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2020年1月7日(火)

AI 世界と闘うために

研究室から起業家を次々と輩出。AI第一人者が語る日本の可能性、そして危機感とは。

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7日から4日間、「2020革新者たち」と題し、注目分野のキーマンへのインタビューをお届けします。初日は、東京大学大学院の松尾豊教授。AI=人工知能がみずから学ぶ、ディープラーニングと呼ばれる技術で、日本を代表する研究者として知られています。今、何が求められているのか、話を聞きました。

AIスタートアップを学生が続々と起業

大学での研究にとどまらず、講演会や企業からの相談に乗るなど、忙しい毎日を送る松尾教授。学生に積極的な起業を呼びかけ、今、研究室から相次いでスタートアップ企業が誕生しています。

教え子が立ち上げたのが、AIを活用して建設機械などを無人で動かす技術を持つ企業。また、スポーツ選手の動きを分析してけがを防いだり、熟練労働者の技術を解析して作業の効率化を図ったりするビジネスに取り組む企業も立ち上げました。

松尾教授は、教え子たちの起業について「すごく頑張っていると思う。日本中のスタートアップの挑戦が世界的な大企業につながる可能性も十分あると思う」と期待。「多くの人がそれを信じていない。どうせできないだろう、と思っているが、できない理由はない」と力を込めました。

勝負を分けるのは「変化する側に早く回る」姿勢

一方、松尾教授は、アメリカや中国と比べて、日本企業の取り組みの遅さに危機感を感じています。「特に大企業は新しい技術を採用することも遅いし、それを市場に出すところも遅い」と指摘。そのうえで、「世の中は変化する。変化する前提だと、いかに変化する側に早く回るかが勝負を分ける。いつまでも変化しない側にいる思考が、そもそも負けだ」と断じました。

松尾教授は「日本も昔は起業家の方が多い」として、ホンダ創業者の本田宗一郎氏、パナソニック創業者の松下幸之助氏、ソニー創業者の盛田昭夫氏の名前を挙げました。そして「われわれ(日本人)はもっとベンチャースピリッツを持っているはずで、現場の課題の中から新しいものや、いいプロダクトをつくり、それを世界中に売っていくのは、本当はもっとみんな、日本人のアイデンティティーだと思ってやるべきようなことじゃないかと思う」と話しました。

若者の力“生かせる社会”づくりを

松尾教授が、世界と闘うために欠かせないと考えているのが、新技術の取り込みに柔軟な若者の力です。2019年から東京大学の経済学部のゼミに、AIに詳しい研究室の学生やスタッフを送り込み、起業を促す授業を開いています。

実際にこの中から、在学中に会社を興した学生もいます。AIスタートアップを起業した経済学部3年の男子学生は「起業するのが当たり前みたいな環境だったので、『やってやろう』みたいな気になった」といいます。

松尾教授は「いつの時代も若者は優秀。だけど、それを“生かせる社会”と“生かせない社会”がある。日本はそういう意味では、“生かせない社会”になりつつある」と指摘します。「若い人、柔軟な思考を持った人、若い技術にどれだけ懸けるか。(アメリカの)シリコンバレー、(中国の)深圳の次に、(東大がある)“本郷”という名前が挙がるぐらい、AIを中心にしたスタートアップから世界的な企業が生み出される地域にしていきたい」と語りました。

なるほど。松尾教授は、日本の可能性や伸びしろに期待しつつ、“もどかしさ”みたいなものを感じているような気がしますが。

AIはもっと広く活用できるのに、国内だけにとどまっていることに危機感を感じていて、動きの遅い大企業ではなくスタートアップ企業の活躍に期待しているようです。そのためには、若者の能力を引き出す環境をいかにつくっていくかが大事だと感じました。

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