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新潟 知っておきたい原子力 福島第一原発廃炉の現状と課題

  • 2023年03月07日

エネルギーをめぐる情勢が大きく変化するなか、政府はエネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現を両立させるため、安全を最優先に原発を最大限活用する方針です。原子力やエネルギーにどう向き合っていけばいいのか。NHK新潟放送局では「知っておきたい原子力」と題して、原子力に関する話題をシリーズでお伝えしていきます。
今回は、福島第一原発廃炉の現状と課題についてです。原発事故からことしで12年になりますが、溶け落ちた核燃料、いわゆる「燃料デブリ」を取り出すめどは立たず、課題が山積しています。

原発事故から12年 廃炉の現状は

福島第一原発2号機 原子炉格納容器の内部

未曽有の原発事故からことしで12年。いまもなお廃炉作業が続けられていますが、溶け落ちた核燃料、いわゆる「燃料デブリ」を取り出すめどは立っていません。

推定880トンに及ぶデブリ 取り出すめど立たず

1号機から3号機の原子炉や原子炉を納める格納容器の中には合わせて880トンに及ぶデブリが存在しているとみられ、取り出しに向けてさまざまな調査が行われてきましたが、いまだに取り出しの開始すら着手できないままです。

2号機格納容器内部での調査の様子

デブリは極めて強い放射線を発し人が近づくことができないため遠隔操作のロボットの開発などを進めてきましたが、すべてを取り出すにはさらなる技術開発が必要で具体的な道筋は見えていないのです。

放射性廃棄物の処分も重い課題

さらに、廃炉作業に伴って発生する放射性廃棄物をどうしていくのかも重い課題です。大量の放射性物質が拡散した福島第一原発は敷地の建物や道路、土や木々なども汚染されているため、廃炉を進め放射線の影響がないさら地に戻そうとすれば大量の放射性廃棄物が発生することになります。

福島第一原発に保管されている放射性廃棄物

廃炉作業をどこまで行うのか、そして廃棄物をどのように処分するのか。内容や手段によっては廃炉を終えて敷地を再利用できるようになるまでに100年から300年の期間が必要になるという試算もあります。国と東京電力は事故から最長40年かけて廃炉作業を終えるとするロードマップを示してきましたが、最終的にどのような形で廃炉を完了するのか明確にしていません。事故から12年がたつ今も廃炉をめぐる課題は解決することなく横たわり続けています。

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