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新潟 小さな風もとりこぼさない? 小型風車のある未来とは

  • 2023年05月21日

エネルギー資源が少ないと言われる日本で、いま街なかを吹く小さな風すらも発電に生かせないかという試みが進められています。「注目高まるエネルギー 新潟の未来は」と題したシリーズの4回目。小型風車のある未来とは?(新潟放送局 豊田光司 記者)

放送した動画はこちら

これが風車? その原理とは

これが今回、開発された小型の風車。

一見、風を受け止めるための羽根はどこにも付いていません。

風車を開発した長岡技術科学大学の髙橋勉教授です。流体工学を専門としています。
羽根の代わりになるのが、筒状の棒だといいます。

長岡技術科学大学 髙橋勉教授
ポイントは後ろの輪っか(リング)。輪っかなしで羽根を入れても回らない。棒とリングの簡単な構造で力強く回る風車ができる。

どのようにして回転するのか、可視化した実験の様子です。画面の左端にあるのが羽根の代わりになる棒です。左から風に乗った煙が流れていてリングに当たっています。

風が棒に当たるとリングとの間に空気の渦が生まれます。

この渦がリングに沿って断続的に発生することで、棒が回転するのです。
 

リングと棒の距離を近づけると渦がなくなり、棒は自然に止まります。強風が吹き始めた場合、棒に触れることなく安全に止めることもできるのです。この技術は日本をはじめアメリカやドイツなどで特許が認められています。髙橋さんは身近な電力を生み出すためにこの風車を活用したいと考えています。

自分の家の周りで風が吹いたら小さな風車が回って、ちょっとでも電気が発生する。この電気で防犯灯や常夜灯がついている。監視カメラの電源を風車でまかなっていましたとか、ちょっとした電源をこういう風力発電でまかなえる時代がもうすぐくるかなと思う。

当初、風車の開発には疑問視する声もあったといいます。

その話をしても誰も信じてくれない。丸い棒がプロペラになるわけないでしょ。何考えているの?と。

開発のきっかけは天候が不安定ななかでも電力を生み出したいという山岳関係者からの相談でした。
“突風に負けない頑丈な風車を作りたい”という思いに駆り立てられた髙橋さん。
開発した風車は、通常よりゆっくり回転する構造になっていて強風でも壊れにくいといいます。

地産地消型、自分が使う電気の一部を自分の家で作る、地域で作るということもこれからは必要で、これだけですべての電気はまかなえないので太陽光パネルや発電所からの電気も併用しながら、使う電気は少しでも作っていくという世界がこれから必要かなと思います。

実用化へ 始まる実証実験

 

髙橋さんは研究室の卒業生、佐藤靖徳さんと2年間前にベンチャー企業を設立。去年12月、風車の研究結果をもとに風力発電機の試作機を作りました。

試作機は直径1.2メートルで、発泡ウレタン製の棒が取り付けられています。
風速12メートルで250ワットの発電ができるということです。

ベンチャー企業 佐藤靖徳社長 
私たちだけではなく地域の人やいろんな企業の人と一緒に社会に還元していく。そういう担い手になっていきたい。

この日、佐藤さんは市内の水族館で関係者と打ち合わせ。
 

普及に向け精密なデータを取るため水族館の屋上に設置しようとしています。ことしの秋ごろに風力発電機を設置し、水槽のポンプや照明などの電力をまかなう計画です。

安全性とかに配慮しながら施行をする必要があるので、そのあたりのイメージが湧いた。とりこぼしている(風力)エネルギーをうまくどう使っていくかと、製品が世の中に出ることでこの受けたいろんな支援を返していけるかなと思います。

髙橋さんはこの風力発電機の実用化によって環境に対する人々の意識を高め、持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています。

長岡技術科学大学 髙橋勉教授
ゼロカーボンとかサステイナブルとかいろいろ言われているとおりで、エネルギーを自分たちで自給自足していく流れになっている。子どもたちに自然エネルギーの活用やサステイナブルな社会づくりの知育教材にも活用していきたい。

髙橋さんや佐藤さんは水族館などの協力を得ながら、実証実験を進めていくことにしています。この実験には長岡市も協力していて担当者も期待を寄せています。

長岡市産業イノベーション課 佐藤春雄さん
長岡市としては実証実験の取り組みを地域全体を実証フィールドと捉えて、どんどん提供して企業の新しいチャレンジを後押しできたらと思う。今後の再生エネルギー拡大という意味においては太陽光パネルや大型風力が設置できないところに設置できる可能性があると思うので非常に期待している。

  • 豊田光司

    新潟放送局 記者

    豊田光司

    2017年入局。大阪局を経て2020年から新潟局に、2021年11月からは長岡支局で中越地方などの取材を担当。この構造であればトイレットペーパーの芯やペットボトルでも羽根になるということです。

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