ページの本文へ

にいがたWEBリポート

  1. NHK新潟
  2. にいがたWEBリポート
  3. 産前産後ケア 母親を支えるのは「元プロ」 新潟県新発田市

産前産後ケア 母親を支えるのは「元プロ」 新潟県新発田市

  • 2024年05月31日

放送された動画はこちら
 

「元プロ」のボランティア

妊娠中から産後にかけて負担がかかる母親をサポートする施設が新発田市にオープンしました。
そのスタッフの多くは保育士や看護師の経験がある「元プロ」たち。
地域の力を活用し、母親を支える施設を訪ねました。

新発田市にあるこちらの建物。
一見、普通の一軒家に見えますが、その中は、出産前後の母親たちを支える産前産後ケア施設、「ゆりかご」です。
そして、ここで母親を支えるボランティアのスタッフの多くは、助産師や看護師、保育士として働いた経験がある「元プロ」たち。

 

それぞれの専門知識を生かして、母親をサポートしようと集まりました。
資格を持っていないスタッフもいますが、母親からじっくり話を聞くことで支えようと運営に加わっています。

「不安な気持ちというのは、なにかで安心を得なければ、増すことはあっても減ることはないと思うんですよね。なにか話を聞いて、安心したり、『みんなも同じなんだ』って思うことができればいいなと。私にも、それくらいならできるかなって」

施設ではどんなケアが受けられる?

この施設を利用できるのは、出産前後の母親と、1歳未満の乳児。無料で利用できます。
母親は、子どもを見てもらっている間、ベッドで体を休めたり、スタッフに子育て相談したりできます。
お昼時であれば栄養満点の昼食も無料で提供されるほか、希望があれば、助産師の資格を持つ人に、もく浴のサポートを受けることもできます。

施設は、毎週月曜と水曜日、それに第1・第3日曜日の午前10時~午後3時まで開放されています。
電話すれば当日も利用でき、開放日以外も、相談の内容によっては調整して対応を検討してくれます。

オープンまでの道のり

地域の「元プロ」が集まり、母親に寄り添って支えたいという、こちらの施設。
地元でひとり親家庭などを支援するボランティア団体が立ち上げました。

ただ、立ち上げまでには課題もありました。
最も大きかったのが資金面で、補助金を申請しても、浴室の改装や家具の購入のための資金は不足。
そこで団体は、オープンの1か月前にチャリティー販売会を開きました。
出品したのは、団体に寄付された水墨画や茶道具、洋服など。
販売会は思いのほかに盛況で、6日間で約80万円を集めることができ、運営資金にあてました。

改装前の古い浴室
改装後の浴室

この資金で、浴槽を改装。
母親が足を伸ばして入れるよう、広いものに替えました。

脱衣所には、赤ちゃんがもく浴できる場所を作りました。
新たに設置する母親が体を休めるベッドは、自分たちで心を込めて組み立てました。

スタッフ「悪戦苦闘しながらですが、楽しいです。ママはどんな方が来るかなという出会いも楽しみです」

設備が整って、終わりではありません。
「母親と赤ちゃんに安らいでもらうにはどうしたらいいか」
オープン前、スタッフが集まり、何度も議論を重ねます。

この日のテーマは、母親に提供する昼食。専門知識や、子育てに関する経験を生かします。

スタッフ「あたたかいものが母乳が出ますし、リンパもよく動くようになるので、ポトフだとか、具だくさんのおみそ汁がひとつあればいいかなと思うんですよね」。

母親と赤ちゃんが"笑顔で帰れる場所"に

共働きや核家族化により、母親を取り巻く環境が変わる中でも、スタッフが連携して母親をサポートしたい。施設が目指すのは母親と赤ちゃんが「笑顔で帰れる場所」です。
5月1日に施設がオープンすると、初日はさっそく3組の親子が利用。
スタッフが赤ちゃんの面倒を見る間、母親たちはスタッフに子育てについて相談したり、お茶を飲んで休んだりして、つかの間、心と体を休めていました。

一方、施設では、子育て相談なども受け付けていますが、スタッフから、悩みや家庭の事情などを聞かないようにしています。
あくまで利用者から相談があれば、真摯(しんし)に受け止めるというスタンスで、利用者との距離感も大切にして一定のルールを設けることで、人に話しにくいことがあっても利用しやすくしています。
 

施設の代表 鈴木京子さん
「お母さんと赤ちゃん、今も家で困っている人いるし、そういう人たちと早く巡り会って、早く楽に、子育てが楽しい、生きていることが楽しいと思ってもらえるように、私たちが全力でサポートしたい」

(取材後記)
こちらの施設で母親を支えるボランティアのスタッフたち。
情熱的に活動する背景について聞くと、これまでの仕事などを通じて「子育てしにくい世の中になっている」と感じた経験や、子育てに悩む母親と接する中でもっとサポートしたい、という思いを持ったことが活動の原点になったと話す人もいました。
新潟県内でも数少ない産前産後のケア施設ですが、地域の「元プロ」たちの力を活用して母親を支えるモデルケースになるのではないかと、可能性も感じました。
この施設が地域でどのような役割を果たしていくのか、見つめていきたいと思います。

  • 鈴椋子

    新潟放送局 記者

    鈴椋子

    2020年入局。新潟局で事件・事故、司法を担当。
    産前産後ケアや、障害者施設など福祉分野も精力的に取材。

ページトップに戻る