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2019年7月24日(水)

AIのつなぎ役 プロジェクトマネージャー

ますます必要になる人材です。

AI=人工知能が進化して、AIなら何でもできると思われがちですが、実は使いこなすのは簡単ではありません。顧客企業が何をしたいのかを理解し、それに合わせたAIの活用法を考える「つなぎ役」が欠かせないのです。そんな役目の「プロジェクトマネージャー」に注目しました。

AI活用 提案できる人材を

企業のシステム開発などを行っている、大手商社の子会社、伊藤忠テクノソリューションズ。AIの知識を社員に幅広く身につけてもらうため、2019年から新たな研修を始めました。研修で講師の男性は、社員たちに「皆さんに分かっていただきたいのは、あくまで全体像。ジェネラリストとして知っておくべき全体像です」と語りかけていました。

研修を通じて目指すのは、顧客とAIエンジニアを結び付けるプロジェクトマネージャーの育成です。顧客ごとに違うニーズに合わせ、必要なAIの技術を判断して、AIエンジニアと結び付けられる人材を育成しようというのです。

伊藤忠テクノソリューションズの久保田さえ子部長は「一部の特殊な人材だけのAIではなく、お客様と会話をして、お客様の課題を理解して、提案ができる人材を育てる」とねらいを説明。「どんな案件でも、ある程度AIの要素を理解して、ご提案ができるレベルに持っていきたい」と話しました。

“快適な暮らしを学習、成長する家” 「強化学習」で実現

プロジェクトマネージャーの活躍は、すでにいろいろな場面に広がっています。大手建設会社の竹中工務店がつくり、19年にオープンした、未来の家の体験施設。温度や湿度、住む人の心拍数など、1000種類以上のデータをセンサーがキャッチします。住む人にとって最も快適になるよう、AIが自動で照明や空調を制御しています。

このシステムの組み立てに大きな役割を果たしたのが、IT企業「HEROZ」でプロジェクトマネージャーを務める、関享太さんです。顧客からのリクエストは「住む人が快適に暮らせるよう、学習して成長していく家」でした。抽象的なテーマを実現するため、関さんは、「強化学習」というAIの手法を得意とするエンジニアに話を持ちかけました。「強化学習」は将棋や囲碁のソフトでも使われ、この手法を使えば、人間が最も快適だと感じる環境を、AIがより的確に学習してくれると考えたのです。

関さんは、顧客の竹中工務店との打ち合わせで「将棋や囲碁と一緒で、まずはプロの盤面やプロの棋士を学んで、それをAIがどれだけ模倣できるか」などと、強化学習の手法を説明。竹中工務店の担当者は「何も考えずに全部データを入れてちゃんと学習できているんだから大したもの」と感心した様子でした。

こうした顧客とエンジニアのつなぎ役になれるプロジェクトマネージャーは、今後ますます必要になると言われています。関さんは「AIに対する漠然とした期待をお客さんが持たれているなかで、しっかりそれを解きほぐして使える形に落とし込む。プロジェクトマネージャーはAIを企業に導入する上でのコンサルタントみたいな位置づけなのかな」と話しています。

「つなぎ役」の検定 合格者1万人近くに

それこそ、つなぎ役もAIがやってしまうのでは?と思うほどAIが進化していますが、この部分は人が担うんですね。こうした人材を育てていかないと、これからのビジネスにつながっていかないということですか。

そうですね。こうした人材を育成するために企業で使われているのが、「G検定(ジェネラリスト検定)」という資格試験です。冒頭に企業が行っていた研修も、この資格取得を目指したものです。民間の資格で、17年に始まり、合格者数は9871人と1万人近くに上りますが、まだまだ立ち上げ期の段階です。

試験の主催団体の理事長で、AI研究の第一人者、東京大学の松尾豊教授は「AIが本格的にビジネスになるのはこれから。どう事業に生かすか、どう社会を良くしていくか、考えられる人材がますます必要になる」と話しています。

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