災害列島 命を守る情報サイト

私たちは誰もが災害の危険と隣り合わせで生活していると言っても過言ではありません。防災情報の基礎知識や「いざ!避難」という時にとるべき対応を分かりやすく解説しています。

教訓 知識

立往生したら、どうする?取り組んでほしい5つの行動

「雪で先が見えない」
「車が全く進まなくなった」

車を運転しているとき、もし立往生に巻き込まれたらどうすればいいのか。
取り組んでほしい5つの行動をまとめました。

2021年12月放送のニュース内容などをまとめた記事です

目次

    ➀道路管理者などの情報を確認する

    まずは、道路を管理している高速道路会社や国土交通省、自治体などが情報を出していないか確認してください。

    立往生が発生している場合や、通行止めで立往生の危険性が高まっている場合は、webサイトやSNSで情報を発信していることがあります。

    basic-knowledge_20211225_01_01

    国土交通省のwebサイト「おしえて!雪ナビ」では、全国各地にある国道事務所のTwitterアカウントや、道路に設置されたカメラの映像などを確認できるので、情報収集に役立ちます。

    「おしえて!雪ナビ」(*NHKサイトを離れます)

    国道事務所や自治体のアカウントでは、除雪の状況のほか、物資の配布状況などを発信していることもあります。

    basic-knowledge_20211225_01_02

    情報がなく、車も身動きが取れない場合は、
    国土交通省の「道路緊急ダイヤル」、#9910に電話してください。

    目の前で事故が起きるなど状況が急激に悪化している場合は警察にも連絡してください。

    JAF(日本自動車連盟)のロードサービス、#8139もあります。

    ②マフラー周りを定期的に除雪する

    basic-knowledge_20211225_01_03

    マフラーの周辺を定期的に除雪してください。

    マフラーの排気口が雪に覆われると、排気ガスが車内に逆流して「一酸化炭素中毒」になる危険性があります。

    一酸化炭素は有毒で吸い込むと酸欠状態となり最悪の場合は死に至りますが、無色でにおいもないため気付きにくく危険です。

    2013年3月には北海道 中標津町で雪に埋まって動けなくなった車の中で家族4人が一酸化炭素中毒で死亡しています。

    JAFの実験では、マフラー周辺を除雪しないと、運転席の窓が5センチほど開いていたとしても、風がやんだ場合にはわずか20分程度で、車内の一酸化炭素濃度が「数時間で死に至るレベル」まで上昇しました。

    一方、ボンネットの上まで雪に覆われていても、マフラー周辺を除雪していれば、車内の一酸化炭素濃度はほとんど上がらなかったということです。

    ③雪に埋もれたらエンジンを切る

    basic-knowledge_20211225_01_04

    車が完全に雪にうもれてしまった場合は一酸化炭素の流入を防ぐためエンジンを止めてください。

    雪は断熱作用があります。

    冷たい外気を遮断するため、いわば「かまくら」のように内部はそれほど温度が下がりません。

    ときどき風下側の窓を1センチほど開けて換気し、助けを待ってください。

    ④足を動かす体操と水分補給

    定期的に足を動かし、こまめに水分補給をしてください。

    狭い座席で長時間同じ姿勢でいると、血流が悪くなって血の固まりができ、「エコノミークラス症候群」の危険性が高まります。

    basic-knowledge_20211225_01_05

    以下のように体を動かしてください。

    ✅足の指を閉じたり開いたりする
    ✅足を上下につま先立ちする
    ✅つま先を引き上げる
    ✅足首を回す
    ✅ふくらはぎを軽くもむ
    ✅背伸びや上半身をひねる


    また、車内で休む時には足を上げて寝るようにしてください。

    ⑤風下側のドアが開くか こまめにチェックする

    いつでも逃げられるように「風下側のドア」が開くか定期的に確認してください。

    風上側は雪が積もってすぐに開かなくなります。

    また、風上側のドアを開けると、雪や風が入り込んで車内の温度が下がってしまいます。

    予定やルート変更も検討して

    備えをしていても、立往生に巻き込まれてしまうと数日間移動がままならないことがあります。

    「外出しない」「予定を変更する」という選択肢も検討してください。

    いくら装備していても…経験者が語る恐怖

    basic-knowledge_20211225_01_06

    2020年12月、関越自動車道で発生した立往生に巻き込まれ、30時間近く身動きが取れなくなったという男性に当時の状況を聞きました。

    男性は「経験したことのない雪の降り方で、車ごと雪にうもれてしまうのではないかと不安でした。チェーンや、車がスタックしたときに使う道具も車に積んでいたので、かなりの大雪でも対処できると思っていましたがいざ立往生になってしまうと、いくら装備を整えていても全く意味が無いことを痛感しました。天気予報を確認して危ない時は車に乗らないのがいちばんだと思いました」と振り返っていました。

    そのうえで、車で出かけざるをえない時の備えについては「何よりも食料と水、そして防寒具がないとダメだと思います。また、立往生した時にはマフラー付近の除雪が必須ですが、去年は車に簡単な雪落としの道具しか積んでいなかったので苦労しました」と話していました。

    basic-knowledge_20211225_01_07

    男性は去年の経験から、万が一に備えて▽水と食料▽携帯トイレ▽保温シート▽折り畳み式のスコップを車に積んでいるということです。

    また「燃料の心配をせずに済んだのは不幸中の幸いだった」と振り返っていました。

    当時は、たまたま高速道路に入る前にガソリンを満タンにしていたのだそうです。

    男性は「燃料が足りなくなると、暖房が使えない上、携帯電話の充電もできず、情報収集もできなくなるので、いちばん怖いです。立往生を経験して以来、高速道路に乗る前には必ずガソリンスタンドに寄るようにしています」と話していました。


    banner
    NHK防災・命と暮らしを守るポータルサイト