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新潟県の地震・津波被害想定 人的被害・建物・ライフラインは

  • 2022年04月26日

新潟県は2022年3月、新潟県中越地震や東日本大震災などの研究成果を踏まえて「新潟県地震被害想定調査」をとりまとめました。最も深刻なケースとしては新潟市西蒲区から小千谷市にかけての「長岡平野西縁断層帯」が引き起こす地震が冬の時期に発生した場合、死者は7920人に上る恐れがあるとしています。地震災害に備える出発点として、どのような被害が想定されているのか見てみます。(新潟放送局 記者 野口恭平)

新潟県の被害想定とは

新潟県の被害想定はもともと1998年に作られていましたが、その後、中越地震など大規模な災害が立て続けに起きたこともあり、見直しが遅れていました。もともとの想定は、科学的なデータが乏しかったため活断層の位置などがはっきり分かっておらず、「ここでもし地震が起きたら」というものでした。

このため、県は2019年11月から専門家で作る検討委員会で調査を続けてきました。

県のHPより 断層帯の位置

「新潟県地震被害想定調査」では最新の科学的知見を踏まえて、実際に存在が確認されている断層帯をもとに県内で発生する可能性がある9つの大きな地震で被害を試算しています。

最も被害大きい長岡平野西縁断層帯

最も深刻なケースとして考えられているのが新潟市西蒲区から弥彦村や燕市、長岡市、それに、小千谷市にかけての「長岡平野西縁断層帯」が引き起こす地震が冬の時期に起きた場合です。

こちらがそれぞれの被害をまとめた一覧になります。

県のHPより 地震ごとの被害想定

「長岡平野西縁断層帯」が起こす地震の場合、死者は7920人に上るとしています。
阪神・淡路大震災を上回ります。

ケガをする人は5万6000人以上。

全壊の建物は17万1000棟で、こちらも単純計算では8棟に1棟が全壊するという試算。

このほとんどが揺れによる倒壊、そして火災による焼失です。

半壊は22万5000棟に上ります。

県は人的被害の多くが建物の倒壊によるものだとしています。

県内の住宅の耐震化率は令和2年度末の推計で85%と全国平均の89%を下回っていて、県は耐震化を進めることで被害は大きく減らせると指摘しています。

ライフラインにも影響

避難者は47万人。単純計算ですが、県民の4人に1人以上が避難する、という想定です。

ライフラインへの影響も見ていきます。

上水道の影響を受けるのは地震の直後には137万人(断水率61.8%)。

こちらは市町村ごとの地震直後の断水率と復旧予測。

※小数点第2位以下は四捨五入されるため、断水世帯があったとしても「0%」と表示されるケースもある。
復旧日数は、発生日を1日目とカウント。特に断水率の高い地域を赤字で表示。

この予測からは長いところでは1週間以上、断水が続くケースがあることも分かります。

また、電力を見てみると直後には県内の一般家庭や企業合わせて64万戸(停電率65%)が停電すると予測されています。

翌日には9万5000戸まで減るものの完全な復旧には時間がかかるとしています。

こちらは自治体ごとの停電被害と復旧の予測データです。

※実際に「通電」が再開されたとしても、その後、被害状況の調査をする時間も「復旧日数」には含まれている。このため、表記されている復旧日数よりも早く通電することも、試算上あり得る。

これまでの大規模な災害を基に試算したものですが、発電所が被害を受ける事態は想定していなかったり(送電網などの被害を想定)、復旧にあたって県外から応援が入らない前提で計算したりしているため、県はあくまで目安だとしています。

このほか都市ガスは33万8000戸が停止。

携帯電話や固定電話も一時的に不通になるとしています。

また、県の地域防災計画で指定されている「緊急輸送道路」にある施設6087のうち、盛り土や橋など997か所に被害が出るとも指摘しています。

津波被害も

また、県は2017年、国の「日本海における大規模地震に関する調査検討会」が公表した断層モデルなどをもとに津波被害の想定も公表しています。

これによりますと、粟島付近を通る「F34」という断層帯が引き起こす地震が起きた場合、県内の死者は819人に上るとされています。

それぞれの自治体では津波ハザードマップを作成していて、新潟市は市内への影響が大きい6つの断層モデルを踏まえて2018年8月に津波ハザードマップを公表しました。
それぞれの中学校の校区ごとに作られ、ホームページなどで見られるようになっています。

新潟市のハザードマップより

こちらは中央区のハザードマップ。
赤色が30分未満で津波が押し寄せる地域、黄色が30分から120分未満、青が120分から約7日後です。

市によりますと、市内全域で浸水する可能性があるエリアのうち15%は赤色、8%は黄色、75%は青色のエリアです。

海沿いや川沿いを中心に赤色のエリアが多くなっていることに加えて、新潟市は低地が広いため、時間をかけて浸水が広がるのも特徴だということです。

お住まいの地域の情報確認を!

今回ご紹介した県の被害想定や新潟市など自治体のハザードマップは、それぞれのホームページなどで見ることができます。

「新潟県防災ナビ」

また、県が作っている津波浸水想定などはスマホ向けアプリの「新潟県防災ナビ」でも確認することができます。

このほか、地震や台風など災害に関する情報は「NHKニュース・防災アプリ(←こちらからダウンロードページへ)」でもお伝えしています。

こうしたアプリを使って、まずはそれぞれお住まいの地域の情報をご確認頂ければと思います。

そして、NHK新潟放送局では「ちょこっと防災 そなえドキ」のコーナーで災害への備えをお伝えしていきますので、命を守る対策に役立ててください。

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  • 野口恭平

    放送部 記者

    野口恭平

    2008年入局 徳島放送局、報道局経済部を経て新潟放送局へ。幼いころから南魚沼市で年末年始を過ごす。現在は行政や経済を担当。
    幼い子どももいるため、引っ越してくる際、津波ハザードマップで賃貸物件の場所を確認しました。

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