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想定 知識

冬は室内でも「低体温症」に注意! 寒い日を過ごすポイント

山岳遭難で起きるイメージが強い「低体温症」。しかし冬の寒い日は、自宅などの室内でも低体温症になるリスクがあり、毎年、救急搬送される人が相次いでいます。特に高齢の人や持病がある人は要注意、気をつけてほしいポイントをまとめました。

2023年低体温症防止キャンペーンニュースなどで紹介


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①熱中症と同じくらい怖い「低体温症」
②部屋の温度は最低でも「18度以上」に!
③酔ってポカポカのまま 寒い場所で寝ない

熱中症と同じくらい怖い「低体温症」

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低体温症は深部体温が35度以下になるもので、血液が十分に脳にいかなくなるなどして脳卒中や意識障害を引き起こす可能性があり、最悪の場合、亡くなるケースもあります。

福島県郡山地方広域消防組合の統計によると、2013年から2022年までの10年間で、管内で377人が低体温症で病院に搬送されています。 搬送された人のうち約7割が屋内で発症しているほか、約8割が65歳以上の高齢者といった特徴があります。さらに、入院している人も全体の約8割を占めていて、熱中症に比べて発症した時はすでに深刻な状況になっていることが分かります。

人口動態調査によると、低温による死亡者は毎年1000人以上で、熱中症など高温による死亡者より多い年もあり、熱中症と同じくらい命にかかわるリスクがあります。

部屋の温度は最低でも「18度以上」に!

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低体温症などの健康被害を防ぐため、WHO=世界保健機関は、室内の温度を18度以上にすることを強く勧告しています。18度を下回ると、 血圧が上がったり、不整脈や脳卒中のリスクがあるほか、低体温症を引き起こす危険性も高まります。

特に部屋の温度が下がりやすいのが寝室です。寝る時は、以下のポイントに気をつけてください。

✅寒いと感じたら暖房を入れること
✅首回りを冷やさない服装で
✅暖房による乾燥が気になる場合は、加湿器をつけて対策
✅湯たんぽで布団を温める
※湯たんぽを布団に入れたまま寝ると、低温やけどのおそれがあります。布団を温めたら取り出してから寝るようにしましょう。

冬場のリビングの温度について、慶應義塾大学の伊香賀俊治教授らの研究チームが全国約2100の一軒家を対象に調査したところ、9割の住宅が18度未満だったということです。意外にも北海道や新潟県などの寒冷地は室内が暖かい傾向で、最も寒かったのは香川県の13.1度と、温暖な地域でも油断ができません。家のリビングや寝室など部屋の温度を測る習慣をつけましょう。

酔ってポカポカのまま 寒い場所で寝ない

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お酒を飲むと血行がよくなって体が温かくなっているように感じますが、実は体内の熱を放出しやすい状態です。そのまま外や家の玄関など、寒い場所で寝てしまうと体温が急速に下がり、気づかないうちに「低体温症」 になるおそれがあります。

必ず酔いを覚ましてから、暖かい場所で寝るようにしましょう。

特に忘年会シーズンの12月後半は低体温症で搬送される人が増えます。酔っ払って動けなくなっている人を見かけたら放置せず、なるべく声をかけてあげてください。

展開センター 展開戦略グループ(防災・復興支援)清木まりあ


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