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清水がおじゃまします!最後の卒業生へ最高のエールを

  • 2024年04月05日

コーナー「清水がおじゃまします!」。 
地域密着リポーターの清水まどかが、県内のみなさんのもとに直接おじゃまして 
地域で地道に頑張る人や魅力的な取り組みなどをお伝えします。

放送した動画はこちら

3月末、77年の歴史に幕を閉じた上越市立浦川原中学校。
その最後の卒業式が3月5日に開かれました。
4月からは、隣り合うふたつの地区の中学校と統合し、新しい中学校として再出発します。
全校生徒59人のうち、最後の3年生は24人。卒業式には、最高のエールが届けられました。

77年つないできた 浦川原中学校ならではの伝統

上越市浦川原区で唯一の中学校、浦川原中学校です。

もうすぐ卒業する3年生のクラスに、おじゃましました!
卒業式を目前にした生徒たちの気持ちを聞くと・・・

浦川原中学校には、長年自然と受け継がれてきたユニークな伝統があるんだそう。
中学校に通じる坂道で、不思議な光景を目にしました。

車が通るたび、立ち止まってお辞儀をしている様子。なにをしているのか聞くと・・・

自然に生徒たち自身が受け継いできた伝統なんだそうです。

77年の歴史を持つ浦川原中学校は、昭和22年に下保倉中学校として創立されました。

剣道部や陸上部が、県大会・全国大会で活躍した時代もありました。
そんな部活動を応援し、部員の活躍を支えてきたのが応援団です。

浦川原中学校の生徒にとって、応援団による応援は「互いに励ましあう」という
忘れられない思い出として刻まれてきたといいます。

しかし、歌い継がれてきた伝統の応援歌は、10年ほど前に途絶えてしまいました。

途絶えた伝統の応援歌 卒業生のために復活へ!

卒業式のおよそ2週間前。
子どもたちに内緒で、保護者が学校に集まってきました。
最後の卒業生となる生徒たちに、心に残るエールを届けたいと、サプライズを企画していたのです。

贈るのは、途絶えてしまっていた伝統の応援歌。
保護者たちは卒業生のために、応援歌を復活させようと動いていました。

企画した、五井野利一さん。
浦川原中学校の卒業生で、3年生に次男がいます。

中学生時代、卓球部に所属していた五井野さん。
毎年壮行会で歌われる応援歌に、元気づけられていたといいます。

PTA会長 五井野利一さん
「誰かを応援するのはもちろんですけど、自分自身を鼓舞する意味合いが込められていると、
 卒業生のひとりとして思います」

この地域に根づいてきた「保倉川太鼓」の音色にあわせ、声を張り上げ練習です。

斜めに構えて太鼓を打つのが「保倉川太鼓」の特徴なんだそう

PTA会長 五井野利一さん
「浦川原中学校最後の3年生なので、それに誇りを持って巣立ってほしい。
 もの悲しい気持ちではなく前向きな気持ちで巣立ってほしいという意味合いも込めたい」

実は、応援歌には楽譜が残されていませんでした。頼りになるのは、歌詞と記憶だけ。
そこで五井野さんは、仲間たちと昔の記憶をたどりながら歌い、
キーボードでひとつひとつ音を確かめながら復活させました。

PTA会長 五井野利一さん
「(浦川原中学校の)歴史をすべてわかってもらったうえで卒業してもらう。
 こういう(応援歌)があるんだよっていうのを在校生にも知ってもらい、閉校まで立ち会って
 もらうという流れが一番かなと思って」

最後の卒業生に 最高のエールを

3月5日、最後の卒業式が開かれました。

卒業式が無事に終わったと思っていたら・・・
突然、掛け声とともに、保護者たちが舞台の前に集まってきました。

ざわめく卒業生たち。何が起こるかわからず、顔を見合わせます。

「がんばれー!」「がんばれー!」
保護者や先生たちの声が、体育館に響き渡ります。

地元の風景を歌い、ふるさとへの思いを呼び起こします。

PTA会長 五井野利一さん
「いわゆるバカになって、いつも出ない声をみんなで張り上げて、
 ひとつの魂が伝わればいいと思って。それができたかなと思います」

伝統の応援歌を聞いた、卒業生たちは・・・

生徒会長 山﨑叶登さん
「気持ちを込めて一生懸命応援してくれると、勇気がもらえるしうれしかったです」

五井野さんの次男 響さん
「すごいびっくりしました。浦川原中学校を卒業してるから、お父さん自身も。
 浦川原中学校に誇りを持ってぼくたちを応援してくれていると思いました」

どんなときも励ましあい、喜びも悲しみも分かち合った最後の3年生。
このゴールが、また、新たなスタートです。


応援歌は3年生だけではなく、1・2年生にとっても心に残ったようで、
「新しい中学校になっても残ってほしい」
「これから統合する2つの学校の良さもいかしたものになったらいい」
という声があがっていました。 

4月には浦川原中学校をふくむ3つの中学校が統合しますが、
それぞれの中学校で大切にしてきた伝統があります。

大島中学校では「大島健児奮い立て」という応援歌の言葉を。

安塚中学校では伝統の「演劇祭」を、長年大切に受け継いできました。

ふるさとを誇りに思う気持ちや、生徒同士が助け合ってひとつのものを作り上げることができる校風。そして、それを応援してくれる地域の人たちとのつながり。
新しい学校になっても、それぞれの学校の良さを受け継いでいけば、
もっともっと、中学校がパワーアップしていくなと感じました。

おじゃまさせていただいた浦川原中学校のみなさん、ありがとうございました!

ディレクター(牧陽子)のひとりごと

2週間に1本の放送―
毎回、ネタ選びは、慎重に行っている。
牧「どんなことやってみたい?」 
清水 「卒業ですかね」
この3月、上越市にある浦川原中学校が閉校すると知り、次の日の朝一で学校に連絡。
快くOKして頂き、車の中でおにぎりをかじりながら、2人で上越に向かった。

教頭 「きょう、たまたまPTA会長が来られてます」
清水 「ぜひ、お話させて下さい」
この日、たまたま保護者たちが集まって卒業式でのサプライズの練習をするとのこと。
それも、途絶えていた応援歌を復活!
“これしかない!”
体育館は、かなり寒くて、白い息がはっきり見えた。
そんな中、あたたかな気持ちを届けようとする保護者の姿に胸が熱くなった。
応援団の資料は、なにも残っていなかったが、これまでの生徒会誌「若鮎」すべて目を通すと、
「応援=励まし合うこと」と、当時の応援団の気持ちが書かれた一文を発見!
古いアルバムも、全部目を通して、わずかに残る応援団の写真を接写させていただいた。

この日、私の誕生日で、清水からレストランで祝ってもらったが、話題は終始「浦川原中学校」。
励まし合いながら番組制作が出来る仲間がいて、本当に幸せ。
節目を迎えた私にとって、最高のギフトだと感じた。

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