コロナ自宅療養者への酸素投与
首都圏で1月の4倍近くに急増

2022年2月19日

新型コロナウイルスの感染拡大で自宅療養者が都内で9万人を超えるなか、医師グループが往診を行う現場では、肺炎の症状がみられるものの、すぐに入院先が決まらず、自宅で酸素の投与が必要なケースが急増しています。
こうしたケースは、首都圏では1月の4倍近くに上っています。

多くの医師が登録するグループ「ファストドクター」は、自治体の委託を受けて自宅療養者の往診を行っていて、往診の依頼件数が2月は1600件に上り、1月の1100件を上回っています。

40代の夫婦と娘の一家3人が全員感染するケースもみられ、夫は「オミクロン株の症状は軽いと言われているが、そんなことはなく、重いせきが出て苦しい」と話していました。

さらに、感染の急拡大で医療機関がひっ迫してきたため、2月に入って、これまでは入院できていた重症化のリスクが高い高齢者や基礎疾患のある患者への往診依頼が相次いでいて、自宅で酸素の投与が必要なケースは、首都圏では2月15日までに1月1か月間の4倍近くに上っています。

このうち、都内でひとり暮らしをする50代の男性は、発症から10日たっても40度近くの高熱が続き、医師が診察したところ、血液中の酸素の数値が89%まで下がっていたうえ、聴診でも肺炎を起こしているとみられ、「中等症2」の状態だと診断されていました。

医師は保健所と相談して入院先を手配するために病院に電話をかけましたが、すぐに受け入れられるところは見つからず、この日は、自宅で酸素の投与を行って様子をみることになりました。

入院調整を続けた結果、男性は翌日、入院できたということです。

「ファストドクター」の代表、菊池亮医師は「自宅で酸素が必要な患者が急激に増えている。やはり病床のひっ迫がすべての原因なので、今後、感染者数が少なくなっても、入院患者が退院するまでに時間がかかるので、現場はすぐに改善しない。高齢者など重症化のリスクがある人をどう守っていくのか考えていく必要がある」と話しています。