自宅療養となった場合はどうすれば?
家庭内感染を防ぐには

2021年8月10日

もし、自宅での療養を余儀なくされた時、個人で何ができるのか。

家族への感染を防ぐための対策や症状の悪化に気付くのに必要なことについて、感染症対策に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授に聞きました。

松本教授は、東京都が作成した自宅療養者向けのハンドブックで紹介されている基本的な8つのポイントを最低限、守ってほしいと指摘しました。

▽部屋を分けること
▽感染した人の世話をする人はできるだけ限られた人にすること
▽感染した人や世話をする人はお互いにマスクをつけること
▽こまめに手を洗うこと
▽日中はできるだけ換気をすること
▽手のよく触れる共用部分を掃除・消毒すること
▽汚れたリネン・衣類を洗濯すること
▽ゴミは密閉して捨てることです。

すべて行うことが難しい場合、例えば「部屋を分けること」が難しい場合は、同じ部屋でも仕切りを置いたり過ごすエリアを分けて距離をとったりするなど、できるだけ工夫をしてほしいとしています。

症状悪化の兆候に気付くには

自宅療養中に症状が悪化し、治療が間に合わずに亡くなるケースも相次いでいます。こうした最悪の事態を防ぐためにどういったことに気をつければいいのか。

松本教授は「肺炎の悪化に伴って呼吸状態が悪くなる兆候を見逃さないことが大事だ」と指摘します。

兆候を読み取るためにできることとして「パルスオキシメーター」で血液中の酸素飽和度をこまめにはかり、急激に下がったり90%を切ったりした場合、すぐに保健所に相談することをあげています。

「パルスオキシメーター」がない場合でも、肩で息をしていたり顔色が悪く唇が青ざめていたりする場合には呼吸状態が悪化している可能性があるとして、そうした状態を家族に気付いてもらうことなどが大事だとしています。

1人暮らしの療養では

1人暮らしで自宅での療養を余儀なくされた場合、どうすればいいのでしょうか。

松本教授は「遠く離れている家族でも友人でもいいので、こまめに連絡を取り、連絡がなければ悪化したと早めに気付いてもらえる状態を築いておく必要があると思う。直接保健所に電話してもつながらず我慢している人もいるかもしれないが、さらに悪化すると救急車も呼べない状態になりかねないので、助けてもらえる人をある程度決めて事前に連絡しておくことが大事だ」と指摘しています。

さらに松本教授は「自分が自宅療養することを想定して解熱鎮痛薬や飲料水、食料品などを蓄えておいてほしい」と、ふだんからの備えが大切だとしたうえで、備えがない場合には家族や友人に玄関の外まで食料品を届けてもらうことなどを勧めています。