これまでの放送

おはBiz

2019年5月22日(水)

実は日本生まれ!進化するQRコード

「日本が得意なイノベーション」のかたちとは?

QRコードはいまや、キャッシュレス決済などで、中国をはじめ世界中に広まっています。「QR」は「Quick Response(クイックレスポンス)」の略。日本の大手自動車部品メーカーが25年前に開発しました。コードを発案した技術者は、いまも現場で開発を続けています。さっそく訪ねて、話を聞いてきました。

バーコードは「疲れる」 “苦情”をきっかけに開発

QRコードを開発した、「デンソーウェーブ」の原昌宏さん(61)。入社以来、コードの読み取り機の開発にかかわってきました。

当時、工場の部品の管理にはバーコードが使われていました。バーコードは黒と白の単純な“しま模様”で、20字程度の情報しか入らないため、何度もコードの読み取りが必要だったといいます。原さんは「作業者から『非常に疲れる』と苦情があったものだから、読みやすいコードを作って皆さんに提供すれば、皆さんに喜ばれるし、われわれもハッピー」と語ります。

趣味の囲碁がヒントに

より多くの情報を入れるためには、コードの形をどうすればいいのか。ヒントになったのは、原さんが昼休みに打っていた趣味の囲碁でした。碁盤の模様は、QRコードとちょっと似ていますよね。コードを格子状にすれば、囲碁の石のようにたくさんの情報を盛り込めると考えたのです。

さらに、瞬時に情報を読み取れるように考えたのが、3つの特徴的な目印。コードが文字に埋もれていたり、向きが傾いたりしていても、読み取り機が正確に反応するようにしました。こうして工夫を積み重ねること2年。最大7000字の情報が盛り込める新たなコードが誕生しました。

原さんは「イノベーションはたぶん2つあると思う」と言います。「1つは発想的にぽーんと(これまでに)ないものを創造する。もう1つは“積み上げ型のイノベーション”で、改良の積み上げ」です。そして、「ハイテクもいいが、ローテクで技術の改良を積み重ねる。日本はたぶん後者が得意だと思う」と語りました。

“鍵付き”コードが医療現場・金融機関に登場

原さんの想像以上にQRコードが普及するなか、いま取り組んでいるのがセキュリティーの強化です。“鍵付き”のコードは、医療現場で患者の情報管理に使われています。情報がどうロックされるのか説明するため、原さんは、「岸さんの受診票です」と、その場で作ったコードを取り出しました。

このコードにスマホをかざしてみると、「おはBiz」「岸正浩」と、所属と名前しか読み取れません。しかし専用の読み取り機を使うと、「体重:63キロ」「持病:花粉症」などの情報が読み取れるのです。

鍵付きのコードは金融機関でも使われています。鹿児島銀行は4月に実証実験を開始。使い方は、まずコードに顔の特徴を取り込みます。続いて、ATMでキャッシュカードの代わりにコードをかざし、ATMのカメラに映った顔の情報と、コードの情報が一致すれば、現金を引き出せる仕組みです。

鹿児島銀行の事務統括部の森泰隆さんは「セキュリティー機能を搭載したQRコードは、『そういう新しい技術があったんだ』と非常に驚いた」と話しています。

開発者の原さんは「いろんな用途に使われるようになって、まだまだこれから伸びしろがあるので、これからも頑張らないといけないかな」と思いを新たにしています。

「イノベーションはローテクの積み重ね」

QRコードは現場のニーズから生まれたものだったんですね。

そうですね。開発したデンソーウェーブは、特許を取っているものの、公開していて、使用料は取っていません。開発者の原さんは「ほかの企業と競争したからこそ新たな技術やサービスが生まれた」と話しています。

原さんは、いまも現場で技術開発に携わっていらっしゃるんですか?

そうなんです。再雇用という形で後輩を育てておられるんですね。原さんは「イノベーションはローテクの積み重ね」と話しています。イノベーションとは、一人の天才がひらめきでなしうるものではなく、地道な積み重ねが極めて重要。改めてそう気づかされました。

関連情報

新着記事

新着ブログ

Page Top