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2020年1月9日(木)

AIで現実世界を解き明かす

気鋭のベンチャーは、AIで社会をどう変えるのか?

注目分野のキーマンにインタビューする「2020革新者たち」。きょうは、AI=人工知能開発のベンチャー「プリファードネットワークス」の西川徹社長(37)です。自動運転ではトヨタとも提携。評価額1000億円を超える未上場企業をユニコーンと呼びますが、その代表格でもあります。AIで社会をどう変えたいのか、聞きました。

AIの“学び”が未来を変える? 産業用ロボット・がん早期診断に応用

西川さんたちが最も注力するのが、ディープラーニング。AIがみずから学んでいく技術です。産業用ロボットの自動化や、がんの早期診断など、さまざまな領域にこの技術を応用しようとしています。

特にこれから攻めてみたいと考えている分野を質問してみました。西川さんは「私たちは、深層学習(ディープラーニング)を使う中でも、特に、現実世界の問題を解いていきたい」と言います。「今までデジタルの世界で、深層学習をはじめとするITの技術は活用されてきたが、一方で現実の世界に目を向けると、まだ工場はアナログな部分が多いし、まだ自動車は人が運転しなければいけない。そういった現実世界の複雑で多様な問題を僕らは解いていきたい」と話しました。

目指すは「安全で気持ちいい動き」の片づけロボット

今、取り組んでいる分野の一つが、自力で片づけができるロボットの実用化です。モノを認識するだけでなく、モノのどこをどのぐらいの強さでつかめばいいのか。さらには、適切なスピードで丁寧に片づけることまで学習させます。

西川さんは、片づけるロボットが「人の動きなんて関係なくビュンビュン動いていると怖い」と言います。一方で、「安全にスピードを上げるということがまだ難しい。チンタラ動作をしていたら誰も欲しいと思わないので、速度をどれだけ上げられるのか。安全に空気を読んで、スピードを上げて、人が見ていて気持ちいい動きを実現できるかが、ロボットが現実世界でちゃんと活躍していくうえでは重要なポイントになる」と話しました。

消費電力を抑えたディープラーニング用の半導体チップ開発

西川さんは、こうした技術力を生かし、ディープラーニングに特化した半導体チップの開発にも乗り出しています。実用化に成功すれば、ディープラーニングの技術を一層、普及させることができると考えています。

西川さんは「ディープラーニングが必要とする計算処理にフォーカスをしてチップを設計している。そのほかの余計な機能は入っていない。ディープラーニングに必要な部分に特化することで、電力を抑えることができる。消費電力を極めて落としたチップの開発は、ディープラーニングが今後発展していくうえでは、本質的な要素になってくる」としています。

勝機は、現実世界の問題の中から生まれる

これまでAIは、GAFAなどの巨大IT企業がリードしてきました。戦い方次第では、日本企業にも十分勝機はあると西川さんは言います。

「GAFAのような“ジャイアント”は資本力もあれば技術力もある。そこに真っ向から勝負するのは、いささか無謀にも思える」と西川さん。「現実世界の問題に目を向けてみると、まだまだ分かっていないことはいっぱいある。例えば、工場の中ではたくさんの機械が動いているが、それは完全に数式だけで解けるものではなく、実際に動かす時にはノウハウも必要であれば、アナログ的に解明できていない問題がまだまだある。そういったところを解明していって、われわれしかない技術をつくっていく。それが、私たちの“勝ち筋”でもあるし、日本企業の“勝ち筋”だと思う」と話しました。

西川さんが言っていた、ロボットが「安全に空気を読んで、人間が見ていて気持ちいい動き」をすること。これが、難しいところなんでしょうね。

ディープラーニングというと、今までは「いろんなことができそうだな」と期待が先行していましたが、やっと実証する段階に来たところだと西川さんは言います。これからますますおもしろいことになりそうです。

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