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「トキ点描」命育む鳥 ―秋―

  • 2022年11月16日

トキ写真集はこちら → https://www.nhk.or.jp/niigata/toki/?cid=orjp-ala150

秋は「とき色」の季節

サギを追いかけるトキ

ことしの10月、環境省は佐渡の自然界に生存するトキの生息数がはじめて500羽を超えたと発表しました。一度は日本で絶滅したトキですが、環境省は中国から提供されたトキを繁殖させ、自然界に放す放鳥を14年間続けてきました。

夏から秋にかけて黒い羽が抜け替わり、トキが淡い桃色に染まる最も美しい季節になります。朝日に輝く美しい「とき色」の羽。ことしもその一枚を撮影するため、日の出前にある穴場に向かいました。

僅か1週間だけのシャッターチャンス

車内でベストなタイミングを待ち続ける筆者

トキの観察や撮影はクルマの中から行うのが佐渡のルールです。これは長年のモニタリング調査で分かったことですが、トキには近づくのではなく、トキを待つことが重要です。そうすることでトキを安心させ、近距離での観察も可能になります。しかし自然界で餌付けの行われていないトキをどうやって待ち構えたらいいのでしょうか。

じつは1年に1週間ほど、トキが決まった時間に舞い降りる場所があります。佐渡には農業用水を一時的にためるファームポンドと呼ばれる施設があるのですが、稲刈りが始まる9月、その役目を終えて次々と水が抜かれていきます。現れた泥の底に潜んでいるのはトキやサギの仲間たちが大好物なドジョウやザリガニなどの生きものです。

泥の中のドジョウを食べるトキ

野鳥のエサ取りの方法はさまざまですが、逃げ遅れた生きものは、いとも簡単に食べられていきます。なかでもトキのくちばしは赤色の部分がセンサーになっていて、泥の中に潜む生きものたちを次々と捕らえます。一方、サギの仲間は静かに相手が動くのを待ち構えます。そしてこの風景は、エサが食べ尽くされるまでの僅か1週間ほどしか観察することが出来ません。

トキだけでなく里山の生きものたちは、人間が里山に手を加えなければ生きていくことの出来ない不思議な共存関係にあります。そんな四季折々のトキの姿を撮影するだけでなく、エサとなる生きものが生息する田畑の管理も行いながら今後も報告していきたいと思っています。

  • 大山文兄

    NHK新潟・佐渡支局記者

    大山文兄

    トキの野生復帰を東京の新聞社で11年間取材。トキに魅せられ2020年に退社し佐渡島に移住。2022年4月からNHK新潟・佐渡支局の記者として佐渡の魅力を発信。

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