
「今回、日本と韓国で話しを聞いてみたのですが、若い世代の中で『この対立ばかりの日韓関係でいいのか』という声が数多く聞かれたことが、とても印象に残りました。
こうした若者たちの意識の変化について、日韓の文化交流の歴史を研究している専門家に聞きました。」
 

北海道大学 メディア・コミュニケーション研究院 キム・ソンミン准教授
「日韓のこういう国家間の対立の中で、実際、大衆は何を求めているのかというのを、このTWICEの現象があらわしている。
もちろん対立は対立として解決していかなければならないところはあるが、だからといって、日韓は交流をやめていいのかというところに大衆は疑問を投げかけている。」

福井ディレクター
「今回、取材を通して、TWICEの日本人メンバーを応援するダヨンさんや華さんの挑戦する姿を見ていると、日本人と韓国の人たちの交流は、自然な形で続いているのだなと感じました。」

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