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2020年11月18日(水)

デジタル通貨 カンボジアの挑戦

世界に先駆け運用開始。日本では?

各国で開発が続いているデジタル通貨。10月にカンボジアが世界に先駆け、中央銀行主導で正式に運用を始めました。途上国にどのような影響をもたらすのか、現地を取材しました。

中央銀行主導のデジタル通貨 金融サービス普及に期待

人口1600万人余りのカンボジア。中央銀行が主導するデジタル通貨「バコン」の運用が、10月に始まりました。バコンのアプリを開くと、自国通貨「リエル」と同等の価値を持つ電子データをスマホ上で使えます。決済はもちろん、利用者どうしの送金も手数料無料で行うことができます。

一般的なキャッシュレス決済は銀行などの決済事業者を経由するため、店舗が売上金を受け取るまでに時間がかかります。一方、デジタル通貨の場合は瞬時にお金が移動するため、すぐに売上金を受け取ることができます。

カンボジアでは、国民の8割が銀行口座を持っていないと言われます。スマホを活用することで、金融サービスが広く普及すると期待されています。バコンの利用者は「支払い、受け取り、銀行への送金や入金もできる。簡単で迅速で安心。とても効率的だと思う」と話します。

信用低い自国通貨 復権をねらう

中央銀行がデジタル通貨の導入に踏み切った理由は、もう一つあります。自国通貨リエルの復権です。リエルが過去に急落したことなどから、リエルの価値そのものに国民の信用が低く、多くの人が支払いにアメリカドルを使っています。

市場で店員に、お客はドルとリエルのどちらをよく使うか尋ねたところ、「ドルのほうが圧倒的に多い」と答えました。

これ以上リエルの利用が減ると、金融政策の効果が薄れたり、景気対策が効かなくなったりするおそれが高まります。そこでデジタル通貨を導入して、こうした懸念を払しょくしようというねらいです。

カンボジアの中央銀行のチア・セレイ統括局長は「カンボジアは世界で最もドルと自国通貨が二極化していたため、中央銀行主導でデジタル通貨を導入した。自国通貨の信頼をつくることは私たちの責務だ」と話しました。

日本導入への課題 セキュリティーは?災害時は?

カンボジアでバコンが普及すれば、デジタル通貨を使った景気刺激策もできるようになるということなんですね。日本とは自国通貨の信用度が違うようですが、それにしても、どうしてこんなに早く導入できたんですか?

カンボジアは、日本や中国ほど金融システムがまだ発達していません。既存のシステムが不十分だからこそ、逆に新しいものが普及しやすい面があります。さらに、国自体もデジタル通貨の導入に熱心だったことが大きいようです。

なるほど。日本ではデジタル通貨の導入はどうなのでしょうか?

そう簡単ではなさそうです。実はカンボジアのデジタル通貨の開発には、日本のスタートアップ企業「ソラミツ」も関わりました。宮沢和正社長は、日本でのデジタル通貨導入について、2つの課題を指摘しています。

1つ目は「セキュリティーをどう高めるか」。日本では取り引きや利用者の数が多くなるため、どこまでセキュリティーを担保できるかです。また「災害や停電の時でも使えるか」も課題です。スマホが使えない時もデジタル通貨を使うことができるのか。こうした点をどうクリアしていくかが、導入に向けた今後のポイントになりそうです。

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