2019年5月23日(木)

ヨーロッパ議会選挙 台頭する極右・右派勢力

イタリアの右派政党
「ヨーロッパを勝ち取ろう!
変えていこう!」

イタリア、ミラノに結集した、この面々。

オランダの極右政党
「移民はいらない。
イスラム教徒はもうたくさん!」

フランスの極右政党
「フランスはフランス人が、イタリアはイタリア人が望むように!
ヨーロッパは我々のものだ!」

EUに加盟する国々から集まった、12の極右や右派政党の代表たちです。

EUの政策を変えようと、今日(23日)始まったヨーロッパ議会選挙で連携を強めています。

自国第1を掲げ、かつてなく支持を広げるこの勢力。
EUの行方に迫ります。

そもそもヨーロッパ議会って?

桑子
「日本時間の今日、投票が始まったヨーロッパ議会の選挙。
こちら、EUに加盟する28の国で行われます。」

有馬
「ヨーロッパ議会、ちょっとなじみないかなという声、聞こえてくるようなんですけれども、こんなちょっとユニークなデザインの本部がフランスのストラスブールにあります。
EU共通の法律や政策を決める立法機関、日本で言えばいわば国会のような存在ですかね。
例えば、これ。」

桑子
「『財政規律』。」

有馬
「いたずらに各国が財政赤字抱えちゃだめだよ、と厳しいルールを策定するんです。
そして…。」

桑子
「『貿易協定』。」

有馬
「EUの外と貿易するときに、ルール、関税を承認する存在です。」

桑子
「EPAとかFTAとか、そういうものですよね。」

有馬
「そして、これが焦点なんです。」

桑子
「『難民の割り当て』。」

有馬
「各国にどれだけ難民を受け入れさせるか、目標とする割り当てを達成するように求めるのが、このヨーロッパ議会。
このように、その役割は多岐に渡るんです。」

桑子
「ヨーロッパの人たちの暮らしに直結するものごとに深く関わっている印象があります。」

有馬
「このヨーロッパ議会の定数は751。
議席は、各国の規模などに応じて割り振られているんですけれども、各国それぞれの有権者が、こうして自分の国の代表を決めるんです。」

桑子
「国ごとで、その国の代表を決めていくわけですね。」

有馬
「ということなんです。
5年に1度の選挙、今回いつになく注目されるのは理由があります。」

桑子
「VTRで見ましたよね、極右や右派の政党です。」

有馬
「EUに反発する勢力が、かつてなく勢いを増しているからなんです。」

広がる「自国第一主義」 ヨーロッパ議会選挙の行方

リポート:小島晋記者(ヨーロッパ総局)

EUに次々と反旗を翻す動き。
そのけん引役となっているのがこの人物、イタリアのサルビーニ内相です。
去年(2018年)6月、自ら率いる右派政党「同盟」が連立政権入り。
副首相のポストも手にしました。

有権者の心をつかんでいるのが「PRIMA L'ITALIA=イタリア・ファースト」です。
反移民の政策を柱に、イタリアの利益を最優先にすると主張しています。
中東やアフリカからヨーロッパを目指す移民や難民の玄関口となってきたイタリア。

サルビーニ氏は国民が抱く不満や不安に訴えかけ、一切入国させないと、強硬姿勢を打ち出しています。

サルビーニ氏のSNSより
「船に乗ったやつらが来ても、私は絶対に上陸許可は出さない。」

サルビーニ氏のCM
「わずか数か月で不法移民はいなくなった。
やって来る船も95%減らした。」

支持者
「あなたはすばらしい!」

こんな熱狂的な人まで現れました。

支持者
「サルビーニ氏のすべてが好き。
言うだけでなく、実行してくれる。」

支持者
「信念があり、私の思いを代弁してくれる。」

支持者の1人、ペゼンティさんです。
イタリア北部の山あいの村に暮らしています。

人口800人ほどのここでも、移民や難民の受け入れを迫られてきました。
現在、100人余りが村内に設置された施設で暮らしています。

ペゼンティさんは、移民や難民によって村の診療所やバスなどが使われ、自分たちが公共サービスを受けにくくなったと不満を募らせています。

サルビーニ氏を支持 ペゼンティさん
「私はこれまで多額の税金を支払ってきた。
私が享受するはずの権利を、来たばかりの難民が手にするのはおかしい。」

農家のマツェットさんもサルビーニ氏に共感する1人です。
長年、家族で野菜や果物を栽培してきました。
スペインなどから入ってくる安い農作物との競争にさらされ、経営が苦しくなっていると言います。

サルビーニ氏を支持 マツェットさん
「イタリア産のものがあるのに、外国産を持ち込む必要はない。
このままではイタリアの農業はなくなってしまう。」

サルビーニ氏は、こうした不満に応えるような主張を繰り返し、支持を急速に拡大させています。

サルビーニ氏のCM
「家庭に届くものは、すべてイタリア産になる。
イタリアの食材は体にいい。
投票日には『イタリア・ファースト』だ。」

各国では危機感が広がっています。

「ナショナリズムをなくそう!」

19日には、ドイツやフランスなど13か国で、EUの結束を呼びかけるデモも。

自国第一の考えが広がれば、ともに生きることを目指してきたEUの理想が失われてしまうと訴えました。

「反ヨーロッパの声が高まっているから、親ヨーロッパの姿勢を示すことが大事。」

「民主主義の破壊を望む右派に、ヨーロッパが支配されてしまう。」

台頭する極右・右派勢力 EUの今後は

桑子
「これだけEUへの反発が強まっていて、選挙結果どう現れてくるんだろう、と思います。」

有馬
「すごく気になりますよね。
ヨーロッパ議会の勢力は今、こうなってるんです。
EUを支持する勢力、議会の中核を担ってきたわけですけど、あわせて401議席。
全体の過半数を占めてるわけです。
EUの政策に反発する勢力は、だいたい3割弱なんですが、最新の予測によりますとこうなるんです。」

桑子
「反発がちょっと増えましたね、252になりました。」

有馬
「そうなんです。
全議席の3分の1を超える勢いで、EUを支持する勢力はといいますと、初めて過半数割れになる感じなんです。
となるとどうなるかといいますと、EUが進めてきた移民・難民の受け入れ、それから自由貿易といった政策にブレーキがかかってしまう、そんな事態にもなりかねないわけです。
とても重要な選挙なんです。
選挙結果、判明するのは日本時間の来週の月曜日。
結果に注目したいと思います。」

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