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新潟 知っておきたい原子力 汚染の状況

  • 2023年03月16日

シリーズでお伝えしている「知っておきたい原子力」。
今回は東京電力・福島第一原子力発電所の事故の際の汚染についてです。事故の際、大量の放射性物質が放出され、汚染は広い範囲に及び、事故の発生から12年の今もその影響は残っています。

放射性物質の放出 量と範囲は

福島第一原発事故が起きた2011年3月に放出された放射性物質の量はヨウ素131とセシウム137を合わせて90京ベクレルとみられています。これは1986年に起きた旧ソビエトのチェルノブイリ原発事故で放出された量の17%余りにあたります。

これは事故から7か月後の2011年10月に行われた放射線量の調査結果です。
原発周辺に加えて福島県浪江町や飯舘村など原発から北西の方向にかけて30キロを大きく超える範囲で赤や黄色の部分が広がっています。これは1時間あたり3.8マイクロシーベルト以上を観測した地域で、避難指示解除の目安となる年間20ミリシーベルトを超える値です。
事故の直後には福島県にとどまらず、東京都や神奈川県などでも通常の数倍から数十倍程度の放射線量を観測するなど汚染は広範囲に及びました。
 

事故発生から10年

ただ、事故の発生から10年が経過したおととし10月の時点で1時間あたり3.8マイクロシーベルト以上を観測する範囲は狭まり、浪江町や双葉町など「帰還困難区域」の一部になっています。
原発から80キロ圏内では、一般の人が浴びても差し支えないとされる年間1ミリシーベルトにあたる1時間あたり0.2マイクロシーベルト以上のエリアも2011年10月の調査と比べ約72%減少しています。

今も残る影響

一方、事故の直後には農産物や海産物から国の基準を超える放射性物質が検出されたことで出荷制限が行われました。そして「福島県産」という理由だけで返品や価格の下落が相次ぎ農業や漁業の関係者は「風評」の影響に悩まされました。

ひとたび放射性物質が漏れ出せば、多くの人たちのなりわいを奪ったり脅かしたりします。福島第一原発の事故が広い範囲に及ぼした影響を学び、教訓を生かすことが求められています。

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