2019年10月23日

2019年10月23日 (水)

気象キャスターの役割とは?   斉田季実治

台風19号が伊豆半島に上陸し、東日本や東北に甚大な被害をもたらしてから10日ほどが経ちました。

未だに行方不明の方も多く、慣れない避難所での生活に疲れが溜まってきた方も多いと思います。

エコノミークラス症候群などによる災害関連死を防ぐためにも、被災地のライフライン等が少しでも早く復旧し、

日常の生活に戻れることを願っています。

 

私や家族は幸いにも被災しないで済みましたが、

気が付けばあの日の夜のことを考えていることが多いです。

NHKで深夜の大雨や台風の臨時放送を担当するようになって10年がたちますが、

これほど広域で河川が氾濫したのは初めてでした。

本来であれば、増水して氾濫の危険がある川をお伝えするはずが、あまりにも次々に川が氾濫したために

30分ごとの放送でも氾濫した川のそばの方に逃げてと呼びかけることしかできませんでした。

一方で、コンピュータによる6時間先までの雨の予想は驚くほど当たっていました。

関東甲信や福島県で大雨や暴風が吹いているころ、宮城県の内陸部や岩手県の沿岸で

これから記録的な大雨になることを示唆していたのです。

予想が外れることを願いながら放送していました。

刻一刻と状況が変化する中、自分は適切な情報を伝えることができたのだろうか、

少しでも命を守るための手助けができたのだろうかと考える日々が続いています。

 

今回の台風は異例の急発達をしたため、早くから警戒が呼びかけられました。

去年、近畿地方を中心に甚大な被害をもたらした台風21号と同じような被害が、

今度は関東周辺で起こるかもしれない。

昭和33年、伊豆半島や関東に大きな被害をもたらした狩野川台風に匹敵する大雨が降るかもしれない。

さまざまな過去の事例を提示しながら、台風19号の危険性や早めの避難の必要性を呼びかけました。

 

また、台風上陸のかなり前から大雨が降って、危険な状況になることが予想されていました。

私は前日に、屋外にある植木鉢や物干し竿をしまう様子の写真をTwitterで配信し、

台風接近の前日からNHKそばのホテルに泊まることも記しました。

気象予報士がいつも以上に警戒していることを、実際の行動を通して伝えたかったためです。

 

毎年のように災害が発生するいま、私たち気象キャスターの役割は、

災害で命を落とす方を少しでも減らすことだと思っています。

予報の精度を高めるのは、その手段の一つにすぎません。

できることは、まだあるはず。

自分の立場や経験を通して、何ができるのかをいま一度考え、行動に移していきます。

 

投稿者:斉田季実治 | 投稿時間:17:00 | カテゴリ:斉田季実治 | 固定リンク


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