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2020年4月21日(火)

在宅勤務 カギは“ハンコ”?

電子化の波が、“ハンコ文化”に変化をもたらす?

国は「人との接触8割削減」を掲げ、テレワークなどの在宅勤務を促しています。そうした中、出社しなくてもハンコが押せるサービスが広がっています。

「テレワーク中に出社が必要に」4割超 主な理由に「押印」

ネット上には「ハンコを押すためだけに出勤…悲しい…」「脱ハンコと脱紙が進まないから、夫はきょうも電車通勤」「こんな状況でも『書類にハンコ押して郵送して』と言われる」などの声が。働き方の課題が浮かび上がっています。

また、「テレワーク中に出社が必要になった」という人が全体の4割以上、という調査結果もあります。主な理由は「押印や紙データの処理」です。

「電子印鑑」に利点と“壁” 社外との契約書には使いにくい?

そうした中、会社の外からスマートフォンやパソコンなどを通じて印鑑を押すことができる「電子印鑑」が広がっています。導入した社員70人のIT企業「アステリア」は、社内の書類をすべて電子印鑑にすることで、社員のほとんどが在宅勤務できるようになりました。

しかし、いまだに実物の印鑑が不可欠なのが、一部の取引先との契約書です。定期的に数人が出社せざるをえないといいます。アステリアの平野洋一郎社長は「社内はすべて電子的に済むが、お客様が『ハンコを押した原本の契約書が欲しい』と。まさにきょうもそのため(の出社)」と話しました。

仕事でハンコが使われる場面を整理してみましょう。会社内では、報告書や申請書などに「承認」の証として使われることが多いようです。ハンコが必要かどうかは社内の規定で決めることができて、社内で合意がとれれば、ハンコを減らしたり、電子印鑑にしたりすることは、それほど難しくありません。

しかし、社外の取引先や個人と交わされる「契約」などの重要な書類では、実印などの正式な印鑑が必要とされることが多くあります。電子印鑑を導入しようとしても、「本当に信頼できるか?」と不安を持たれ、なかなか導入が進まない面がありました。

クラウド上で同意する電子契約 裁判の証拠としても“有効”

そうした中、社外との契約でも安心して使えることを売りにするサービスも出てきています。サービスを利用している、不動産仲介会社の例を見てみましょう。これまでは物件を貸し借りする際、借主、仲介会社、オーナーの間で書類をやり取りして、それぞれ契約書にハンコを押していました。

仲介会社がいま利用しているのが、弁護士が起業した会社が提供する有料サービスです。クラウドに書類をあげておいて、そこに借主、仲介会社、オーナーの3者それぞれが、スマートフォンやパソコンでアクセス。「同意」することで契約できるようになりました。

このサービスでは、いつ、誰がアクセスしたかが履歴に残ります。こうして交わした電子契約は、仮に裁判になっても、証拠として有効だということです。この仕組みでは、全ての関係者が在宅でも契約が成立します。契約のため、これまで2週間ぐらい書類をやり取りする必要がありましたが、2日でできるようになったということです。

ハンコ業界「実物の印鑑も残していくべき」

こうしたサービスが広がる一方、実物のハンコがなくなると、街のハンコ屋などに影響もあります。ハンコの電子化について、全国印章業経営者協会の小林彰男代表幹事は「電子化そのものに反対ではない。ただ、お年寄りなどITに慣れていない人もいて、手続きに困る人が出てくるので、印鑑そのものも残していくべきだ」としています。

また企業のIT活用などを専門にする、武蔵大学社会学部の庄司昌彦教授は、在宅勤務を進めるには「単に電子印鑑に“置き換える”発想ではなく、紙やハンコが必要とされる業務全体を見直し、合理化を進めるべき」としています。

ハンコをたくさん集めて物事が決まる、という業務のプロセスを見直すきっかけになるかもしれませんね。

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