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2020年3月12日(木)

広がる格差に“待った”!

0.1%が“超富裕層”の一方、2000万人が健康保険未加入。格差社会のアメリカに変化が?

アメリカでは、格差問題が、大統領選挙の民主党候補者選びでも争点の一つとなっています。現在は、国民のたった0.1%の“超富裕層”が圧倒的に富を握る一方で、健康保険の未加入者が2000万人に上るという格差社会です。この状況に、「待った」をかける声が出始めています。

ローンに家賃に医療費… 将来の見通し立たず

【報告:ワシントン支局 吉武洋輔記者】
首都ワシントンの若者が多く住む住宅街。この地区で一人暮らしをするカーティス・ヘイゲンスさん(28)は、教育関連の会社で働いています。ワンルームの賃料は17万円で、給料の半分近くを占めています。

家が貧しかったため、大学へ進むために借りた300万円を超える学費ローンの返済もまだ終わっておらず、将来の見通しはなかなか立たないといいます。「同世代はみんな、マイホームや家族を持ちたいと言っているが、私にはローンも家賃も医療費もあるので、難しい」と話しています。

アメリカでは今、ヘイゲンスさんのように、格差の固定化に反発する若者が増えていると言われています。ヘイゲンスさんは「こんな状況が許されるなんておかしい。一部の富裕層のためではなく、誰もが豊かになる社会にするべきだ」と話しています。

経営者の報酬を社員の給与と同額に ベンチャー経営者の大胆な改革

富を握る側からも、格差社会を見直そうという動きが出ています。従業員200人のベンチャー企業で、決済代行会社の「グラビティ・ペイメンツ」を率いるダン・プライスCEOは、社内の格差をなくすために大胆な改革を行いました。

従業員の間で広がっていた給与格差を見直すため、社員の最低年収をそれまでの倍以上の730万円に引き上げました。プライスさん自身も報酬を1億円以上カットし、社員と同じ給与額にそろえたのです。

きっかけとなったのは、年収の少ない社員が勤務後にアルバイトをしながら、家賃や保険料を賄っていたと知ったことでした。プライスさんは「道徳的に、社員の生活費を満たす給与を経営者が支払うべきだと思った。多くの人から『社会主義者』とか『バカげている』と言われたけどね」と話します。

給与格差を見直したことで社員は業務に集中できるようになり、会社の売り上げは5年間で3倍に増加しました。女性社員の一人は、見直しについて「とても寛大なこと」と歓迎。また男性社員の一人は「730万円もの年収が保証されたので、私たちのやる気もアップした」と話しました。

プライスさんは「経営者はつい『もう少しお金が欲しい』と思いがちだが、それをやめる時が来た」と話しています。

米経済界に“株主最優先から転換”の動き

経営者が報酬を、社員の給与と同じ水準まで下げるとは、なかなか思い切ったことですね。

そうですね。ただ実は、プライスさんのように「行き過ぎた格差を是正しよう」と考える経営者はアメリカでも増えていて、2019年には、“株主最優先からの転換”を表明した企業が相次ぎました。これらの企業は、労働者に報いるよう待遇を見直していくと言明しています。

いずれも利益を追求して大きくなった会社だと思いますが。どこまで本気なのでしょうか?

そうですね。やや建て前に見えるところもありますが、従来のやり方が持続可能ではないと、多くの企業が気付き始めているのも事実です。大統領選挙がアメリカ社会に一石を投じたことによる、“波紋”とも言うことができます。

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