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2021年3月4日(木)

さらばニューヨーク?

アメリカ経済・文化の中心地から去る人々。その行き先は?

コロナ禍に伴うテレワークの浸透などで、世界の大都市で郊外へ移住する動きが広がっています。

“憧れの街”で在宅の日々 「高い家賃を払い住む理由がない」

【報告:アメリカ総局 及川利文記者】
アメリカの経済や文化の中心地として人々を魅了してきたニューヨーク。クリストフさんは5年前、中心部近くのクイーンズで暮らし始めました。自宅は2LDKで、家賃はおよそ月30万円。自宅に近いIT系の企業で働いていますが、ほぼ毎日在宅でテレワークをしています。好きなミュージカルも休演で見ることができません。

クリストフさんは憧れの街だったニューヨークを離れ、郊外に家を買おうと考えています。「楽しめることが何もないのに、高い家賃を払ってニューヨークに住む理由はない」と話します。

郊外の一戸建て 強気の価格設定でも人気

今人気が高まっているのが、郊外の一戸建て住宅です。中心部から車で25分ほど。ニュージャージー州モントクレアにある物件に取材に行くと、その日だけで20組以上が内覧に訪れていました。客の一人は「公園が近くにあり、ニューヨークへ行くのに便利なところを探している」といいます。

この物件は庭に面したリビングルームのほか、3つのベッドルームや地下室など、全部で8部屋あります。価格はこれまでの相場より2割ほど高い5800万円余りと強気ですが、自然に囲まれた環境が好まれ、すぐに買い手が決まったといいます。

不動産業者のマネージャーのダイアン・ラッセルさんは「郊外の住宅人気は今後も続き、多くの人がニューヨークから移住するだろう」と見ています。

NY市、人口7万人減 「歴史的な空室率の高さ」

都心離れが続くニューヨーク市では2020年、人口が7万人減少しました。中心部のマンハッタンの物件は21年1月時点で1万2000室余りが空室となり、1年前の倍以上に増えています。

不動産会社は破格ともいえる条件で借り手を見つけようとしています。マンハッタンにあるおよそ90平方メートルの集合住宅は20年にできたばかりですが、月々の家賃が25%ほど値下げされています。さらに入居から3か月間は家賃が無料。それでも、100部屋余りのうち8割以上で借り手が見つかっていません。

不動産業者のダグラス・ワーグナーさんは「供給が上回っていて、歴史的な空室率の高さになっている」と話しています。

人口減続けば財政悪化?

確かにニューヨーク中心部で住宅や不動産を販売する人はたいへんでしょうが、全体的に見れば、より快適な暮らしを求めて郊外に行くのは、ふつうのことなのでは?市にとっては人口が減ってしまいますが。

ニューヨーク市の人口が減り税収が減少して、財政が悪化するのではないかとの懸念があります。市の財政に詳しい財政政策研究所のジョナス・シャインデさんは「今の状況が続けば数十億ドル規模の財源不足になるおそれもある」として、対策を打つべきだと指摘しています。日本の東京も一部で人が郊外に移る動きがあり、ひとごとではないかもしれません。

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