2018年12月07日 (金)ヘリコプター中継「空でしゃべる」
廣田直敬です。
緊急報道をはじめ、空からの放送に欠かせないヘリコプター。
上空からしゃべっているのは、ほとんどの場合はカメラマンです。
11月上旬、全国から参加した若手カメラマンに
「ヘリコプターリポート研修」を行いました。
<手もとのコントローラーでカメラ操作しながらしゃべる>
放送に映ることはありませんが、
「カメラを操作しながらしゃべる」というのはとてつもなく難しい技術です。
私は講師役として参加。主にリポートの仕方を訓練します。
「しゃべることがなくなる」と誤解をして怖がっているカメラマンに、
私がいつも言うのは「答えは自分の中にある」。
禅問答のように聞こえるかも知れませんが、
自分がその映像を撮った理由を言葉で説明する、ということです。
詳細は省きますが、訓練を積むと皆上手くなって行きます。
収録した映像を見ながら講評を加えていく研修の時に、
「手本を見せて下さい」と言われました。
「偉そうに言っているけど、自分で出来るのかよぉ」
と言われたように聞こえました。
冷汗三斗。
<右端が大沢アナウンサー>
ふっと見ると、今回受講している、大沢幸広アナウンサーと目が合いました。
「大沢さん、お手本をお願いします」
口調としては、「助さん、格さん、やっておしまい」
とか何とか言っている水戸黄門に聞こえるようにゆっくりと言いました。
身内を褒めるのはみっともないのは承知で言いますが、上手でした。
私は先輩から教わったことを伝えているだけなのに、
後輩達は勝手に「教えた覚えのないこと」まで学んで帰るのです。
今回、私が学んだことが一つあります。
「救急車でしょうか、3台見えます」と受講者。
分からないこと、確認出来ないこと、不確かなことはコメントしないように、と注意して、
「家の周りには白い車が3台停まっています」と、上空から分かることだけを
コメントするといい、と言った時です。
「なるほど、思考を一つ戻せばいいのですね」
お~、すげ~、と心の中で手を叩きました。
これ、おススメです。
夫婦げんかになりそうな時、子どもを叱りとばそうになった時、
感情が先走りそうになった時、「思考をひとつ戻す」のです。
すると「自分にも悪いところがあった」と冷静になり、
そもそもの原因を俯瞰して見ることが出来ます。
私はヘリコプターに乗った訳ではないのに、空からの視点まで手に入れた気分でした。
教えに行ったはずが、教わった話、でした。
投稿時間:19:00