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2020年12月9日(水)

コロナ禍で注目 中小企業のM&A

売り上げが10分の1以下になった部品メーカー。雇用と技術を守った生き残り策とは?

新型コロナの影響で廃業の瀬戸際にある会社も少なくありません。そうしたなか、中小企業どうしがM&A(=合併や買収)で会社を残そうとする動きが注目されています。

売り上げ激減、月の半分は休業 中小メーカー売却を決意

【報告:経済番組 馬場卓也ディレクター】
2か月前に自社の売却に踏み切った、福島県石川町の中小企業「ナガヨシ」。当時の従業員は5人で、精密な金型製造技術を生かし、自動車や医療機器などのプラスチック部品を大手メーカーに出荷してきました。

しかし、新型コロナの影響で、売り上げは2019年の10分の1以下に激減。月の半分は休業状態になりました。従業員の藤田信一さんは「今後どうなるのかなという不安がずっと募るいっぽうで過ごしたような状況だった」と語ります。

回復が見込めない中、雇用と技術を守るため、会社は8月にM&Aの仲介サイトに登録し、買い手を探すことにしました。

買い手はアニメグッズ作る中小企業 巣ごもり需要などで注文1.5倍に

すぐにナガヨシを買収したいという中小企業が現れました。東京・奥多摩町の「カネバン」です。従業員はおよそ100人で、アニメのキャラクターグッズなどを製造しています。巣ごもり需要の増加に加え、これまで海外で行われていた生産が新型コロナの影響で滞ったため、注文の量は19年の1.5倍に増加したといいます。

社長の金子弘行さんがさらに事業を拡大しようと目を付けたのが、M&Aでした。プラスチックの成型技術があれば、フィギュアなど新しい製品を作ることができると考えたのです。金子さんは「機械と人が一つになっている会社をM&Aしたいと思っていた」と話します。

全従業員を雇用維持 新たな採用も

買収を決めた金子さんは、従業員全員を継続して雇うことにしました。熟練の職人が作るのは、アニメグッズの制作に使うハートの金型。職人の男性は「最初は戸惑った、できるのかなって。でもだんだん、わくわく感と楽しみが勝った」と笑顔を見せました。

仕事の種類が増えたことでナガヨシでは、20人以上の新たな雇用も生まれています。採用された女性は「派遣社員だったが(新型コロナの影響で)きられてしまった。コロナ禍の中で採用となった時はすごくうれしかった」と言います。売却された会社の従業員の藤田さんは「仕事ができる喜びもあるし、若者に仕事を教えられる喜びもある。本当に楽しくやれます」と笑顔で語りました。

中小企業 「M&Aは重要な選択肢」

専門家は今後、中小企業のM&Aが増えていくとみています。明治大学商学部の山本昌弘教授は「中小のM&Aは、大企業ほどにはリストラによってスリム化されたりということは起こらない。逆に言うと、雇用が維持されて事業も維持される。M&Aというのは重要な選択肢になる」と指摘しました。

最近は企業どうしを仲介するマッチングが盛んになっていますね。きょう紹介した会社は、売却しても事業は継続し、雇用はむしろ増え、いい形でのM&Aになったということなんですね。

そうですね。経営の自主性も保たれています。M&Aについて仲介会社側に話を聞いてみると、意外なのは、売り手側だけでなく買い手側の登録も増えているそうです。買い手側としては、コロナ後を見据えて新たな収益の柱を獲得しようということのようです。

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