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2020年1月14日(火)

日本航空 破綻から10年のいま

過去最大規模の経営破綻から10年 JALはどこへ向かうのか。

日本航空(JAL)が2010年に経営破綻してから、20年1月19日でちょうど10年になります。当時の負債額は、2兆3200億円。事業会社としては過去最大規模の経営破綻として、大きなニュースになりました。
日本航空は破綻後、3500億円の公的資金を受けるなどして経営の立て直しを進めてきました。この10年間、再建を担ってきた現会長の植木義晴さんに、破綻からの道のりと将来の課題について聞きました。

目指したのは「筋肉質経営」 破綻から2年8か月で再上場

植木会長は当時、初のパイロット出身の社長として日本航空の再建を託されました。「とにかく会社を何とか残したい。僕自身でいろんな部署にあたって、この計画でなければ会社を再建することはできないのかと、自分の目で確かめて、これしかないと確信を持って、そこから鬼になることを決めた」と振り返りました。

目指したのは「筋肉質な経営」です。50以上の不採算路線からの撤退や、全従業員の3分の1にあたる1万6000人のリストラも断行しました。

その結果、破綻から2年8か月で東京証券取引所への再上場を果たすほど、業績は急回復。投入された3500億円もの公的資金は、全額返済しました。

“金太郎あめ”集団から飛び出す“野武士”を求む

日本航空は毎年、利益を上げられるようになりましたが、植木会長は今の会社にもの足りなさを感じているといいます。「“不良”が“いい子”にはなった」と植木会長。「ところが、いい子になると、みんなが“金太郎あめ”のようになって、そこから飛び出ていく“野武士”(イノベーター)が、1割は欲しいが出なくなってしまった。そこに僕は食い足らなさを感じていたので、“10年先のメシの種”を探してきてくれ」と話します。

ハワイ体験装置に接客ロボット 次なる一手探る

将来、利益を生み出す新しい事業を開拓しようと立ち上げたのが、「イノベーションラボ」。社内外を問わず、アイデアを持つ人材を集め、“次なる一手”を探る実験場です。

早速、開発中の「ハワイ旅行体感マシーン」を、私も体験してみました。画面の向こうからは「おはよう!私はマヤ」と女性があいさつ。この女性と手をつないで、ハワイの砂浜を歩く疑似体験ができます。音や映像だけでなく、風や匂い、波のしぶきまで疑似体験できます。駅などに置いて体感してもらって「ハワイに旅行したいなあ」という気分になってもらいたいということです。

また、空港で接客にあたるロボットも開発。遠隔操作で客と話ができる仕組みを、ベンチャー企業と開発しました。自由な実験を繰り返す中から自前のイノベーションが生まれることを植木会長は期待しています。

「挑戦を忘れたら、それは停滞ではなく後退しかない。失敗していい。そのために一生懸命お金をためたんじゃないか」と植木会長。「『JALを残してよかったね』という会社にするのが俺たちの目的だ。ご迷惑をおかけした会社だからこそ感謝の気持ちを持てる。世の中に対する目を持っている。どこよりも社会貢献できる。それを本筋とした会社になりたい」と話しました。

今後の課題は?

植木会長がインタビュー中に何度も“鶴の恩返し”と話していたのが印象的でした。当時は、3500億円もの巨額の公的資金を投じたことに批判もありました。それもあって日本航空は、単に再建だけでなく、社会に貢献する会社を目指すことになったと思います。

なるほど。順調な話が出ていましたが、今後に向けての課題は?

そうですね。まず、飛行機が出す二酸化炭素をいかに減らすかが課題です。植木会長は、電気飛行機の開発などが必要だとも話していますが、どこまで実現できるのか。さらに、再建に伴って路線を拡大する中で、しっかりと利益を上げる体質を維持できるか。こうした課題に応えていくことが、まさに“鶴の恩返し”になると思いました。

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