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2020年6月11日(木)

登山家流“怖がり経営術”

山が教えてくれた、リスクに立ち向かう極意とは。アウトドア大手モンベル創業者に聞いた。

白い服を着て写真に写っているのは、アウトドア用品大手「モンベル」創業者の辰野勇会長です。この服は、自社で開発した医療用の防護服。感染拡大を受けて急きょ開発したそうです。“ウィズコロナ”時代の経営について聞きました。

寝袋カバーの防護服を無料提供

器用にミシンを操るのは、辰野会長本人です。5月に、寝袋のカバーの素材を使った医療用の防護服を医療機関へ無料で提供しました。「非常時において、アウトドアのテクノロジーは非常に役に立つ。命を守る機能を開発するのを、これまで45年間ずっとやってきた経験がある」と語った辰野さん。新型コロナウイルスの感染拡大について聞くと、「自分たちのビジネスの逆境というより、社会全体にとっての逆境ということが頭に浮かぶ」と話しました。

リスクをおそれ備える 山男の経営術

みずからも登山家として、国内外の多くの山々に挑んできた辰野さんは、その経験が企業経営の礎になっているといいます。「若いころ大勢の山の仲間が命を落としていった。落石とか墜落とか、いろんな理由で亡くなっていった。死を意識することによって、生を意識することができる」と語ります。

山では「雨が降ったら、風が吹いたら、吹雪になったらということを想像しながら準備していく。山男、登山家というのはある意味、怖がりだ」と辰野さん。「会社経営においても、いろんな場面でリスクマネージメントの大切さは身に染みている」と話しました。

“怖がり経営”で他社頼み脱却 「将来を想像し、蓄え、体力をつける」

辰野さんの“怖がり経営”が生かされたのが、提携していたアメリカの登山用品大手「パタゴニア」との関係解消でした。パタゴニアの日本での輸入販売は当時、モンベルの総売り上げの4分の1を占めており、大きな決断でした。

辰野さんは「(パタゴニアの売り上げを)捨てるという覚悟。これは目先の問題で言うと大変なことだが、将来5年後10年後先を考えた時に『これじゃだめだ』と。自分たちのブランドを一生懸命しっかりやっていくということが大事」と考えたといいます。

他社頼みのままでは会社の将来が危ういと、自社ブランドの開発に専念し、1年後には提携解消前より売り上げを伸ばすことができました。

新型コロナウイルスの影響がいまだに続く中、辰野さんはあらゆるリスクについて考える“怖がり経営”で、新しい時代にも対応しようとしています。「将来をどれだけ想像できるか。われわれ一貫して日本型経営を貫いてきた。自己資本を蓄積してきた。目先の売り上げにとらわれすぎることなく、蓄え、体力をつけてビジネスを継続していく」と話しました。

なるほど、“怖がり経営術”とは、怖がって何もしないのではなく、リスクを考えて判断、決断するということなんですね。

そうですね。山の天気を先読みして登山ルートを判断する登山家らしい発想だと思いました。不透明な時代に向き合う一つのヒントになるのではないでしょうか。

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