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2020年2月13日(木)

台湾企業 回帰の動き

中国→台湾へ生産拠点を戻しているのはなぜ?

米中は、上乗せした関税の一部を14日に引き下げます。しかし、大部分の関税は残ったままで、先行きも不透明です。米中の貿易摩擦を背景に、中国に工場進出した台湾企業が、生産拠点を台湾に戻す動きが加速しています。

貿易摩擦に左右されない仕組みへ 生産ライン戻す台湾企業

【報告:台北支局 高田和加子支局長】
取材したのは、金属のプレス加工を行う台湾企業。自動車やハードディスクなどに使われる金属部品を作っています。およそ20年前、安い労働力を利用してコストを抑えたいと、中国に進出。中国の工場からアメリカなどに向けて製品を輸出してきました。

しかし2019年、米中貿易摩擦の激化で、この会社が中国からアメリカに輸出する製品にも25%の関税が上乗せされました。このままでは採算が取れないとして、生産ラインの一部を台湾に戻すことを決断。日本円でおよそ34億円を投資して、台湾中部に新たな工場を建設し、20年には台湾から輸出する仕組みをつくろうとしています。

黄湘怡社長は「米中貿易交渉の結果を待っていては、企業が傷ついてしまう。貿易摩擦がどう動いても、工場が台湾にあれば柔軟に対応できる」と話しています。

優遇政策で回帰を後押し

台湾企業の間には、こうした台湾回帰の動きが広がっています。それを後押ししているのは、中国と距離を置く蔡英文政権が、19年から始めた優遇政策です。台湾回帰を決めた企業に、低金利の融資を受けられるようにしたり、工場の土地を2年間無料で提供したりして支援しています。

この1年間で、中国に生産拠点を置く台湾企業170社ほどがこの制度を利用し、最大で日本円にして2兆6000億円の投資が見込まれています。蔡英文総統は「目標は、多くの台湾企業を戻すこと。良質なメードイン台湾が、中国の代わりにアメリカ向けの輸出の主力となる」と述べました。

日本企業 “台湾回帰”をビジネスチャンスに

台湾企業の動きをビジネスチャンスと捉える日本企業も出てきています。台湾で産業用ロボットを販売する台湾三菱電機には、台湾企業から「中国から移した生産ラインで人件費を抑えるため、ロボットを導入したい」という問い合わせが相次いでいるといいます。

台湾三菱電機は、米中貿易摩擦の先行きが見通せない中、台湾企業の回帰は当分続くと見て、売り込みを強めています。玉井武志副社長は「台湾に回帰をして、工場をワンランク上のスマートな工場にしたいという付加価値をビジネスにできるのではないか。今がチャンスだと思う」と話しています。

中国の工場で生産してアメリカに輸出するケースは、日本企業にも多くありますよね。“日本回帰”の動きは起きているんですか?

日本企業では、米中貿易摩擦を、直接“回帰”の理由にしている例はあまり見当たりません。むしろ、米中貿易交渉の第1段階の合意で一息ついて、今後の交渉の進展に期待する向きが多かったのだと思います。しかし、そこに、新型コロナウイルスの感染拡大が起きました。中国に集中する生産体制に、もろさがあるのは確かです。

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