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2020年11月20日(金)

防潮堤支える “世界シェア9割”の技術力

南海トラフ巨大地震に備えた工事現場でも活躍中。高知発の独自工法は、なぜ世界市場を圧倒したか?

南海トラフ巨大地震に備え、高知県では、津波被害を防ぐ防潮堤の整備が続いています。その現場で活躍しているのが、地元企業が開発した、ある建設機械。独自の工法を採用し、その分野で世界シェア9割というワザとは?

小型・軽量・静か 例のない工法で世界市場を圧倒

【報告:NHK高知 林知宏記者】
高知県土佐市。南海トラフ巨大地震に備え、防潮堤の補強工事が進められている現場です。16メートルにも及ぶ「くい」がスムーズに埋め込まれていきます。世界に例のなかった「圧入工法」と呼ばれる独自技術を使った「くい打ち機」で、世界シェア9割に上ります。

従来のくい打ち機は、くいを打ち込む際に機体が浮かないよう、重く大きなものが主流でした。

圧入工法の最大の特徴は、先に埋めたくいに機体を固定し、次のくいを押し込んでいくところです。押し込まれたくいは地中の圧力で抜けにくくなります。抜けにくくなったものに機体を固定するため、100トンの力で押し込んでも機体は浮きません。

そのため機体を小型で軽くすることができます。さらに、くいを押し込んでいくので、静かに作業ができるようになりました。

「建設を根底から変える」 オランダの護岸工事にも採用

開発した「技研製作所」社長の北村精男さんが、1号機を見せてくれました。

高度成長期には、くい打ちによる騒音問題や地面の揺れで体調不良を訴える人が相次いでいました。そうした中、この会社の圧入工法は、狭い現場が多い日本の都市部にうってつけの技術でした。

北村さんは圧入工法について「小さくしても地球(地面)をつかんでいるから、機械に重量はいらないし、大きさはいらない。建設を根こそぎ、根底から変える力を持っている」と語ります。

世界に普及する北村さんの技術は、2021年にはオランダ・アムステルダムの運河の護岸工事でも採用されます。

人手不足解消へ 完全自動化目指す

今、開発に力を入れているのが、作業の完全自動化です。人手不足を解消するねらいがあります。地盤は固さや構造が異なるため、これまで人が現場の状況を判断し、機械を動かしてきました。北村さんは、世界の地盤の情報を集め自動化に対応できるデータベースをつくることで、数年以内の実用化を目指しています。

北村さんは自社の強みについて「“自流独創”でしょうね」と言います。「当社は実業。なくてはならない会社だと。狭い考えを大事にして、そこからちょっとでも広げていく」と語りました。

いや~初めて知りました。コンパクトで力強くて、しかも音が静かだから、オランダの運河のように市街地の工事にも適しているんですね。

そうですね。思い返すと昔の工事現場は、「カン、カン」とものすごく大きなくい打ちの音がしていましたね。特殊な分野だけれど、世界を相手に抜群の存在感を示す企業を「グローバルニッチ」と言います。自社の技術を突き詰めることでそれを実現させているのです。こうした企業が増えることが、日本経済を強くすることにもつながると思います。

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