『上中下越に佐渡(さぁ~ど~)ぞ!』新潟県南魚沼市
- 2023年03月14日
南魚沼市
新潟県にある37市区町村の魅力をお届けする『上中下越に佐渡(さぁ~ど~)ぞ!』。最終回の第37回は南魚沼市です。なんといっても米どころの南魚沼市。9割の米生産者がコシヒカリを作っています。おにぎりの専門店や「本気丼(マジどん)」という大盛りのどんぶりを提供するイベントも有名です。そして、豊富な積雪量を誇るスキー場! ウインタースポーツも盛んです。

見てください。この一面の銀世界。例年、3メートルは積もります。

雪国のめぐみ『雪室』
この地域では豊富な雪を利用して色々な食材を貯蔵する「雪室(ゆきむろ)」が古くから使われてきました。そして雪室は今、その可能性が大きく広がっているんです。

ワインの醸成

地元で収穫したぶどうを使ってワインを作るワイナリー。貯蔵庫に隣接するのは250トンの雪が入る雪室。ワインに最適といわれる5~10度前後の温度と70~80%の湿度で1年間熟成します。

右のシャッターの向こうは雪室。冬から春の時期は、雪の重みでシャッターは開きません。夏場はシャッターを開閉して気温を調整します。

ワイナリー 青木茂晴さん
10度前後の温度で1年中、低温で熟成させることができるので、フレッシュな状態で、より果物感が出るワインが出来上がります。
クリーンエネルギー
そして、雪室は地球にやさしく、持続可能なクリーンエネルギーとしても注目されています。県の南魚沼地域振興局の建物では夏の冷房を雪室の冷気でまかなっています。

上の写真の右、窓のない建物が雪室です。その冷気は地下を通って左の建物1階のホールや講堂に流れ込みます。夏場でも26℃と快適な温度を保てるそうです。

南魚沼地域振興局 小島嘉男さん
生活する上では非常に厳しい環境なんですが、逆に、この雪を地域資源と捉えて環境にやさしい自然エネルギーとして使用することにしました。灯油という化石燃料を使わないので二酸化炭素排出の抑制につながります。電気代の節約にもなります。利用者からは「涼しい」と好評です。
雪室に雪を詰める作業には除雪車とロータリー車を使います。 駐車場に積もった650トンの雪を1日かけて詰め込みます。

その仕事ぶりは圧巻!「働く車」好きにはたまりません。(ぜひ上の動画をご覧ください)
観光資源にも
観光客に雪室を見学してもらうことで地域の活性化につなげようという施設もあります。雪室で日本酒を熟成させている酒造会社は見学ツアーを開いて雪室のシステムを紹介しています。


ツアー担当 板鼻玲子さん
ツアーは1日に10回、1回につき10人の方をご案内しています。雪室の歴史もお伝えしながら中をご覧になっていただいています。雪中貯蔵庫(雪室)は電気の空調は一切使っていません。雪の冷気だけで年間を通して2度~6度の室温を保ちます。最近では雪の降らない東南アジアの方も増えてきています。
ここの雪室は1年に1度だけ雪の入れ替えをするそうです。その量は約1,000トン!
1年中、雪がなくなることはないそうです。

この大規模な雪室の貯蔵庫を作ったのは東日本大震災がきっかけでした。計画停電で電気を止めた時期があり、そうした時でも酒造りを続けていけるようにと考えたそうです。

そして、雪室で熟成した日本酒はまろやかな味になるとのことでした。お酒だけでなく、洋菓子やコーヒー、季節の野菜、熟成肉もたのしめるとのことです。飲んで、そして食べてみたいですね。
たくさん降る雪を地域の資源として活用する…。ステキですね。
そんな南魚沼にみなさんも、さぁど~ぞ!
