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2019年10月30日(水)

退職は“サヨナラ”ではない

“去る者は追え”?

卒業生のことを英語で「アルムナイ」といいます。転じて、ビジネスの世界では「退職した元社員」の意味で使われ、今、企業が注目し始めています。なぜアルムナイが必要とされるのか。その事情を取材しました。

つながり始めた退職者と元会社 新ビジネスにも展開?

【報告:経済部 茂木里美記者】
9月に東京で開かれた懇親会。参加したのは、会社を辞めた人と当時の上司です。IT企業や信用金庫など7社が集まりました。参加した男性は「組織が違ったとしても、人と人とのつながりはこれからも大事にしていきたい」と話しました。

主催したのは、都内にあるベンチャー企業の「ハッカズーク」。代表を務める鈴木仁志さんが目指すのは、会社と退職者が“サヨナラ”で終わらない「辞め方改革」です。

この会社では、退職したアルムナイが今、どんな仕事をしているかなどの情報をリスト化。それを元の会社の人事部などが見て、連絡を取り合えるシステムを構築しました。例えば、起業などを目指して退職した人材と、会社側がつながりを持ち続けておけば、将来の業務提携など、新たなビジネスに展開できるメリットがあると考えたのです。

代表の鈴木さんは「(アルムナイが)外で培った新しい知識とか経験を生かして、(元いた)会社に持ち込んでくれれば、会社としてもすごくメリットがある。そういった経験を生かせるのは本人にもメリットになる」と考えています。

若手中心に退職者増加 人材確保のためアルムナイに接触

一度辞めたアルムナイと会社側がつながりたい別の事情も見えてきました。9月からハッカズークのサービスを利用する大手化学メーカーのクラレ。ここ数年、若手社員を中心に退職者が増加しているといいます。これまでは「去る者は追わず」の対応でしたが、優秀な人材を確保するため、将来アルムナイを再雇用できないかと考えたのです。

人事部の山崎誠司さんは「手塩にかけて育てて、活躍してもらえる時に辞められる。会社にすると非常に痛い」と説明。元社員を「受け入れないことによるデメリットのほうが大きい」と考えています。人事部では、アルムナイとの関係づくりの一歩として、社内報などを送りコミュニケーションを取り始めています。

退職したアルムナイはどう思っているのでしょうか。人事部の山崎さんが訪ねたのは、2019年春まで企画管理部で働いていた元社員の塚本亮さん。塚本さんは、アメリカでの勤務をきっかけに自分の能力を試したいと、外資系の企業に転職しました。

塚本さんは「嫌いになって辞めたとかではなくて、わだかまりもなく辞めた。つながりを持てるのはうれしい」と話し、元の会社と関係を持ち続けることは、将来の選択肢を広げることになり、魅力的だと考えています。人事部の山崎さんは「地道にこういう活動をして、将来的に1人でも2人でも帰ってきてくれれば、それは十分、やった意味があると思う」と語りました。

「辞め方改革」といいますが、辞められた会社側の「辞められ方改革」も必要だということでしょうか。

そうですね。人材を得るという点で考えると、最近では新卒採用、中途採用に続いて、アルムナイを3番目の柱と考える企業も出てきています。もともと社内のことはよく分かっているし、社外での経験も持ち込んでくれれば、企業にとって貴重な戦力になりそうです。

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