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2019年6月13日(木)

Bizアジア 船も自動運転の時代へ

海上に巨大マーケットを開拓できるか。日本の商社が挑む。

自動車の自動運転技術の開発が進むなか、船にも自動運転の波が押し寄せています。航海士など、高度な技術を持つ船員が世界的に不足している問題が解消されるのか、より安全な航行の実現につながるのか、注目されています。

船員の負担減・事故防止へ 日本の商社が始動

【報告:シンガポール支局 藤田享子記者】
アジアとヨーロッパをつなぐ物流の要衝、マラッカ・シンガポール海峡。多くの大型船が絶えず行き来しています。狭い海峡のため、船舶事故が後を絶ちません。大型船は多数の船員が乗り込み、原油や自動車などを運んでいて、ひとたび事故が起きると、その被害は甚大です。

取材のため、自動車の運搬船に同乗しました。今、こうした貨物船を自動で運航できるシステムの開発が進められています。大手商社の三井物産は2019年4月から、大型船の自動運航の技術開発を始めました。船員の負担を軽減し、事故を防ごうと考えたのです。プロジェクトには、シンガポールの大手エンジニアリング会社や、船の安全性を検査するイギリスの団体が参加しています。

小型船で実績、大型船へ応用

すでに小型船では、自動運航の技術開発が進んでいます。船にカメラやレーダーを搭載。操縦席には、もちろん人は乗っていません。

この小型船は、あらかじめ指定したルートを、ほかの船舶などの障害物をよけながら進みます。自動運航している小型船の航路を、私たちの乗る船が遮ろうとすると、小型船のセンサーがそれを検知して船体が自動的に減速。衝突を回避して再び加速します。

三井物産などによる開発プロジェクトでは、こうした技術を大型船に応用しようと考えています。プロジェクトに参加する「STエンジニアリング」のアンドリュー・ユーさんは「大型船の場合、より強力なカメラやレーダーが必要かもしれない。シンガポール沖は障害物が多いので、いい開発ができると思う」と話しています。

停止に10分 より早い安全ルート把握が課題

しかし、自動運航の技術を大型船に応用するには、課題があります。大型船は停止するまで時間がかかり、なかには完全に停止するまで10分かかる船もあります。小型船より、早く、的確な判断が求められるのです。

このためプロジェクトでは、探知した海上の障害物や海図、ほかの船の航行情報を基に、早め早めに安全なルートを割り出せるシステムをつくろうとしています。

アジア・大洋州三井物産の粟津義一さんは「中長期的にはものすごいマーケット規模になっていくと考えている」と期待し、「世界中の港でさまざまな海運事業会社に活用してもらうことを目指していて、当社としても新たな収益源に育てていきたい」と話しています。

大型船ならではの課題があるということですが、船の自動運転というのもこれから広がっていきそうですね。

そうですね。確かに需要があると思います。一方で、実用化には運航の国際的なルールづくりを含め、まだかなり時間がかかる見通しです。ただ、海運業界ではかなり注目されていて、ヨーロッパの会社もこの分野に進出しています。今後、開発競争が激しくなりそうです。

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