2020年3月27日(金)

“覚悟を持って いま伝えたい”

桑子
「手ごわいウイルスに、私たちはどう立ち向かっていけばいいのか。
そのヒントを求めてきょう(27日)、この方に話を聞きました。
京都大学の山中伸弥教授です。
いま多くの人に伝えたいという、強い思いを語ってくれました。」

未知のウイルスとの闘い 山中教授のメッセージ

インタビューの冒頭、山中さんはこう切り出しました。

京都大学 山中伸弥教授
「僕も本当はマスクをしたほうがいいと思うんですが、きょうは、僕が今この新型コロナウイルスに対して思っている危機感であったり、いろんな思いをせっかくこういう機会をいただきましたから、できるだけたくさんの人に感じ取っていただきたいので、あえてマスクは外してインタビューさせていただければと思います。」

ウイルスに関する最新の情報を伝えようと、山中さんは今月(3月)、ホームページを開設しました。
情報発信を始めた動機について、こうつづっています。

桑子
「『感染症や公衆衛生の専門家ではありません。しかし、国難である新型コロナウイルスに対して、医学研究者として何か出来ないかと考え情報発信を始めることにしました』。
ここにはどういう意識があるんでしょうか?」

山中伸弥教授
「本当に私たち全員が、普段、国というか社会に守られて生きています。
平和な時には気づかないのですが、医療だったり福祉だったり、学校であったり、いろいろなものに守っていただいて研究も出来ているんですが、今、このウイルスは1人1人個人に対する脅威でもありますが、それ以上、社会に対する脅威ですから、本当に強い危機感を持っていますので、なんとか貢献できないか。
いろんな情報が来る度に更新しています。
それくらい刻一刻といろんな情報が集まっていて、きのうは“こうだ”と思っていたことがきょう、“え、違うんだ”と思うこともありますから、それはすぐに変えていかないと、いろんな方がこういう情報を元に判断されると思うんですね。
そのときに一番、1分1秒でも最新の情報を提供するというのが、非常に大切だと思っています。」

山中さんはこれからのウイルスとの闘いについて、こう表現しています。

桑子
「『新型コロナウイルスとの戦いは短距離走ではない、1年は続く可能性のある長いマラソン』なんだと、“長いマラソン”という表現をしたその心を教えてください。」

山中伸弥教授
「いろいろな方が、それぞれのお仕事であるとか、やっぱり生活がかかっていますから、対策を考える必要があるんですが、このときに、この戦いが1週間我慢したら終わるのか、1か月で終わるのか、もしくは1年かかるのかで対策が全然変わってくると思います。
僕はあえて批判されることは覚悟で、これは1年、最低でも1年は一緒に頑張りましょうと。」

桑子
「山中さんがおっしゃる力強さは、ものすごいものがあるなと感じていて。
やはり、それはiPS細胞という本当に未知のものとずっと向き合って探究してこられた、その経験をみんなが知っているから、その山中さんがこうおっしゃるんだったら、そうなのかもと。」

山中伸弥教授
「これは発信するとなると勇気がいりますし、いろんな方から“やめたほうがいいんじゃないか”というのは当然言われます。
僕も、『1年の戦いです』と言ってますけど、心の中では半年、1か月で終わってくれたら本当にうれしいなと思っています。
ぜひ予想が外れてほしいですけども、ただ逆のパターンで、甘く見ていてひどいことになってしまうと、取り返しがつかないことになりますから、いろいろな情報を判断すると、やっぱりかなりの確率で長期戦になると思っておいた方がいいと。
これが1年くらいかかったときに、これは想定外だったということは全然言えないと。
いろいろな論文とかを解析した上での、自分の、これはある意味仮説です。
真実かどうかは、歴史が証明するしかないんですけど。」

それでも山中さんは、ウイルスとの“うまいつきあい方”を見つけることはできると確信しています。

山中伸弥教授
「日本だけじゃなくて、人類がこのウイルスに試されているといいますか、うまく対処すれば、やっつけることはできないですが、絶対うまく付き合える。
きっと1年後2年後には、季節性のインフルエンザと同じくらいの付き合い、季節性インフルエンザよりちょっと、高齢者は気をつけた方がいいね、というくらいの状態に1年後にはもっていけると思いますので、いつまでも続くわけじゃない。」

桑子
「ちょうど、きのう(26日)投稿されていた、これがすごく印象に残って…。
『新型コロナウイルスはすぐそこにいるかもしれないと自覚することが大切です。桜は来年も必ず帰って来ます。もし人の命が奪われたら、二度と帰って来ません』。
ものすごく強いメッセージだなと感じました。」

山中伸弥教授
「この週末、来週の週末あたり、花が本当にきれいなんですが、花は桜は必ず来年(2021年)も帰ってきますから、いま感染が広がって高齢者を中心に亡くなる方が増えると、その方の命は絶対戻って来ませんので、例年のように有名なところにみんながわーっと集まって長時間滞在するというのは、ことし(2020年)に限っては、ぜひ東京とか京都とか大阪だけじゃなくて、日本全国で我慢するべきじゃないかなと。
自分の安全、自分の周囲の高齢者の安全、そして社会の安全はもう自分で守ろうという意識を持つことが、そういう意識を持つ方がどれだけ増えるかが、すごく大切だと思ってます。」

有馬
「“正しく恐れよ”という、冷静なメッセージがしっかり伝わってきました。」

桑子
「山中さんの覚悟を感じました。
それは、最新の状況を伝え続けるという覚悟。
誰でもできることではないですけれども、その人なりの覚悟を持って行動に移す、これは誰にでもできると思うんです。
その小さな積み重ねが、多くの命を守ることにつながるんだと教わった気がしました。」

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