新型コロナ再拡大で輸血用血液がピンチ
“献血に協力を” 日赤

2022年12月22日

新型コロナの感染が再び拡大している影響で、輸血用の血液の在庫が減っていることから、日本赤十字社は、積極的な献血を呼びかけています。

「日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センター」によりますと、医療機関からもっとも需要の多い400ミリリットルの「血液製剤」の在庫の量は、最低限必要とされる量を割り込んでいて、12月16日の時点で、B型が87%、A型とO型は94%にとどまっているということです。

こうした状況について、日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターは、新型コロナの感染が再拡大している影響で、献血者の確保が難しくなっていることが原因の一つにあると分析しています。

日本赤十字社では、
▽新型コロナに感染した人は、症状がなくなってから4週間、
▽濃厚接触者でも、最後の接触から2週間、
期間を空けなければ献血することができない決まりとなっていて、感染者数が増えると、献血ができない人も、それだけ多くなります。

また、企業や大学などではリモートでの仕事や授業が増え、集団で献血をする機会が少なくなっている状況が続いています。

こうしたことから、12月21日までの3週間で、必要な献血者数は合わせて1600人ほど計画より足りていないということです。

日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターの松下麻依子さんは「冬場は、ふだんから献血者の確保が難しくなるが、今はそれに加えて新型コロナの影響で厳しい状況だ。皆さんの協力で救える命があるので、少しでも時間があれば献血に協力してほしい」と話していました。

医療現場 “大けがや手術、出産で輸血が必要”

輸血用の血液製剤の在庫が減少していることについて、都内の病院で輸血の管理を担当している医師に話を聞きました。

虎の門病院輸血部の森有紀部長は「医療現場では大きなけがや手術、出産で輸血が必要なほか、血液の病気の治療にも、献血による血液製剤は欠かせない。事故や災害などで、緊急の大量出血の対処のときにも、命を守るためには、血液が安定して供給される状況が必要だ」と話しています。

そして、「今までもコロナなどでいろんな状況があったと思うが、少なくとも今まで必要なときに必要な血液が届かないというような状況はなかった。さまざまな人の善意と努力でこうした血液が確保されていると思うので、今後も安定的な供給が続いてほしい」と話していました。

そのうえで、「医学が進歩しても血液自体は人工的につくることはできないし、長期間、保存しておくこともできない。善意でいただいた血液を、本当に慎重に使わせていただいている。コロナの状況も日々変化していて、献血してくれる人の状況も、われわれもしっかり受け止めているので、もし可能であれば献血してくれている人には継続してほしい」と呼びかけていました。

日赤 直接電話で呼びかけも

献血者を確保しようと、日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターでは、直接電話で呼びかけるなど、あの手この手で献血への協力を呼びかけています。

センターでは、都心の駅前などの人通りが多いところに臨時の献血バスを出したり、「ウルトラマン」とコラボしたグッズを献血した人に配るキャンペーンなどを実施したりしています。

さらに、血液センターの職員が、これまでに献血をしてくれたことがある人、一人一人に電話をかけ、再び献血をしてもらうよう、直接、依頼しているということです。

電話での献血への呼びかけを担当していた職員は「献血が足りないことを説明したとき、理解を示してくれたり、『行きます』と言ってくれたりすると励みになる。命を救うために必要なことなので頑張りたい」と話していました。