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2020年10月23日(金)

“CO2フリー”のアンモニアで発電

“身近な”アンモニアを燃料に。火力発電がよりクリーンになる?

化学肥料などに使われるアンモニアを燃料にして発電に使う実証プロジェクトが、日本とサウジアラビアの協力で進行中です。火力発電から出る二酸化炭素(CO2)を減らす目的です。

“大気中にCO2出さず” 日本とサウジが協力

まず、アンモニアが燃える様子を見てみましょう。石油や天然ガスを燃やすと青い炎が出ますが、アンモニアの炎は赤みがかっています。石炭火力などを今後減らしていかなければならない課題がある中で、それに代わるものとしてアンモニアが注目されているのです。

今回のプロジェクトは、日本エネルギー経済研究所と、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが中心になって実施。サウジアラビアの工場で、天然ガスから水素を取り出し、それを元にアンモニアをつくります。そして日本に持ってきます。

ただこの製造過程ではCO2が出ます。そこで今回、このCO2の半分を、化学製品の原料用のメタノールを製造するために活用。残りの半分は油田に注入して、原油などの増産に使います。大気中にはCO2を出さないので“CO2フリー”と言えるのです。

“ありふれた”物質・アンモニアに期待

アンモニアをつくるための水素をそのまま日本に持ってこようとすると、新たな専用船を開発しなくてはなりません。一方、アンモニア用のタンカーは普通にあります。化学肥料などに広く使われているアンモニアという、いわばありふれた物質を燃料として使う点に、このプロジェクトのミソがあります。

日本エネルギー経済研究所の川上恭章主任研究員は「アンモニアの製造・輸送・貯蔵はすでに成熟した技術。すでにサプライチェーンが確立しているものとして、アンモニアが期待を集めている」と話しています。

燃料効率アップ・NOX除去がカギに

製造されたアンモニアは、すでに日本に到着しています。これを発電に使おうというのですが、今回はまだ発電所ではなく、大手企業の工場にある実験施設で使います。▽石炭と一緒に燃やす▽天然ガスと一緒に燃やす▽アンモニアだけで燃やす――と、それぞれ実験を行います。

実験では課題もあります。一つは、アンモニアは天然ガスほどよく燃えないため、燃焼効率を上げる工夫が必要です。そしてもう一つは、アンモニアを燃やした時には水と窒素が出て、窒素からどうしても窒素酸化物(NOX)が出ることです。ただこれも、一般の工場などに備えられている「脱硝装置」で安全に除去できるレベルだということです。

アンモニア発電でCO2を10%減らせ

この“アンモニア発電”を今後どのぐらい広げていけるか。日本エネルギー経済研究所の川上主任研究員は「(発電に使うアンモニアの)2030年の政府目標は300万トンだが、その10倍、3000万トンレベルのアンモニアを発電で利用したとするならば、現状の火力発電から排出するCO2のだいたい10%(削減)に相当すると思う。大規模なCO2削減が可能になるのではないか」と話しています。

再生可能エネルギーを増やすことはもちろんですが、同時に今ある火力発電をなるべくクリーンにしていこうということなんですね。

そうですね。今回のプロジェクトは、産油国と消費国という遠く離れた国が協力してCO2を減らすという点でも、新しい可能性を示していると思います。

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