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2019年1月23日(水)

達人の“視線”に学べ!

玄人目線が作業効率アップの技を伝える?

東京ビッグサイトで開かれた最新のIT機器の展示会で、「アイトラッキング(視線計測)」という技術が紹介されました。めがねをかけると、その人が見ている場所が画面に「〇」で表示されます。今この技術を、熟練の技を伝える従業員教育に活用する動きが始まっています。

検品のポイントは「2の字」にあり 育成期間が半分に

愛知県にある自動車部品メーカーのデンソー。製造工程の最後に行う検品作業は、人の目が頼り。しかし、期間従業員が多く人が頻繁に入れ代わるため、いかに早く技術を習得してもらうかが課題になっていました。そこで訓練のために導入したのが、アイトラッキングのシステムです。

検品では2つの部品を同時に見ます。アイトラッキングでベテラン従業員の視線の動きを追うと、数字の「2」を描くように動いています。ポイントを絞って規則的に見ることで、異変などに気づきやすくなります。一方、経験が浅い従業員は、視線が部品のさまざまな箇所にばらつくように動き、安定しません。

アイトラッキングを活用しベテラン従業員の視線と比較することで、次々に入ってくる従業員をこれまでの半分の期間で育成できるようになりました。工場で従業員教育の様子を見せてもらうと、ベテラン従業員が新人に部品の画像を示しながら、「ここの傷を見逃す可能性があるので、ちゃんと『2の字』で見るようにしてください」と指導していました。

デンソーのガソリン噴射製造部の平山要工場長は「(検品の)精度も上がって効率も上がった。育成には非常にアイトラッキングは有効」と話しています。

作業時間7分差の理由 視線の動きで解明

人手不足に悩む物流の分野でも、アイトラッキングの活用が始まっています。花王ロジスティクスでは、1日に30万点の商品を出荷しています。従業員は広い倉庫を回り、注文された商品を一度に数種類取りに行きます。ところが作業内容が同じでも、早い人と遅い人では1回当たりの所要時間に7分近い差がついていました。

そこでアイトラッキングで視線の動きを比べたところ、大きな違いがあることが分かりました。商品を集める際、カートの画面には、どの場所でどの商品をいくつ取ればいいのかが表示されます。作業時間の早い人は、画面を見て一度に商品名と個数を覚え、すかさず商品をピックアップします。一方、遅い人は、まず画面の商品名を見て実際の商品を確認、その後、また画面で個数を確かめてから商品をピックアップしています。画面を見る回数が多い分、時間がかかっていたというわけです。

視線の動きのむだを省くことで、多くの従業員が作業時間を短縮することができました。花王ロジスティクス技術センターの今田秀一統括部長は「何が違うんだろうという疑問があった。(アイトラッキングで)そういうところが見えるようになった。かなり生産性(向上)に寄与できるのではないか」と話しています。

「視線の寄り道こそが感性を豊かにする」と思っていますが、こういうところでは通用しないということですね。視線の動きを見られるベテランは、ちょっと恥ずかしいんじゃないかなあ。

熟練の技はなかなか言葉で伝えきれない部分があるので、目線の動きを可視化したというのが今回の例ですね。この技術は商品の陳列方法の検討などに使われていますが、従業員教育に使われるのは珍しいそうです。人手不足で早く人を育てたいという事情を抱える、日本ならではと言えそうです。

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