これまでの放送

2016年7月29日(金)

鍛えよ! 健康のカギは舌にあり

和久田
「健康に関わりがある、体の意外な部分について、中村アナウンサーとお伝えします。」

中村
「それは『舌』なんですよ。
舌には正しい位置があるって、ご存じですか?」

阿部
「位置?」

中村
「今、やってみていただこうと思うんですけれども、舌を前歯の裏から、上の方につたっていってみてください。
そうすると、少しへこんだ場所にたどり着きますよね。
そこが、舌の正しい位置です。

こちらの図を見ていただきましょう。
この図のような、上あごにピッタリついた状態なんです。
実は、この位置に舌があるかどうかが、健康と深く関わっているんです。」

和久田
「あんまり健康と意識したことはなかったですね。」

中村
「そうですよね。
舌は筋肉の塊なんですけれども、筋力がついていないために、正しい位置に保てない人が多いと言われているんです。
そこで今、舌を鍛えることで、健康を維持しようという取り組みが広がっています。」

鍛えよ! 健康のカギは舌にあり

訪ねたのは、舌の位置と病気の関係に注目してきた、内科医の今井一彰(いまい・かずあき)さんです。



 

この日、診察に来たのは、風邪を引きがちな男の子。
気になったのは、常に口が開いていることです。



 

そこで取り出したのが、舌の筋力を測定する機械。
先端にある風船状の部分を、舌の上に乗せ、それを押し上げる力を測るんです。

内科医 今井一彰さん
「7.5か、低いね。」




子どもでも、30は欲しいところだったんですが、7.5でした。
今井さんは、この舌の力の弱さが病気につながりやすいと考えています。

これが、舌の正しい位置です。




 

舌の力が弱いと、重さを支えきれずに口が開いて、口で呼吸しがちになります。
すると口が乾燥して、雑菌が増え、免疫力が下がって、風邪などにかかりやすくなるのです。
 

「あ」





「い」





「う」





「べ」

今井さんが考えた方法なんですけれども、舌を鍛えるための「あいうべ体操」。
朝昼晩10回ずつが目安です。

中村
「べーって出したときに、唾液が出そう。」

内科医 今井一彰さん
「お口の中も潤うし、べろの筋力も鍛えられる。」

 

この体操、全国の500以上の保育園や小学校などに広がっています。
3年間続けた小学校では、インフルエンザにかかった児童の割合が、周りの学校は15〜20%だったのに対し、6%に抑えられたそうなんです。

中村
「舌の筋トレ、大事なんですね。」

内科医 今井一彰さん
「大事なんです、実は。
命を守ることにつながると思う。」

舌を鍛えることが、高齢者の生活を向上させることにつながると研究をしている人がいます。

東京大学の飯島勝矢(いいじま・かつや)教授です。
3年にわたり、およそ2,000人の高齢者を調査する中で、舌の働きと高齢者が閉じこもりがちになることとの関連が見えてきました。


 

舌の力が弱まると、食が細くなって体力が低下、閉じこもってしまうケース。
滑舌が悪くなった結果、人に会いたくなくなり、閉じこもるケース。


 

舌を鍛えることで、食べる力・話す力がよみがえり、よりよい生活が送れるようになると考えています。



 

東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授
「(舌の機能低下は)滑舌が落ちて、友達とあまりしゃべらなくなって、精神的にも少し生活の範囲が狭まってきたり、閉じこもり気味になったり、いろいろなマイナス要因が出てくる。
舌を維持することは、食べることを維持して、栄養管理にもいい。
同時に、もしかしたら社会性まで底上げできるかもしれない。」

高齢者の生活を維持しようと、簡単に舌を鍛える方法を考え、広めようという動きがあります。

熊本市中央区で住民の健康づくりを進める、歯科医師の吉良直子(きら・なおこ)さんです。



 

熊本市中央区役所保健子ども課 歯科医師 吉良直子さん
「先っぽを、ちょんちょんちょん。
左を、ちょんちょんちょん。
右を、ちょんちょんちょん。
たったこれだけ。」

その名も「ベロタッチ」。
歯ブラシなどで、舌を刺激します。
舌を刺激すると、反射でぴくぴく動きますよね。
それを繰り返すことで、舌を鍛えようというのです。

こちらは、去年(2015年)から始めた介護施設です。
毎日続けた結果、高齢者1人1人に様々な効果があがっていると言います。


 

介護支援専門員 矢取洋子さん
「そしゃくがよくなって、普通の食事がとれるようになったことと、言葉がはっきり出るようになって会話が増えたことが、効果があったかなと思う。」

 

このベロタッチ、今、特に健康管理が必要な震災で避難生活を送っている人たちに活用されています。

熊本市中央区役所保健子ども課 歯科医師 吉良直子さん
「おいしい食事ができて、言葉でのコミュニケーションが長くとれるのは、幸せなこと。
みんなに知ってもらって、ちょっと歯磨きのついでに触ってもらうと、日本も元気になるんじゃないかと、夢は大きく持っている。」

 

阿部
「舌を鍛えることが、ここまで健康維持につながるなんてね。」

和久田
「そうですよね。
そして、気持ちまで前向きになるかもしれないというのは驚きました。」

中村
「意外ですよね。
『あいうべ体操』の今井さんが診察した患者さんの中には、舌を鍛えることでアトピーやリウマチの改善につながったという例もあるそうなんです。
今後、より詳しいデータなどを集めて、舌とどのような関わりがあるのか、詳しく解明していきたいということです。」

Page Top